彡(゚)(゚)「まあいきなり安部だの三島だのから始めるのもあれやから」
彡(^)(^)森鴎外からいったろ!」
彡(゚)(゚)「まず、近代文学というのは何か?」
彡(゚)(゚)「これは当たり前なんやけど、多くの外来文化の中でいかに伝統的文化を残しつつ新しい文化を作るか?」
彡(゚)(゚)「言い方を変えれば、西洋のような、文化的なるものの死に対してどう対処すべきか?」
彡(゚)(゚)「これが当時の文学者の使命であったと思うんやな」
6 :
名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2015/12/09(水)02:17:06
ID:cU6 [3/25回]
彡(゚)(゚)「で、森鴎外は言文一致になる前の日本の伝統言語としての文語によって作品を残したんや」
彡(゚)(゚)「それは鴎外自身の海外体験、当時のエリートの仕事と伝統的なるものと近代的自我の狭間で苦しむという」
彡(゚)(゚)「まさしく近代文学としてふさわしいものだったんや」
彡(゚)(゚)「陸軍時代?しらん」
7 :
名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2015/12/09(水)02:18:36
ID:cU6 [4/25回]
彡(゚)(゚)「ちなみに鴎外は家系の影響もあるんやが、晩年はほとんど歴史小説ばかりなんや」
彡(゚)(゚)「自分の残すべき価値観は日本の歴史にあるということを自覚してたのかもしれんな」
8 :
名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2015/12/09(水)02:20:15 ID:FNp [1/1回]
芥川は戦後文学に入るんか?
近代文学やな
スレタイに近代って入れればよかった10 :
名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2015/12/09(水)02:22:41
ID:cU6 [6/25回]
彡(゚)(゚)「言文一致後の言語で真っ先に活躍したのが夏目漱石やな」
彡(゚)(゚)「彼は当時の青年から老年まで幅広い人物の物語を書いたんや。こころ、それから、明暗…」
彡(゚)(゚)「これも根底には新しい近代というものの中での苦悩があるといわれとる」
11 :
名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2015/12/09(水)02:26:03
ID:cU6 [7/25回]
彡(゚)(゚)「でも、そうした近代を批判して憂いたものも少なからずおったんや」
彡(゚)(゚)「その中でも最も有名なのは芥川龍之介やな。
古典を巧みに転調して近代(当時の現代)を批判した人間の一人や」
彡(●)(●)「晩年は言うまでもなく狂気的というか、鬼気迫るものがあってまさに狂気の天才という感じやで」
13 :
名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2015/12/09(水)02:29:26
ID:cU6 [8/25回]
彡(゚)(゚)「ごくたまに」
(*^◯^*)「芥川龍之介は古典からのパクリなんだ!」
彡(゚)(゚)「とのたまうアホおるけど、まず実力で言えばトップクラスなんやで」
彡(゚)(゚)「短編で評価されているのも舞踏会とかトロッコやし」
14 :
名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2015/12/09(水)02:34:04
ID:cU6 [9/25回]
彡(゚)(゚)「古典を利用した人間と言えば中島敦やな」
彡(゚)(゚)「漢学者の家系というのもあって、文体も漢詩寄りや」
彡(゚)(゚)「山月記や李陵なんかは教科書にも載ったんちゃうか?」
彡(゚)(゚)「他にも外来文化を小説にした永井荷風、官能的エロスを極限まで追求する大谷崎も出てくるで」
彡(゚)(゚)「まぁこうして志賀直哉や横光利一とか坂口安吾とか太宰治とか出てきて『私小説』になるんやな」
15 :
名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2015/12/09(水)02:37:15
ID:cU6 [10/25回]
彡(゚)(゚)「そんでなんやかんやあった戦争あってバーンってなってうわってなって、
色々憲法とか変わって、闇市とかアメリカ人とかでカオスやんってなって」
彡(^)(^)「ようやくスレタイ通りの戦後文学談義は始まるんや」
16 :
名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2015/12/09(水)02:43:06
ID:cU6 [11/25回]
彡(゚)(゚)「さて、公職追放もそろそろ落ち着き始めた50年頃、そこで二人の小説家が出てきたんや」
彡(゚)(゚)「それが安部公房、三島由紀夫やな」
彡(゚)(゚)「この二人は近代文学の主要素であった私小説の『解体』を始めたんや」
彡(^)(^)「安部公房は分かりやすく、完全に日本の伝統を度外視した作品を書いてえ…(壁)」
彡(゚)(゚)「三島由紀夫はあくまで私小説の伝統に乗っかった上で、
