ブログパーツ 泳ぐやる夫シアター やる夫が軍艦総長になるようです 第18話 興亡をになって


















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やる夫が軍艦総長になるようです 第18話 興亡をになって






                      .. -‐‐-ミ
       .               , '´""´ ̄`゙⌒ヽ、
                   ,イ: : ................   `)`。
                  f: :-‐: . .  ..,,,,,,  ..:  i
                  {: :云ミ、: :',ニニミ ヽ. }
                 __{‐(.ィtッ、)ー( ィtッ、)―‐r‐ミ
                 (i:、l: `ー‐'.:: :.`ー‐': . : i'ぅ i}
                    ヽc}::. . : 、,,,;.    ,'"ノノ
       .             ゙圦: : .,, ‐-‐ 、`   .jー'´
                   ヽ: :.`二二´  ,イ
                    〉、..     /.∧
                   ,ィ/(:::`ー―彡' //aV⌒ヽ、     ____
           _____   rミ‐fj/{ミヽ、:. _,ィ≦'⌒))'〈 /0≫`ーァイ´ァ、`))ミ)
        r‐≦升〕8〕≦'>'´i个、raY´fro))ノ>'´ニ>‐-=__f´( `ー彡')),イハ
        { (_, -‐イノri:i´    i::i トミシヘii彡'´ニニ○ニニニニ圦二二彡ィ≦ ヽヽ
       . 〉、__,ィ≦ム', i:i    i::i /0()0/ニニニニ○ニニニニ/ l/ / 「 l ', ヽY } }
       ../ ノ } } }ハ i:i    i:_j`^´i_「 ̄ Tf  ̄.r‐-r‐{ { | | l  | l l /
       八/ ノ/ /ニiム i:i    〉 ○ 〈|  /::i i : |i i| :ム ヽ .l l l / //ノ
         ヽ/_j_ノニニ}ニ', i:i   ゙¨M¨´゙テ´゙テ´゙テ´゙テ'テ'´ゝ、{_j_j_/-'‐'´ニム
         /ニニニニニjニニ', i:i  トイ^トイ(___)(___)__)  ) .)ニニマニニニニニニ=ム
         ,'ニニニニニ∧,ィニム i:i ゙マMヌ i::i マニニニ`¨´ー'ニニニlニニニニニニニニ厶
        ムニニニニ=fミ// ○ム i:i     i::i マ○ニニニニニニニ{ニニニニニニニニニ
       . ムニニニニ={0)≪=ニニム i:i     i::i マニニ__NMNィ_ムニニニニニニニニニ
       .ムニニニニニムvfミ○ニニ厶 i:i      i::i マニ> (○<ムニニニニニニニニニ
       ムニニニニニニムVニニニニニニ', i:i     i::i マニ≧wv≦ニムニニニニニニニニ

     ┌──────────────────────────┐
     │                                     ...│
     │        「やる夫が軍艦総長になるようです。」         .│
     │                                     ...│
     └──────────────────────────┘
           原作:「軍艦総長 平賀譲」(内藤初穂、中公文庫)









396 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:01:30 ID:JY9SH6xk0





| こんにちは、「やる夫が軍艦総長になるようです。」
|
| ナビゲーターの桃園ラブだよ!!           
|                                 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| みんな、この作品を見て幸せゲットするんだよ!! | 同じく本作のナビゲーターを担当する東せつなです
\__________  ________/.  |
                 | /               .| 精一杯がんばりますのでよろしくお願いします!!
                 | /                \
    〉       |  _, -―- 、⌒ー、           ,  ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    /  ,       r宀くx. -―/⌒ \  し1       /. : : : : : : : : :/:ヽ
   { /{  , ---人__/   /|     \ く      /: : : : : : : : : : : :l: : : :',
    ∨八{  // |/   | ∧ l   |   V´     /: : : : : : : : : :> '´l: : : : i
     }'  ` /  l ||   /y≠Vヽ  h| |     ,: : : : : : :/:/    l: : : : :l
       ♀  vヘ、 {/ {rツ`  rテV /     |: : : : : :/⌒   -、|: : : l: |
       {}   { ヘ \{ `゚゙   〈{シ' /      l : : : : /=ミ`  _   |: : :/:/
            ゝ     ヽ _ ´厂       ヽl: : : l   ,  -=ミj: : :l/
          l ̄ ̄l 、      /          j:ハ: :|  ,、 _   /l: : l
         , --、ヘ.n  | 丶-‐<           _ノ : N、 Lノ  /: :l: :.|
      /   /^\ 寸ニ{\ / n          `ァ: : : /こヽく: : : :.ヽ:.!
       /   〈  ⌒ゝ'. } / / レヘ      / ̄/: : : /  --、J|: : : : : Y
       l    lハ   〈\V /ノ /⌒ 〉.     /  レ{: ::|  イ´ |j: : : :|: :ハ
      /   / 〉  /\V 〈 し、 /      〈   l人: |   |  /ノ: : ノレ  |
      / _ //  /   [|  l  イ1      l/   \.人 / _ノ ̄ノ   /
    /  /   /  ̄ \l/|  l〈        〈   /{  /l  ト、 く/  l/
    | r/   /     /' |   ヽl       l  ∧_/「 |`Y  |/   /
   〈/´   /  「l   { 「l|     |      /l /    ート-' ̄l   /l
    l    / 〉   |」   〉 |」 \_/     /-|     /|   ヽ /-|





397 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:02:17 ID:JY9SH6xk0





            ,  -‐=== 、           本作は軍艦デザイナー平賀譲の生涯について
           /        \、  
          〃        _,ノ ヽ        取り上げていくスレッドです。
            /      ,≠´   `l l 
          ,      ,ィfメ、   _-、l |        お約束通り本作内では「やる夫」が平賀譲役を務め、
          |     ハ ノ     f^iVl l 
         l  l: : :i ' '   〈 ー'/l /        その名前は基本的に「やる夫」で統一します。
        ! ハ :|  }ー 、   /: /  
        _j :| ∧:|、  ー' /: :/         内容に不備なところがあればそれは総て筆者の責任です。
       ` ァ:/  : ハ! \_  イ |:/l/
         /:/   { 、   l: : :l l(           指摘があればよろしくお願いします。
      _ 」:{:{ ゝ.\ーv'^ソ ハ     
     /   `\ { ̄[ {o}`7: : :}、          また、平賀の文章はその多くが残され、現在では
    /_      `¨ \ { } ナー' ヽ   
    ヽl \    /    [\/l   {   〉        デジタルアーカイブとして閲覧が可能になっています。
    |  \ /     ┌冂┐ `ヽ'  
    |   lノ´     └凵┘   ノ         興味を引かれた方はぜひ閲覧してください。
                        

 平賀譲 デジタルアーカイブ

 http://rarebook.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/hiraga/index.html





398 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:03:17 ID:JY9SH6xk0





          /: : : : : : : : : : : : : : : : : : >―― 〈: : :ヽ
          /: : : : : : : : : : : : : :ァ≦        l : : :|     ……さて、前回はやる夫の総長就任を描きました
         ,: : : : : : : : : : : : :/=ミ      _ | : : |
         l: : : : : : : : : : : ://::しリ     / ィ=ミy: : :!     やる夫の総長就任は、やはり
         |: : : : : : : : : : :/ 弋シ      /:しハ! : : |
         |: : : l : : : : : :/        , 弋シノ| : : ;     色々な意味で注目されたわ
         |: : : | : : : : :/            {    ,: : :/
         |l: :!|: : : : :l             /: :/      異色の経歴を持つ総長だけに、
      ト--‐'/: :|: !: : : : : l     ⌒、ー    /: :/
      ー‐/ : /: j: : : : :/            / : /        その大学経営者としての能力は未知数だったからよ
        / : /: : |∧: :/           /: : : /
     , -'―/: : : : : :Vl   \      /l: : : : /         そして何より、大学に関る人間たちは
    /    {: : : : : : : {\    `ァァく: | |: :/l/
    /     ヽ: : :l: : : :ヽ   ̄ 「 〈: {: : \ !:/           それぞれにやる夫が自分たちの立場を
  ノ イ  ̄ ̄`ヽ \t : : : : \  \}: ヽ: : : |'丶
  {´ |      \\: : : lー` t--o)ノヘ: : : : : :)- 、        最大に優先して動いてくれることを期待したの
  \ |        \l>=ゝ   )ヽ \ ノ: : : :ノ l \





399 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:04:24 ID:JY9SH6xk0





: : :/:/     l: /: : : : ハ: : |: : : :l: : : : : : : : : Vl      l: :/
: : Ⅳ     /l/: : : /: /ヘt: : : :l\:\ : |: : : l:|l      jノ
\{     / l: : : :/V  ノ\: :|ゝ_\ : |: : : リ |           以前説明してくれたよね
      〇八: : :|       ``   ヽ|: : :/ 〇 
      /}  l\ ! =≡≡   ≡≡= j/ l {ヽ          学内には国家主義派(革新派)、自由主義派、
       {/   ゝ ト , ,       , ,  l ノ  ヽ}
        __人             人__            マルクス主義派の三つの派閥があったって……
      /    l>   c:っ   <l    \
    _/  l    \\≧―≦//    l  \_        でも、三者の要求を総て満たすことなんて
   [_ \   V    \\ー//    V   / _]
    lーt  ー|     {\∨/}     | ー' -イ        絶対にできっこないよね……
    |   ̄`|      ] |×| [        |´ ̄   |





400 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:05:07 ID:JY9SH6xk0





             , -―- 、_             その通りよ
            / . : : : : : : :i:`ヽ.  
            /. : : : : : : : : : :}: : : ヘ          文部省や革新派はやる夫が軍人であることから
         /. : : : : : : : : : : :.人: : : :ハ
         /-‐: :i : : : : :_:./  Vー-:|         河合休職などの武断的施政を期待したし、
           l: : : : |: : : :.∠_`  ーl: : : :|
           |: : : : |: : ィ代゚jl`  fハjY: : :|         自由主義派は逆に革新派を抑制する英断を期待したの
          |: : : : !: : |`宀′ { ゚‐'l|: : :,
         、_ノ: : : :人: :|       /!:.:./         マルクス主義派は大内の検挙で表だっては消滅したけど、
       /: : :l::{: : v:|\  ´`/ j: / 
       /: : : :.:l:: : : ::ヾト、>イ   /'           それとはまた別の過激な考えとして、騒動の発端となった
        {/: : : : ゝ、: : : >-\ 
       V: : /-‐'  ̄ /´ ̄`\            経済学部を粛清して土方・河合・大内などの教授を
         |V/、___,/ ̄ ァ ̄`l
        | l'        l  /     |           総て追放する荒療治を期待する意見もあったの
       | |       ヽ |     | 
       /、|        |   \.〉          現実的な利益を追求する実利主義的な考えね





401 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:06:07 ID:JY9SH6xk0





           -、 r≠' _    \ _ノ    /   〉
         __j,ノ  r亠-   ―-[///]       {_
        _「   /〈      ̄`ヽ个く |        ト、    でも、何をどうやってもどこからか
       (   /   }     |     vl | ゝ _       /
         ノY{ |  |,ム.ト、 ト、h、 | |   }ノ  //      恨みを買いそうだよ……
     ゝ{//トノ1 |i代テ’ }' ィ=ミj|  | }フ   (  {{
    r'ナ⌒Y1  |人! ' '  ,  ' ' j /、     \ノ        やる夫さんのバランス感覚、
     ) _ノ レ'´ / ゝ. c==っ イ  \ヘ
     (´  / } \\ | >--< / / / ∧           どこまで通用するかな……
          | }フ  l/ トイ介ト-'  l / / |
          |   \  \{⌒}  / 厂 ノ〉





402 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:07:06 ID:JY9SH6xk0

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            第二部第4話(通算第18話)   興亡をになって

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403 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:08:06 ID:JY9SH6xk0





┌───────────────────────────────────────────┐
│ 三様の期待を受けたやる夫は、総長二日目の午後一番に全学教授への挨拶を済ませるとすぐに    │
│ 軍艦の設計条件を整えるときの手法さながらに、期待度の軽重を分析する作業にかかった。      .│
│ 昭和13年は残すところあとわずか10日であった。                                │
└───────────────────────────────────────────┘

       _____
       / _     _\ 
.    /      ̄` ´   \                          まずは各派閥の規模や
.  /  ─ (  ● ) ─ ( ●)- \
. /         /   !   ヽ    \   ___,. -、               考えを知る必要があるお
/       ( ( ゝ__ノ ゝ__ノ))   ヽ ( ヽ-ゝ _i,.>-t--、
|           ` ⌒ ´       |  `''''フく _,. -ゝ┴-r-、       その中から拾うものは拾い、
|                        |__,.-''"´ / ̄,./´ ゝ_'ヲ
ヽ      _____      /   / _,. く  / ゝ_/ ̄|       捨てるものは捨てていくんだお
:.ヽ‐'''!-‐''"´:::::::::::::::::::::::::::::: ̄ ̄`~''‐-、_/ にニ'/,.、-t‐ ┴―'''''ヽ
  \_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/  /   .(_ヽ-'__,.⊥--t-⊥,,_
\    ̄\―-- 、 _::::::::::::::::::::__::/  /  /   ̄   )  ノ__'-ノ
  \    \::::::::::::::`''‐--‐''´::::::::::/  / / / ̄ rt‐ラ' ̄ ̄ヽヽ
ヽ  ヽ\   \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/      /   ゝニ--‐、‐   |
 l   ヽヽ   \:::::::::::::::::::::::::::::::/           /‐<_  ヽ  |ヽ





404 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:09:06 ID:JY9SH6xk0





┌────────────────────────────────────────┐
│ 12月23日(金)、焦点の河合を直に質すことは後に送り、まず門下の山田文雄教授と会談。    │
│ 自由主義派の一般的な思考傾向を聴取。                                  │
└────────────────────────────────────────┘

  7::::::::::::::7:::::::::::::::/:::::::::/  //   i::::::::::::::::::::::',
 ,':l::::::::::::/::::::::::/::::///   __ノ____   !:i::::::::::::::::::',
  i::::::::::::::::::/:::/ミ //   '"_.三___` i:j::::::::::::::::::::、 
  j:::::::::::://、j::/●゙ヽ "    ,彳_●_ノ   ,::::::::::::::::::::i`       ────河合先生は自由主義派の
  i::::::::::ii   j/ ' ̄     `       /j::::::::::::::::::::l
  i:j::::::::|i                   / ,'::::::::::::::::::::',       言わば「神」であります
  j,'::,:::::l',                 '  /i::::::::::::::::::::、
  "ソ i:::::l::'        丶 -        jメi::::::::::::::::::l        我々はただその神の仰せの通りに
  " l:::::i::',                 / ,::::::::::::::::::ii
    i::i::::j::ヘ    , .,,,、_,....、..,,      ,::::::::::::::::::::l       動くだけであります
    j:::::メ:::::ヘ,      、_____,         /:::::i:::::l:::::::i:i
    メ:ソi::::::::::ヽ             , ':::::::l:::::i:::::::i::l       神はこうも仰られました────
    j  i::l:::::::::| ヽ         ,/:/::::::i:::::::l:::::::lヘ:i
     ソ !:::::::::l  ヽ       /::/:::::::::i::::::l:::::::j ヾ
     _l:::::::::l    'ー---.ィ::::::::::ノ::::::::::i:::::::i:::l



     ____
   / ~~~\     
  /  _ノ  ヽ、_ \       (……さすが学内一の「無能教授」だお、何を言いたいかよく分からないお……)
/   -(●)―(●) \ 
|   ( ( (__人__)))  | 
\          /