明晰な思考を持って私小説の原理の矛盾(絶対的な告白が不可能)を突いたんや」
17 :
名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2015/12/09(水)02:48:05
ID:cU6 [12/25回]
彡(゚)(゚)「安部公房はその点徹底していて自分の体験を絶対に小説に使わないと宣言した」
彡(゚)(゚)「あ、この自分の体験というのはおそらく奉天時代のことやと思うけどな」
彡(゚)(゚)安部公房は戦時中にニーチェ、ヤスパース、ハイデガーらを読み、実存主義的な考えから出発したんや」
彡(゚)(゚)「ちなみに彼は元から数学的能力(論理的思考)が異常に優れておったらしいで」
彡(゚)(゚)「その天才性は18歳の高校在学中のエッセイ「問題下降に依る肯定の批判」などを読めば分かると思うわ」
彡(^)(^)「ワイは全く理解できんかったけどへーきへーき」
あ、ちなみに安部のエッセイは安部公房全集に収録されとるで
19 :
名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2015/12/09(水)02:54:59
ID:cU6 [14/25回]
彡(゚)(゚)「三島由紀夫も幼少期から試作を残し16歳で花ざかりの森を書いたんや」
彡(゚)(゚)「18歳で中世に於ける一殺人常習者の遺せる哲学的日記の抜萃を書いた」
彡(゚)(゚)「これらは追憶、ロマン的ものの追憶の感情から19世紀的なデカダンスの影響を大きく受けた作品として有名やね」
20 :
名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2015/12/09(水)02:55:21 ID:CEh [1/2回]
(´・ω・`)「おにいちゃんの文学の楽しみ方と面白さを教えて欲しいな」
文章のリズムと語感、叙述を重視しとるやで22 :
名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2015/12/09(水)02:57:50
ID:cU6 [16/25回]
彡(゚)(゚)そこで三島由紀夫はまずラディゲやフランスの心理小説の影響が強い小説「盗賊」を書いたんや」
彡(-)(-)「まあ確かに三島由紀夫らしい作品なんやがなぁ…「若書き」といった方がええかもしれんなこれは」
23 :
名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2015/12/09(水)02:59:24
ID:cU6 [17/25回]
彡(゚)(゚)「アカン眠くなってきたわ…」
彡(゚)(゚)「じゃあ最後に、我が国の誇るノーベル文学者大江健三郎について語ろうと思うやで」
24 :
名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2015/12/09(水)03:04:29
ID:cU6 [18/25回]
彡(゚)(゚)「大江健三郎の文壇デビュー作『死者の奢り』は、まず圧倒的に文体が革新的だったんや」
彡(゚)(゚)「今でこそ難解とか悪文とか言われとるが、
東大のフランス文学科で渡辺一夫(当時の一流の仏文研究者)から教えを受けていたんやな」
彡(゚)(゚)「そんで大江は闇鍋のように多種雑多なフランス文学の文体もごちゃまぜにしたような小説を書いたんや」
彡(゚)(゚)「思想や肉体嫌悪の観念はサルトル、他にもラブレーやガスカールとかの影響を受けているくさいけどな」
彡()()「ていうか、サルトルは本人が影響受けとるっていってるんやけどな!」
26 :
名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2015/12/09(水)03:07:50
ID:cU6 [19/25回]
彡(゚)(゚)「大江のこれらの小説は闇鍋のように色々なフランス文学を混ぜて、
翻訳調の新しい文体を作っただけやないで」
彡(゚)(゚)「その文体が恐ろしいほどグロテスクさを表現していてそれが戦後の日本に重なったんや」
彡(゚)(゚)「小説自体も審査員から指摘されている通り、
これでもかっ!くらい病的で頽廃的なエネルギーがあって、
その点では三島由紀夫と同じだと言われたんやで」
彡(゚)(゚)「しかも死者の奢りは叙情でやけど、
理不尽なものへ体当たりでぶつかっていく粘り強さと力強さがあって
それは日本的では無いんやけど、新しいものだったんや」
27 :
名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2015/12/09(水)03:10:23
ID:cU6 [20/25回]
彡(゚)(゚)「大江はさらに当時の社会情勢を嫌というほど表現していたで」
彡(-)(-)「芥川賞を取った『飼育』や『芽むしり仔撃ち』では、戦争中の子供達を書いて」
彡(゚)(゚)「『人間の羊』では、アメリカ占領下の社会を書き」
彡(゚)(゚)「『不意の唖』もアメリカ人を盾に威張る日本人を批判し」
彡(゚)(゚)『戦いの今日』では朝鮮戦争、他にも『われらの時代』とか、
戦後の絶対的なものが消えた社会の中での若者の悩みを書いたんやね」