405 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:10:06 ID:JY9SH6xk0





┌─────────────────────┐
│ 12月24日(土)、農学部の那須皓教授と会談。  .│
└─────────────────────┘


             ,i /WN\
           /!/:::'::::::.:::::::::\、
        /::::::.:.:.:.::.:.:.:.:::::::.::::`ヽ.、
.       /!/:::::::::.:.:.:.::.:.:.:.::::.:.:::::::::::::::',            我々は「東亜新秩序」の形成に
      /::::::::::;:--、:::::::::::::::::;へ::::::::::::',!、
     ト::::::/   \M/    ゝ:::::::::|           邁進しなければいけません
     |::::::彡           ミ::::::::::!
     |::::::l' _,.==、 ,.==,._ ';::::::::|           そのためには、大学不安定の原因を作った
     /!:::/ ーニ・ニ>   :::.<ニ・=‐ ';:::ハ
     ト';:::l    '"´  ::::.``ー    !:レl !           経済学部を根本的に改造して、
     ヽ',::l:.       ::::     .:::!:!,'/
      ',l::l::.    ヽ __,r    ::::l:レ'            内紛の責任者をすべて処断しなければいけません
      ';ト';::.  _____  ::::;'/l!
       |! ';、 ´   二二ニ  ` :;';' |            農学部ではこの考えが主流であります
       |  ';ヽ           /;'!
       /|j、 \     , '::::/ ト、
 __,. -‐/;', \   ヽ、_/:::::::/ !;:`ー-、
´:;:;:;:;:;::;:;:;:/;:;:;',  `ヽ、__ :::_,. -'´  /;:;:;:;:;:';:::`ー-- 、_
;:;:;:;:;:;:;:;:;:〈;:;:;:;:_',   /二ゝ、   /;:;:;:_;:;:;::';::::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:>'´;:;:',  ,ヘ     ハ、_/;:;:;:;:;:;`ーく::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
;:;:;:;:;:;:;:;:/;:;:;:;:;:;:;∨  〉ー‐〈  /;:;:;:;:;:;:;:;:;:/;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;
;:;:;:;:;:;:;:;:ヽ;:;:;:;:;:;:;:;:;ヽ /    l /;:;:;:;:;:;:;:;/;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;

那須皓(なす しろし、1888年6月11日 - 1984年3月29日)農学博士。

専攻は農業経済学及び農政研究。国内農業問題解決のため日本の農民を中国東北部に入植させる
「満蒙開拓移民」の推進役となった。





406 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:11:06 ID:JY9SH6xk0





┌─────────────────────────────────────────────┐
│ この日、やる夫は「人民戦線事件」で起訴された大内教授と脇村助教授との休職を文部省に上申した。   │
└─────────────────────────────────────────────┘


        ____
      /     \
    /    ;   _ノ′                大内教授はやる夫が一度起訴前休職は
   /     ∪ ─(●
   |       "`(( (__) ……           不適当であるとかばった男だお
   \、          /´ヽ
     )       ィ ("_ノ              その男を処断しなければならないのは、
      / /⌒ヽ    ヽ ) |
      i l   |     |  |               文官分限令による事務手続きとはいえ、
      | |   |      |-‐'
      |.|   |       |                また佐藤総長事務取扱からの引継事項であるとはいえ
      i〆  /       |
     ヾン´       l                 総長職の業なのかもしれないお……
      |     ィ  |
      l    |   /
        〉    ノ 丿
      /   //
      く、.,、,.,,(,≒,.,.,、 ,, ,. ,,, 、,,,., ,





407 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:12:06 ID:JY9SH6xk0





┌────────────────────────────────────┐
│ さらにこの日には、河合教授への警視庁特高課による取調べが開始されており、   │
│ 休職上申の可能性は一気に高まった。                               │
└────────────────────────────────────┘


     ,...::´:.イ:::::i:::\:::::`:..、
    /.::/.:::!i:::::i::::::::ヽ::::::::\
   ,.':/::/::::i:::::!i::::::!:::ヽ:::::!:::!:i:::.:ヽ          何をどう聞かれようと、
.. /::/::::!:::!::i:::::!i::::::!::::::::::::!:::!::!::i::::!
  i:::i::i:::|:::i::::.::::i:!:::::i::::::::::::i::::!::i:::i:::i          僕には本来罪などないのだから
  |:::i::i:::|::::ヽiヽリ、::::!::::::::i::|::::!::i:::i:::!
  !ヽ::ト、!ヽ:::jィ赱ハ::!:j::i:::i::! ヽ::i:::i::ト、         君達の言わせたいような答えは出てこないよ
    ヾ7  ´   ノノ |::i/:::! j:::i:::iリ
    〈 _      i/ ヽiイ:!::i:::i'
.      ヽ_.. _       /   トj:::iN
.      iー     / /```ヽ
       ゝ--rrf´ /   ,  ´\
         トi´/  , ' ,...:':::::::::::ヽ
         i !j , .', .'.::::::::::::::::::::::::::i
         //' / ./.:::::::::::::::::::::::::::::::!





408 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:13:06 ID:JY9SH6xk0





┌──────────────────────────────────┐
│ 12月25日(日)、那須教授を自宅に迎え、なお詳しく経済学部改造論を聴取。  ...│
└──────────────────────────────────┘


           ___
         /.~~~\          ……那須教授からの事情聴取で、土方派に対する
        /  \Ξ/  \  
      /  ( ●)―(●)  .\       学内の反発が予想以上に強いことが分かったお
      | :::::( ((__人__)))::::::: |
      \    ` ⌒´    /       やる夫も工学部長時代に土方の横暴を確かに見ているお
       /,,― -ー  、 , -‐ 、
      (   , -‐ '"      )       「獅子身中の虫」である土方は切らねばならないが、問題は
       `;ー" ` ー-ー -ー'
       l           l        その後で見え隠れする陸軍中堅将校団だお……





409 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:14:05 ID:JY9SH6xk0





┌──────────────────────────────────────┐
│ 土方に対して手を打つには、陸軍に対する対策が必要で、その手を打ち損なえば      .│
│ 陸軍軍人荒木と海軍軍人やる夫の対立、ひいては陸海の対立を招く恐れさえあった。 ......│
└──────────────────────────────────────┘


          ___
         /     \           まずはやる夫自身の背後を固めないといけないお
       /   \ 三 /\
     /  ─(●)─(●) \        そのためには海軍関係にしっかりとやる夫の考えを
      |   :::::( ((__人__)))::::|
     \      ` ⌒ ´  ,/        伝えないといけないお
      ノ          \
    /´      _i⌒i⌒i⌒i┐ ヽ       週明けには海軍省に顔を出して、やる夫に対する
    |    l  ( l / / / l
     l    l  ヽ       /         協力を取り付けないといけないお





410 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:15:05 ID:JY9SH6xk0





┌───────────────┐
│ 12月26日(月)、海軍省を訪問。 ....│
└───────────────┘


                  ∧  iニニiニiiニニiニi
          †_____| ̄|_____/;:;:'i,....|  |;;| |  |;;|iニニiニi               iニ::iニi
     †  'i.|.i' /;i 'i.|.i'   'i.|.i';:;: ;,;'†iニ 'i.|.i' 'i.|.i' .'i.|.i'.ー†、,______________| |::|
    ∧ ,i鬻i、; i ,'i鬻i`、 /鬻i、;;;;;;∧ /i鬻i,/i鬻i/i鬻i、::∧ :.::.:__::.::.:.__:::.:.:..__:.::.:.__: \!_|
   |/ 'i,_iニニニ.、iニニニニヽiニニニ.、:/  'i, ニニ'i,,,ニニ'i,,ニニ,/  'i,::/∧:::/∧:::./∧.::/∧:::/∧
  ,,,/i''"``i:|i--i|;:;||i_i i_i |;:;|:|i--i|;:;|i''"``l|i--i|;;|i--i||i--i;i''"``i:| i:ロ|::| i:ロ|::| i:ロ|::| i:ロ|::| i:ロ|\
 | / i''"``i;|i_ii_i|;:;||i_i i_i |;:;|:|i_ii_i|;:;|i;ロ;: ||i_ii_i|:,|i_ii_i||i_ii_i;|;;   |ニニニニニニニニニニニニニニニニニニi
, ;|/__i'ニニi'ニニニニニニニニニニニニニニ;:iニニニ|ニニニニニニニニニ;iニニニ|:                |
;;`|∩| ::::l |i--i|; __|ロロ|_,,|i--i|;;:;|   | |i_i| |.|i--i| |i_i| |;;   | | ̄| | ̄| | ̄| | ̄| | ̄| |
; |:! !|コ :::i |i_ii_i|; iLiLiLiLiL||i_ii_i|;;:;i;ロ;: | |i_i| |.|i_ii_i| |i_i| |;;   | |_i_i| |_i_i| |_i_i| |_i_i| |_i_i| |
;!;:|:!_!i'ニニiニニニニ `ー--- "ニニニニ;:iニニニ|lニニニニニニニニニiニニニ|ニニニニニニニニニニニニニニニニニニi
; |  | ;;::i|i--i|;| ;;i:, '⌒`、| ;;i|i--i|:;|   | |i_i|;, '⌒`、:|i_i|;;|;;   | ..!;;:∩|''⌒ 、 !;;:∩| |i_i| :|i_i| |
; |  | ;;:;i|i_ii_i|;| ;;i:|   || ;;i|i_ii_i|:;i;ロ;: | |i_i|;|   |:|i_i|;;|;;   | ::!::::! !|::...  i !::::! !| |i_i| :|i_i| |
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:';:;'':'`:';:;'':'`::';::;::':';:::;;:':';:::;::':';::':';::;;::;;'':'`::';::;;:`:; ニニニi,,':';::':';:;'':'`:':';::':':';::'::';:::';:;'':'`::';::





411 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:16:05 ID:JY9SH6xk0





┌──────────────────────────────────────────┐
│ 折から海軍省は、対米軍事増強を目指す「④計画」の予算編成で昼も夜もない状況であったが、 ....│
│ 「軍艦の神様」は丁重に迎えられて、激励の言葉を各所で浴びた。                         │
└──────────────────────────────────────────┘


           ト、  ト、 |\   ∧
         _|:.:.:\|:.::ヽ!:.:.:.\/:.:.|
        _>:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|/|               お久しぶりですね、やる夫さん……
        \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.へ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.¨フ
       弋´:.:.:.:.,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.く              米内海相は今日は留守ですが、
       <:.:.イ:.:.:.:/.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.!:.:!.:.:.:.ヽ:.:_,>
      弋´.:.:.:.:.:.:/.:.:.:./ |:.:.!:.:.:.:!:.ハ.!.:.:.::.:\              米内さんに訊ねるまでもなく、我々海軍は
       <:.:./.:.:/:/T ト、∨:.:.:/!レ小:.:!:.小、>
       <:八 小| 代圷 |:.:Ⅳイタヽ小|ヽ!              対独軍事同盟を急ぐ陸軍には参っています
        厶込、N   ̄ レ !  ̄ ム、
         rイ!.ハ     , j   八 \               陸軍大将の荒木文相が何を言おうと、
         / V  ヽ  ー : -'  イ    \_
      ,. -へ.  \  >、 _, ィ \ /¨「 ̄ ̄ `ー 、          我々はあなたを全面支援しますよ
     /     ヽ   \  /  ',  \ !       }、
     /     / !   \   |\ソ |       /  \       そのためにあえて陸海対決も辞さない考えです!!
.    /     /  ,    /マニ/ / ,厶    ∠、    ヽ、
   /     /   ',  ∧ G〉/ / /  \/   \     \



       ___
     /\  /\           ありがたいお、山本五十六次官!!
   /( ⌒)―(⌒)\
  /:::::( ((__人__)))::: \        総長としてやる夫は、海軍の面目を潰さないように
  |     |r┬-|       |
  \      `ー'´     /        精一杯勤めるお!!





412 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:17:05 ID:JY9SH6xk0





      /:::::::::::::;::::::::::::::::;:::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::;:::::::ミ≠=‐
    ./::::::::::::::::::!::::::::::::;::::::::::::ヽ:::::::::ヽ:::::::ヽ\:::::::::::::::;:::::::::\\
   ∠.-‐ フ::::::;'::::;::::;:::::l:::::;:、::::::∧:::::::::ヘ:::::∧ `ヽ::::::::::ヽ::::::::::ヽ        しかし、海軍省にこられるのも
     /个::::::::::!:::;:::: l介' \::ヽ \:::ゝ ミ、\  .}::::厶` \
    // /::/:::::l::::::::::l∧_厶 `\  \  .l:リ : :  /::::::::ヘ\          久しぶりでしょう?
    '   / .Vv'l::::::::/  !弋リ:        レ': : : /::::::::::::ゝゝ
         レ'l::/ .}  .¨           ノ人::::::::::::\          その間に艦本第四部長も山本幹之助君から
          /    l             l VvⅣヽ仆`\
               ;             .;: V ::/ゝ            桑原重治君※に変わりましたしね
              t_ . .            ;  .,ー― ‐ 、
                z   /       ∠ ̄        ヽ      そうだ、今ちょうど艦政本部長の
                   ゝ     ∠             }
                   ゝ<                 ゝ     上田宗重君がいます
                  /¨                    厶
                 ./                        \  会っていかれますか?
             ‐ ― '                           ヽ、
          /                                  \

※桑原重治:最終階級は海軍技術中将。呉工廠造船部長、艦本第四部長(昭12.12. 1就任)を歴任。





413 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:18:05 ID:JY9SH6xk0





         /  . :          . :`ヽ     `ヽ
         / . : : /      . : :}  . : : : : : }      ハ
       / . : : : : / : / . . : : : : :ハ: : : : : : : }   トヘ  .ィハ                お久しぶりです、やる夫さん
        / . : : : : / : /. : : : :./!: : : :ト、: : : : : :!  人 Y フハ
      ' !: : : : /i: /: : : : :./ j: :.八:! ヽ: : : :,′ <⌒ o く : ハ               新戦艦計画では
     / : : : : :/ j:ハ: : : :/,,-ァァ¬ト ハハ/   `7 ト、 ヽ∧
.    /  .ハ : : :レ'「`ヽ: :i :{ / /´ァテ示ミV/     いノ: :`^′: \             ずいぶんとお世話になりましたね
   / . :/∧: : { _」二ヽ|八  〃 いし:「》 . : : : : : : :.:i: :i : : : : : :\
   ,′. :// ∧ハ〃んハ       r'.::ツ/. : : : i| : : ト、ノ:八: : : : ト、: : \          総長就任、
   . : : : : : : :ゝ:}ハ r'::ツ      ´ ̄ //!: : :||: : ノく Y: : :\: 八 \: : :ヽ
  i : i : : : i : : : :.:} ^´ 〈        /(  |: :ノj/) } ハ : : : iト、: ヽ  ー-=ミ       本当におめでとうございます!!
  |:i i: : : :ハ/|: i    ____,     |'´〃^   イ: : : : : 八: : : : \     `ヽ
  |:! i: /   j从    Y^ ⌒^'|        r‐< : |: : : : :/: : \: : : : \         もちろん応援してますから!!
.  从 !'    /. :.:.\   V  丿      |: : : :.从: : :/: : : : : \: : : : `: ー--‐==
        / . : : : :.:\  `こ´      .イ  ├‐-=ミノ : /: : : : : : : :`ヽ: : : : : : : : : : : : :
        , '. : : : : : : : : \            ∨ .:/: : /三二><: : : }ヽ: : : : : : : : : : :
      /. :/. : /!: : : : : : :` ¬!          / /. : : /:::::::://⌒>x   ): : : : : : : : : :
    / . :.:/. : / j: : : : : : :_/:::|        /.: : : : : :/::::://  ´   寸ニニニニニ==ミ
.   / : :.:/: : / r┬一'´.::::::/j      /. : :/} : :/:://  /      \::::::::::::::::::>>::ヽ

上田宗重(うえだ むねしげ、1884年8月15日 - 1939年1月26日)最終階級:海軍中将。

海軍機関学校13期卒。機関学校教官、海大教官、佐世保鎮守府機関長などを経て昭和4年少将昇進。
さらに、海軍技術研究所科学研究部長、軍需局長を経て艦政本部長となる。
中将昇進は山本五十六と同じ日(昭和9年11月15日)で、史上初の海機卒の海軍大将を期待された逸材であった。





414 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:19:04 ID:JY9SH6xk0





         ___
       / ⌒ ~⌒\            海軍省の同意を得て、これで
      /- (⌒)─(⌒)\
    / .:::::::(((__人__))):::\         やる夫の背後は充分固まったお
     |       `Y⌒y'´    |
      \       ゙ー ′  ,/         後は情報収集を続けて
      /⌒ヽ   ー‐    ィヽ
      / rー'ゝ       〆ヽ         学内の派閥の考えを把握することだお
    /,ノヾ ,>      ヾ_ノ,|
    | ヽ〆        |´ |