28 :
名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2015/12/09(水)03:13:32
ID:cU6 [21/25回]
彡(゚)(゚)彼ははサルトルの影響を受けて、今度は「物自体」を表現しようとしたんや」
彡(゚)(゚)「それらは純粋な物なのだから、善悪は無いし政治も何もないしな」
彡(゚)(゚)「奇怪で、グロテスクな「物」を色々に弄ったのが「初期の大江健三郎」だったというわけや」
彡(゚)(゚)「そんでノーマンメイラーの影響を受けて、
さらに細かく、その純粋な「物」の状態の「性」を表現することにした」
彡(゚)(゚)「それが「性的人間」と「セブンティーン」なんやな」
29 :
名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2015/12/09(水)03:16:11
ID:cU6 [22/25回]
彡(゚)(゚)性的人間は、ひたすら絶望の中で、
その絶望から逃げるために性へと逃げる青年が主人公なんやけど」
彡(゚)(゚)「彼はは最後に破滅的な痴漢をして終わるんよ」
彡(゚)(゚)セブンティーンでは、主人公はひたすら性的で、
アメリカ風自由主義の父親を軽蔑しつつ、強い自意識の中で苦しみ続け」
彡(゚)(゚)そのような絶望の中で、今度は政治と同化する、という話や」
彡(゚)(゚)「主人公は右翼になることで精神的に満たされたんやろうな」
30 :
名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2015/12/09(水)03:18:18
ID:cU6 [23/25回]
彡(゚)(゚)「でも、それらはいくらこねくり回したところで、「物」であることに変わりないやんな?」
彡(゚)(゚)「結局テーマを変えて同じことを繰り返しているにすぎへん」
彡(-)(-)「ここで大江健三郎はいったん行き詰まってしまう」
彡(゚)(゚)「単なる「物」として浮かび上がってくる奇怪な、
グロテスク物を形を変えて表現しているにすぎなかったからなぶっちゃけ」
31 :
名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2015/12/09(水)03:20:30
ID:cU6 [24/25回]
彡(゚)(゚)「でも、『個人的な体験』によって大江健三郎の文学は新しい方向へ開けるんや」
彡(゚)(゚)「その後の大江は小説家として覚醒していくんや
彡(゚)(゚)「んで歴史的問題や当時の社会情勢の問題をまとめた『万延元年のフットボール』を出す。これは読んどいたほうがええで」
彡(^)(^)その後もバンバン凄い小説書きまくってノーベル賞をとるのでした、ちゃんちゃん」
彡(゚)(゚)「その後?その後は…ええ…はい…」
32 :
名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2015/12/09(水)03:22:51
ID:cU6 [25/25回]
彡(゚)(゚)「要約すると」
彡(゚)(゚)「戦後作家は裁定不可能な現実の中で頑張って表現をしてきたということ」
彡(゚)(゚)「大江健三郎、石原慎太郎などはインモラルからスタートということ
彡(゚)(゚)安部公房は大江の実存主義もどきと違って、正統な実存主義から出発して論理的に独自の文学を形成したこと」
彡(゚)(゚)「三島由紀夫は頽廃的ニヒリズムと言われるように、戦後の頽廃の中で人工的に新しい観念を創造したこと」
彡(゚)(゚)「ま、こんなもんやろ」
彡(゚)(゚)「この後は 古井由吉と、村上龍、村上春樹がでてくるけど、それはだれかがやってくれると信じてるで」
彡(゚)(゚)ほな、また…」
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二葉亭四迷「」
絶対的な告白が不可能ってどういうことや…
「壊れるほど愛しても三分の一も伝わらない」ってやつと違うのか?>絶対的な告白が不可能
私小説とはいえ小説という形態をとる以上事実をありのままに述べることはできへんってことやろ。レポートや論文とは違うんやから。
すべて偽り無く告白をしたつもりでも、文章にしている時点で、書くこと、書かないことを、意識的もしくは無意識的に取捨選択しとるんや。
そして、書かれなかった側面が存在する限り、それは物事の一部分を切り取ったにすぎず、絶対的な告白とは言えんのやで。
つまるところ、文章という形をとる限り、絶対的な告白というものは存在しないんや。
それは分かったが、それが何か大した事なのか?何かに影響するのか?
私小説の歴史を知らんと意義はわからんやろな
めんどくさいから知りたきゃ自分で調べてくれ
なんで戦後最大の文系畑の人間、埴谷雄高を無視してるんですかね…
こんなかんじで50年後ぐらいに今のラノベなんかも分析されるんかと思うと面白いなw
純文学と大衆文学の間を行き来した遠藤周作・北杜夫・吉行淳之介らの中間小説派はスルーですか?
個人的な趣味で悪いけど野坂・開口・安岡やって欲しかったな
タイムリーだし。
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