415 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:20:04 ID:JY9SH6xk0





┌────────────────────────────────────────────┐
│ やる夫はさらに情報収集を進め、27日には土方派の本位田教授、28日には山田教授と再度会談して ....│
│ 3派閥の思考形態をほぼ把握した。                                               │
└────────────────────────────────────────────┘

         ___
       / ~~~\
      /   ::\:::/::::\         三者に譲り、妥協する点はまったくないお
    /   (●)―(●) \
    |  ::::::::(((__人__))):::::::|       しかし問題は、三者の選り分けを思想面で行うなら
    \     ` ⌒´   /
       ̄(⌒`::::  ⌒ヽ         例えどれかを排除したとしても、残り二者の不協和音が
        ヽ:::: ~~⌒γ⌒)
         ヽー―'^ー-'         ますます増殖するだけだということだお……。
          〉    │





416 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:21:04 ID:JY9SH6xk0





              ________                ..┌─────────────────────┐
            .|              |              . │ 大学の安定化は、文部省が要求する       │
            .|              |              . │                              ..│
            .|    土方派    |              . │ 河合の休職だけでは実現できないことが     │
            .| (国家主義派) |              . │                              ..│
            .|              |              . │ やる夫には明解になった。              │
            .\        /               .│                              ..│
 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/\___/\/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|    │ やる夫のバランス感覚に引っかかったのは    │
 |              \        ./             |    │                              ..│
 |  河合派     ...|      ..|  学部改造派 .....|    │ 二者の同時排除を主張する学部改造派で    ..│
 | (自由主義派) ... .|――――‐| (実利主義派) .|    │                              ..│
 |                |       |               |    │ あったが、それには文部省が後押しする    ....│
 |                |       |               |    │                              ..│
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    ..│ 土方の排除が問題となった。            │
                                    .└─────────────────────┘





417 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:22:04 ID:JY9SH6xk0





..      ____             問題を思想問題とせず、なおかつ
     / ― ~-\
.  . /  (●)―(●)          文部省を納得させる土方排除の根拠を見つける……
  /  :::(((__人__)))\
  |       ` ⌒´   |        解答は見えているようで、いまひとつはっきりしないお
.  \           /
.   ノ         \         ここはやはり、田中君に頼るしかないかお……
 /´            ヽ





418 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:23:04 ID:JY9SH6xk0





┌─────────────────────────────────────┐
│ 年の瀬も押し詰まった12月28日の夜、やる夫は田中法学部長と舞出経済学部長を  ...│
│ 自宅に招いた。                                             │
│ やる夫は特に、田中の政治的悟性に期待していたのである。                │
└─────────────────────────────────────┘


  ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
  : ___:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
  |   :|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
__,.|  :|__,.,_ _ __ __,.,___,.,__, ,__,.,_ ____ __,.,_ _ _ ,.,___,.,__,, _, _,, _ __,.,___,.,__,,____ ,_.
  |   :|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
  |  :|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:__________:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
  |  :| :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. /\::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\:. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :._,,-
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  |  :| : : : : : : : | ___  |    | ̄| ̄||≡|   |_ : : : : : :|.l-
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  |_..:|          //  \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ .,,-''!.i-
  | ̄ ||         ∠/     \______________\,:::!.i-
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  |≡ || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|   |┐┐|||| :::| └| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  |≡ ||::::::::              |   |┐┐|||| :::|__| | ─┐
  |≡ ||::::::::              |   ├―――‐|   | |   ̄
  | ̄:::|::::::::              | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
,、,.|,.、.,,.|、.,.,,.、.,.,,.、.,.,,.、.,.,,.、.,.,,.、.,.,,.、.|,、,.、.、、.,,.、.,.,,.、.,.,,.、,.,| |、.,.,,.、.,.,,.、.,、.,.,.,,.、.,、.,.,.,.,.





419 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:24:04 ID:JY9SH6xk0





                 _,,. ..,,__                              , -=ニ三三ニ=-、
             ,.-‐':´:::::::::::::::::`ヽ、                         .ム三ア⌒フ⌒フ⌒ム
            /:::;;-、_::_::::::::_::_::-、::ハ                         {三{´ _.二._ー一'リ
              l:::::i  ' ゙|"´) !  ';::ハ                         {こソ  rt テ   ,五{
            !::;',,.-、_  ,,.-‐-、 ';/                        〈 テ !    ̄   {   |
            〉l ´ ┰゙ ゙!  '┰` y、                 .        `V{      {_} |
            { !、 ` ´ |  ` ´ イソ  …………                   ハ          ,   …………
             ヽl     L     i´                           ムへ、    ̄ ` /
             ,,..ハ   __ _   ハー、                        /\\` ー‐  '
         ,,、-'´:.:ハ 丶   ‐  / !:.:`≧。-、               , -─<|:.:.:.:.:ハ `ー'X,ハ
     ,,..-f´-゚‐´:.:.:.:.:.:.l  、ヽ、_ /  i:.:.:.:.:.`ー':.:L`ヽ、.       .,  -<:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:ハ   /::::Vト  .
   /゙〈"´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|ヽ▽,〈;;;;;〉、 ▽/!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.7´::ヽ      /ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:ハ∨ ><. l:.:.:.:.:.:ト、
  /::::::::::ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l ヽ' 「;;;i `",':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./::::::::::ハ     /:.:.:ハ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\/:.:.:.:.ハ |:::::| ト、:.:.:.:|:.:ヽ





420 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:25:03 ID:JY9SH6xk0





           ___
         /.~~~\          話というのはほかでもない、大学問題だお
        /  \Ξ/  \  
      /  ( ●)―(●)  .\       まずは河合教授の思想問題をどう処理するかだお
      | :::::( ((__人__)))::::::: |
      \    ` ⌒´    /       いずれ起訴は免れぬだろうが、文部省の
       /,,― -ー  、 , -‐ 、
      (   , -‐ '"      )      強硬姿勢からみて起訴まで休職を抑えられるかどうか……
       `;ー" ` ー-ー -ー'
       l           l        諸君はどう思うお?





421 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:26:03 ID:JY9SH6xk0





┌────────────────┐
│ やる夫の質問に、田中が答えた。   │
└────────────────┘


       _.. -= ' ´  ̄ ` - .,_
     ,r'",,;;  ,;;;; ,,;;;  ,;;;;;;;;;;,,ヽ、           総長……
    / ;;;,  ,,   ,,,,,;;;;;;;;;;;;;; _ ;;;;;, ヽ
   ./;; r- ...,__  ,.. -y ヽ  ̄`i ;;;;;;,,ヽ,         大学としては、結論はどうあれ
  ,i ;;; l  / ノ ~l;'~       l ;;;;;;;;;; i
  i ;;;; i __, ...、 ! ,.- ., ___  .v ;;;;;;;; l         自主的に判断する必要があります
  !, ;; i'-,- '''ヾヽ  ~`r' ー=-~` i r- 、i
   ヽ、i 'rーu-,i l   t'~"uー,.   l,lr' ll         文部省の言うなりになってはいけません
    i, i ヽ、_,/,i   ヽ, -'"   リ j i
     i     l :::.      ..::::  ,/         河合君の学説にしても、
      l    i_ ヽ     ..:::::: r'"-.,_
     i   ..,__ _ _、 ::::::::: i ヾ\~"ヽ      大学側で充分に検討しなければなりません
     ,._,-'"-' ~`二  '"  :::::: ,y ,i ヽ,
     ~_.ヽ    ''    ..::: ,-'" i   /i        それが「自治」というものです
  _,.-=' /, ヽ、      ,.-' ,'  ,r  ,y l
- '"   / i l丶,-ヽ- ='"  ,'  /  ,'  i





422 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:27:03 ID:JY9SH6xk0





         ____
       /      \            田中君、確かに君のいうとおりだお
      / ─    ─ \
    / - (●)─(●) -\         しかし、その検討会で仮に河合教授の思想が
    |  ::::( ((__人__))):::  |
     \    ` ⌒´    ,/         危険でないという結論が出たとしても、
     /⌒ヽ   ー‐    ィヽ
    /      ,⊆ニ_ヽ、  |          文部省が軟化するとは思えないお
   /    / r─--⊃、  |
   | ヽ,.イ   `二ニニうヽ. |



      ____
    /_ノΞ ヽ_\              それどころか、場合によっては
   / (●)―(●) \
 / ::::::(((__人__))):::::\           休職処分を一方的に強要してくるかもしれないお
 |      ~~~      |
 \             /           その点はどう思うお?





423 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:28:03 ID:JY9SH6xk0





  / ̄ ̄ ̄ !  ,.イ_(: : : : : : : : : :≧、         その通りでしょうな……
  !  / ̄`ー'  '´,クヘヘ ̄ ̄ 7: : : : : : : ヽ
 ,' ,'       // '  ヽ  /: : : : : : : : : i        大学の自主的検討は、手続きだけの
 ! '、  .    / '´`ヽ   ゝ: : : : : : : : :リ
 ヽ ヽ,      ハー・ヲ   f: : : : : : : : /        自治に終るかもしれません
  / ノ .     /.`ー'    ム'´ヽ: : : : /
 { く.      {      /   ノ: : : /          しかし、それはそれでいいんです
 ,> > .     iTTTエユ   ーく: : : :/
 i ,' ,、_, 、   | ̄ ´       ゝ: ノ           問題の解決を思想の次元に求めるべきではないと
 ; i r=!く ヽ `ー- .,_, へ´  ヽ
 'ー・"`ヘ'  \_,. -‐ 7/   }、   ヽ           私は考えますね



       ____
     /~~~ \
   / ─ Ξ ─  \             ふむふむ…………
  /   (●)―(●)   \
  |  ::::(((__人__)))::::  |
  \     `⌒´     /





424 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:29:03 ID:JY9SH6xk0





          _..-‐‐ ゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;丶 、
        ..-‐";;..;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`ヽ
     ノ ';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、
    _/;;;;;;;;;;;;;; _,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_,,..- 一―'―───────────────────
   :,';;;;;;;;;;;ノ'"` 1;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_..‐'´        
  _..];;;;;;;;;丿   1;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;..广   経済学部が混乱した真の原因は、思想ではありません
_// 〃'ナ │    丨;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ 
,'’ l′│ ./ 、    '、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`;;;;; _-/     思想に名を借りた派閥抗争にこそ禍根があります
’ │  ′f   ゝ  ´゙゙''''‐ー--..、;;;;;;;;;/ │
  ヽ_ │_」rっ冖 ̄        \_丿 〕      例の大内処分問題でも、可否の票が5対6に分かれ
   ` lン' t―ー-..,,、        ゙ヤ' 〔  
   :f'、 _t┌'⌒T            卜     いずれも過半数に至らなかったではありませんか?
    ゙lょ ヾヘq j′           1  
     '.l   ゙'''´       ___,     '、     人事すら決まらないという機能麻痺です
     .|          /´       ヘ
    │         ´          ヽ、  その責任者として、河合君には
    │ ..=                 Tゝ 
    │ ン''''、                〕‐'`ゝ、_辞めてもらわなければいけません
     `=-彳  _ry             r′  l `f
        卜_r彡''´           /    1 ヽ────────────────────
        `''゙j''′           /      ヽ、ヽ、 丿  / _、  l
         ゙゙'ヽ、         /        ヽ `ゝ'´ ノ'´ /′ ノ
            |        ,,/          ^L/ン´ /   /
            .|      _ィ彡iぅ冖 、        /ン′ r'、   /
            ゙ー-...._-‐'" ..r丿   丶..--_ _ _ノ^丶 _〃 ヘ   ′
                 _/ 丿    :厂 ̄` ア    :l廴____) /
                 ll′ 丨     1   _ノ ...._    ̄   ,'
                 l 、 l      `'' ‐′   "゛-ー--.._│
               ../゙l)∟│
              冖―'冖‐’ ーー―――――――――――――ー





425 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:30:03 ID:JY9SH6xk0





       ____
     /~~~ \
   / \ Ξ ─  \             起訴前でもかお?
  /   (●)―(●)   \
  |  ::::(((__人__)))::::  |
  \     `⌒´     /



                    _,,. ..,,__
                ,.-‐':´:::::::::::::::::`ヽ、
               /:::;;-、_::_::::::::_::_::-、::ハ               ええ、そうです
                 l:::::i  ' ゙|"´) !  ';::ハ
               !::;',,.-、_  ,,.-‐-、 ';/               起訴如何は思想の問題で、
               〉l ´ ┰゙ ゙!  '┰` y、
               { !、 ` ´ |  ` ´ イソ               派閥問題には関係ありません
                ヽl     L     i´
                ,,..ハ   __ _   ハー、              しかし、河合君だけを辞めさせてはいけない
            ,,、-'´:.:ハ 丶   ‐  / !:.:`≧。-、
        ,,..-f´-゚‐´:.:.:.:.:.:.l  、ヽ、_ /  i:.:.:.:.:.`ー':.:L`ヽ、.       派閥抗争の過去を見る限り、
      /゙〈"´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|ヽ▽,〈;;;;;〉、 ▽/!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.7´::ヽ
     /::::::::::ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l ヽ' 「;;;i `",':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./::::::::::ハ      土方君も同罪です
     !::::::::::::::ハ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l]]|    |;;;;;!  ,'l]]:.:.:.:.:.:.:.:.:./::::::::::::::ハ
      !:::::::::::::::::ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!  l;;;;;;;|   !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:::::::::::::::::::|     だから、土方君にも辞めてもらう
     ,':::::::::::::::::::::ヽ:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ!;;;;;;;」 -´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:::::::::::::::::::::l
    ノ -':::::::::::::::::::::ヽ:|_:.:.:.:.:.:.:.:.,.‐´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:┌ヽノ::::::::::::::::::::::`i
    〉::::::::::::::::::::::::::::゙| o├--――‐:.''':.´ ̄ ̄「| o |ヾ::::::::::::::::::::::::::!
    /::::::::::::::::::::::::::/ヽ. /:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:`":.:.:ヾ:::::::::::::::::::::: ハ





426 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:31:02 ID:JY9SH6xk0




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
            .キッ!   / \ 三 / \  さすがは田中君だお、本質を突いているお!!
__________∧,、 /  (●)  (●)  \____________________
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`'` |  ::::(((__人__))):::: | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





427 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:32:02 ID:JY9SH6xk0





                \-_
                 /  \
        ,,,,___,,.-‐一'' ";;-‐ヽ  ヽ           理屈からいえば、二つの問題、
        「        \ ノ    l
       i         , へ               つまり派閥問題と河合問題とは別のものです
        "j          <
        }      __,,_,,./ } ヽ            だから順序としてはまず
        "「   .,/'゙ !`\   /
   __   ll   /″  ・〆ゝ  ヽ           当面の河合問題を片付けて、次に派閥抗争の
  √  i !!!!/      丶.´ l /  \
  | r⌒ヾ !!          '     丶.        首領を排除するのが正しいでしょう
  | { て !!!               /
  | L  )  !!!   ゝ、          ゝ         しかし、これを政治的に考えた場合、
  \ ""ヽ      \         /
    \_ソ      {         "";         河合君だけを思想で犠牲にして、一時的にせよ
     i        {          /
_,, .-‐''"    i ゝ             ヽ        加害者の土方教授を放置しておくのは
         i  l              i
         l  -             /        公正を欠くし、大学に対する世間の信頼を
          t  ゝ丶、._______/
          ゝ        ノ             裏切ることになります
           ヽ      /





428 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:33:02 ID:JY9SH6xk0





                       __,,, .............. -........,,..、
                  _,..-ー'"´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;´"''-、
                 ‐";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`'.
            /゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_....ー. 、.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`'、        派閥抗争の責任者は
            !,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.;.;-'''"´     .`''<;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙l、
            !;;;;|´゙7r.''>/'"゙|.!           :!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.l       思想に関係なく同罪です
            i";;″:l゙  .!|  `.l....-‐'';;;;;;¬-..,  .!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.l
           l゙;;;,lr'"'一.、゙′ ''"'''" ´ ...... ゙̄''!  .|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!       あくまで同時に
           l;;;;|./ . ̄⌒       _,,..、....,´   .! .;;;;;;;;;;;;;;;;;;;1
              i,ミ  .'"゙.,゙,.'..    : ゛ ゙┘  .゛    : (;;;;,,'''二''i,}      処分しなければならない
            ゙'/, .' / │    .. .ニ'''''"゛     .|;;,,〉i゙ .、 }!
                │ : -- │                  "."..゙_'.> |.!      それで初めて
             l゙    ,!               -    二  !;|
             、    .!  . : 、           l゙       .,./ ;|      真の安定が経済学部に、
              ゙、    ゙'゙´ ":┘        ゙    .:|''''|゙;;;;;;./
                  /                    ! :!;;;;;/       ひいては大学にもたらされると
               :!    .,i..iyィ==;;lljiフ        l゙  !;./
                  ゙i,   .`-....イ―''"         丶 .|/        確信します
                ゙、     ¬             ゝ  .|′
                `、               ,.‐´,‐   .!
                    `.   、          ‐       |
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                         /i    ._,....‐' ´         t-、
                    .″ ..、  ….-    .          ":l'''ーT!;;i_、
                   ハ''''''i, : /  .i゙  │  ‐       ,.;:゛;:/;:;:;::〔丶;:゙'/‐、.-、..
                  ,,..i../  ,i゙ゝ .|,ー ._、‐│ ,.'゙" ̄"    .,.'";:;:;:;::`'''-、_;:"''''''/;:;:;:,ノ''''':-.. ,
          _,_..┬‐;|i=-''リ .!;;;`゙~"-'";;;;;;;;;| .゙.l;:;:;:;:′   -゛;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:´'ー゙;:;:;:;:./ ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::""ー
       _...-.,>l′⌒;:;:;:;:;:;::「 ";;;;;;;;;;;;;;;;.,ン'". , .1,′  / ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::'"´゙''ー .._;:;:;:;:;:;:;:;:;:





429 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:34:02 ID:JY9SH6xk0





┌──────────────────────────────────┐
│ やる夫はこの時、田中法学部長の示した方針に明らかに共感していた。      │
│ しかし、その口を突いて出た言葉は、弱気なものであった。             │
│ 彼は、右翼の風当たりがきつくなることと、学内のバランスが崩壊することを    │
│ 恐れていたのである。                                    .│
└──────────────────────────────────┘

       ____
     /~~~ \          田中君、そいつは困ったお……
   / _ノ Ξヽ、_  \
  / o゚(●)―(●)゚o \       土方の問題は伸ばしたほうがいいかもしれないお……
  |  ::::(((__人__)))::::  |
  \     `⌒´     /
建前
──────────────────────────────────────────────
本音
  /      ,,-‐'、      \      これは妙案だおwwwww
  |     | |  |      |
  |     | |  |      |      学内の抗争を単なる派閥争いとして両者処分してしまえば
  |     | |  |      |
  |     | |  |      |      事後の学内の反発の根を立つことができるお
  |     |r┴-|      |
  \::::::(((~~人~~))):::: /      しかも面倒な思想問題を取り扱わなくて済むおwwwww
   o。((●)) ((●))。o
     \~ノ.Ξヽ´~/
        ̄ ̄ ̄





430 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:35:02 ID:JY9SH6xk0





     /: : : : : /   l: : : : : \
     /: : : : :/   /\: : : : : ヽ             この時田中法学部長が提示した両者排除論は、
    /: : : : /-‐   ィ〒ト: : : : : :l
   ,': : : : / -   弋ン l: : : : l:|   / )        実利主義派の排除論とは思想面を排除した一点で
   |: : : :/_,ノ      l: : : : l:|  / /
   l: : : :l  ̄  }      l: : : //,、 / /         大きく違うものよ
   ∨: ::|      -‐   l: : :// ノ ,∠、
    v: :|\  ´ -    l: :// // _」         実利主義者は両者排除後に「東亜新秩序」体制の
     i: :|::| l\     /!//   し'´__〉
     |ノヘ!ノ: : `ト-‐ ´  |:八  /└'-、 /         構築を指向していたけど、田中は大学自治の維持の為に
        /: : :ノ:|    /: : : l、l   /
     /: : : :(:ノ   _,ノ: : : : {    イ\         両者排除を主張したの
    /|l: : : :トゝ   _,フ: : : :人   ハ |





431 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:36:02 ID:JY9SH6xk0





   r―- /   〈          \ー-{   [_         }}
   |     /ヘ、  卜、\ \  ヽ `Tチ⌒{_,ノ⌒}ノ\ 丿
  しノ     /  | \ { /  ̄ ̄`ヽ |x‐、\           }'
  〉      | |  乂| _\V ィt_テ‐  |ノ'/ || l
  { /, -、_入t  |/´_     , , ,    〉 |/|               いわゆる「喧嘩両成敗」ってやつだね
  }/{/      \ V'┘′        r〃 b
         d `T ' '         //  {}               確かにそうすればバランスは取れているよね
            {}  人    __      イ
             \ \ _)  / /                   やる夫さんのバランス感覚に
                / \.__/  ∧
        , -―/   /|       |/ \                 まさに合致する名案かもね
       // /    〃      /l   \―- 、
     / / 〈    //丶二二二/|   /  / \
    _/  l   \ / /       / / /   /   |





432 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:37:02 ID:JY9SH6xk0





┌────────────────────────────────────────┐
│ やる夫と田中が会談したこの日、河合に対する警視庁の取調べが終了した。           .│
│ 厳しい取調べであったが、自己の主張を通した河合はその疲労を心地よいものと感じた。   .│
│ 翌日、河合は青山南町のやる夫邸を尋ねた。                              │
└────────────────────────────────────────┘


     !:/!:::::!::::::!::ヽ:ヽ{:::\:::ヽ::::\:::\::ヽ:::::ヽ!::::}!::::l::li|
     j/:::l:::::!:、:::!::ト、:、:ヽ:::::`ヽ{、::::::\::::\{、:::::::::i::!::l:l !     総長!! 僕はこれからも
      l:i:l::::i::i:、:l::lテ=-、:ヽ、_、::\_,≧ェュ、_、\:::::::::i::li::!::リ
     !ハト:{:!:i:トN{、ヒ_ラヘ、{ >、{ 'イ ヒ_ラ 》\::l::!:ト!!:l::l!     己が信じる思想のために断固として
       ヽ i、ヽ:ト{、ヾ ̄"´ l!\   `" ̄"´  |::!:l::! j:ll:!
         !::、::::i      l            |:::/lj/l:!リ     官憲や国家主義派と戦っていきます
           ヾト、:!               j!/ j|:::リ
          ヾ!    ヽ  ‐          /イ´lハ/       僕はこの戦いから逃げませんよ
            }ト.、   r ===ァ      /' !:://
             リl::l゛、  、 _ ,ノ    /  |/:/
         rー''"´ト!::i{\       /  / !:/
        / ^ヽ  ヾ!  ヽ _,,、'´    /  j/



      ____
    /_ノΞ ヽ_\            そうかおそうかお……
   / (◎)―(◎) \
 / ::::::(((__人__))):::::\         ともかくご苦労様でしたお……
 |      ~~~      |
 \             /





433 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:38:02 ID:JY9SH6xk0





┌──────────────────────────────┐
│ やる夫は丁重な言葉で対応したが、私見を一切口にしなかった。   ..│
│ 河合はやる夫との会談のあと、急に旅を思いついて出かけた。     .│
└──────────────────────────────┘


    /::::i::::、:::ヽ、:::::\:ヽ:\::::::ヽ:::、::ヽ::、:',     「29日ハイヤーで出たが道に迷い、9時半が10時になり、
    /::i|::l::ト、ヽ::、:::ヽ:、::::::\::ヽ::::l::::ヽ::i:::i:::!
   /:/:!:::!:|::ヽ:\ヽ::::、:\::::ヽ:::ヽ!::::::i::|:::!::!     正午まで話した。云うべき事は遺憾なく云った積りだが、
   !ハ::|::::i::l:|心、:ヽ::\:ヽ_\、\:::ヽ:::|!::|:|i
    i、:!:|:、N{、ヒjヽゝ\ヾイ ヒj >、ヽi:、|!:|:l      氏は大体駄目と見ているらしい」(河合日記 S13.12.30)
     ヽ:!::トヽ ̄ l! `  ` ̄´ |::l::|:|j:,!:!
      ト、::! u         j |::/lj:::!リ      「先は不明で、横浜で伊東に行くことにした。
        ヾ、  丶 -    u リイ:|リ
        リヽ ‐、ー- 、_   /イ:::i        着いてみたら宿舎が一杯で閉口し、辛うじて小さな宿で止まった。
       rー'"ト:l゙、   ̄   ./  , |::!
      / ヘ ヾ ヽ、 _,. '   / |:'        何となくレクター(総長)との話が残り、別に之と云う事が

                             どうと云うのではないが、何かと落ち着かない感じがした」(同上)





434 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:39:01 ID:JY9SH6xk0





┌────────────────────────────────────────┐
│ 一方やる夫は河合との会談の後、三菱重工業へ向った。                           │
│ 総長として特定企業との結びつきを残しておくのはよくないとの判断から、技術顧問職の    .│
│ 辞任を申し出たのである。                                            │
│ 同様に海軍には艦政本部嘱託の辞任を申し出ていたが、これは陸軍との対決を          .│
│ おもんぱかった海軍当局に慰留されていた。                                  │
└────────────────────────────────────────┘


       ___
      /     \          三菱とは今後も個人的な話を聞くということで話し合いが付いたお
    /        \
    /::::::           ヽ        でも、艦船設計との関りを絶つくらいの覚悟でないと総長として
    |:::::          i
    ヽ:::        __/        この難局に立ち向かえないんだお……
    /::::        \
    |:::         _)       悠々自適の生活も、溜め込んだ艦船資料の整理も、もう出来ないんだお……
    |::::         i
    \___、_____  ノ _)





435 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:40:01 ID:JY9SH6xk0





┌───────────────────────────────────────────┐
│ 昭和14年(1939年)が明けた。                                           .│
│ やる夫は大学で職員の賀辞を受けた後、参内、各宮家への参賀と型どおりの年賀儀式を終えた。  ..│
│ とはいえ、正念場に立つやる夫にとっては身の引きしまる新年の賀であった。               │
└───────────────────────────────────────────┘


            Д__________________________Д
            キ IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII ヤ.
           ノ_二三_-==-_─ ̄三─≡ ̄-三==_-二=三≡-_─_二三_-==ヽ、.
          /二=_-三 ̄≡_-==─≡_- ̄_=≡_二三二=_-三 ̄≡_-==─≡_- ̄_=\,,
      ,,_,,,-''''=_-三 ̄≡_-==─≡- ̄_=≡__二三二=_-三≡_-==─≡_- ̄=≡_二三''''-,,_,,.
_,_,,_,,,-'''____________________________________ "''-、,,,_,,_,_,,_
ヽ @==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@  ヤ
 `ヽ丶.}{ |艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸| }{  /
   \}{ |l|! ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄::┣━Д━┫:: ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄|| ̄γ∴⌒∴⌒ .;}{./
     }{ |l|!: ::::::::|iiiiiiiiiiiiiiiii|iiiiiiiiiiiiiiiii|iiiiiiiiiiiiiiiiii|jjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjj|iiiiiiiiiiiiiiiii|iiiiiiiiiiiiiiiiii|ir;(∵ ∴丿;∵;∴ヾ∴ヽ
  γ;;⌒ ノヽ;;);⌒ ヽ|::::::::::::::| :::: :: ::::::| :: :::: :::::::||  |__||__||__|  .| :: :: :: :::::| :: :: : (:;;ソ∴∵丿∴ゝ∵∴):∴::∴):
r;;ゞ(;:: 丿;:: ;;;;;ヾ;;),,):.__|.___|..___||=.=.======= |____|____`(∵(;ゝ(:::∴ ソ)::〆:ソ":(∴;(∴;ヾ)
(:: ;;;;ソ;; ) ;::ソゝヾ)  ;;):::)==ii==ii==ii==ii==ii==|^|_________|^|==ii==ii==ii(ソ∴∵丿 ∴(;ゝ(:::∴ ソ)::〆:ソ" |;`ベ
(::: :(;;;;;(  ;::). (;ゝノ ::)Y...|| ̄ ̄`゙r| ̄ ̄ ̄/l--------------------lヽ ̄ ̄ ̄|(∴ミ∵丿 ;`ベ∴;(∴ ∴(;ゝ(:::∴ ソ)::〆:
((:::(::;〆;;;ゝ;:: ;::))( ;::),ブ __||_________||________/l----------------------lヽ____(∵ゝ丿;`ベ∴;(;ゝ(:::∴ ソ)(∴ ∴::〆:ソ"ヘ∴;
`ベ(; ゛(;;; (:::: ソ)::〆: ソ|il!li!li|il!li!li|il!li!li|il!li/l------------------------|ヽ (;ゝノ∵∴; (∴)::(:;;ソ∴∵丿∴ゝ∵:(:;;∴∵丿∴;
: : : : : : : : ゝ|;il|!|ソ´~: : : : ; : : : : : : : : : : : ; : : : : : : : : : : : : : ; : : : : : : : : : : : : : : ; : : : : : : : : : : : ; : : :ゞ|;il|!|;il|!|/: : : : : ; : : : : : : : :
: : : : : : : : ノ;ハノリヽ_ : : : : ; : : : : : : : : : : : ; : : : : : : : : : : : : : : ; : : : : : : : : : : : : : : : ; : : : : : : : : : : : ; : :ノ;ハノリハノリヽ_: : : : ; : : : : : : : :
: : : : : : : :^"''`"" ^: : : : ; : : : : : : : : : : : ; : : : : : : : : : : : : : : : ; : : : : : : : : : : : : : : : : ; : : : : : : : : : : : : ⌒^"''`"" ^ : : : : : : ; : : : : : :





436 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:41:01 ID:JY9SH6xk0





     / ̄ ̄\              ┌──────────────────┐
  / ⌒   ⌒\             │ 翌1月2日には、長男謙一を         │
  |  (●) (●) ヽ.           .....│                           .│
  |   (__人__)  .|           ..│ 広島の平賀家墓所へ送り、        ..│
  |.    (_/   |  ///;ト,      .│                           .│
  ヽ        / ////゙l゙l;       │ 祖先の加護を記念するよう命じた。     │
    ヽ __   .ノヽ l   .i .! |      .└──────────────────┘
   /´      `\ │   | .|
   .|        | {   .ノ.ノ
   .|        |../   / .





437 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:42:01 ID:JY9SH6xk0





┌──────────────────────────────┐
│ 続いて1月4日には、妻と明治神宮に詣で、誓言を神前に捧げた。    .│
└──────────────────────────────┘


      「`ヽ´ ̄`フ.::::::::/´  ,. -‐'′{::::し'.:::::::イ 
    . ィ⌒ヽ  /.::::::::::/       ハ:::::::::::::!::::)                     「仰がまし
    { イゝ   /.::::::::::,′. . . ..x  く`ーヘ.:.:.::::し'  
    Y.::::::::ノ '.::::::::::::|.:: . ---xノハノ    ヽ:::)        ____           高き学府の
   ( ̄  . :.|:::::::::::::「´ _、  )⌒Y     レ′      /  ~~\
    i 7ゝ.:::∠!:::::::::::::|.:.:.:.:j「 Y    !    }       /  ─    ─\        いやさかを
    | i::ハて...」::::::_.:::::! ノ」ハ '.  ,ハL /        /  -(一)─(一).\
    | L! | 丁Yr刈:::|ィハハ「ゝVイムイ//ハノ      |   ::::::(((__人__)))::::|      祈りてやまず
    |     |\ゞイ::::ト弋)ソ   ヒケj小.        \      `_⌒ ´  /
    l  /   !  `トゝ:!ハ´     ' .イ j |    .    ノ    / )ヽ   く        神宮のみ前に」
   ノ. /  |i  ゝ'' | 仆. .  ´ イ 」 ;i |       (  \ /__ノi ) , )
  / :/     |小./ゝ.|ヽ\下`ヽ 丁jハ    .   \  ゙ / ヽ ヽ/ /       (神前に妻が捧げた祝ぎ歌)
イ  , ′    ヽ:/ィ  ハ. ヽ\ハ.:.:.:jり__」!        \_/    \_ノ





438 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:43:01 ID:JY9SH6xk0





┌───────────────────────────────────────┐
│ 昭和14年(1939年)1月5日には、近衛内閣が日中戦争の行き詰まりを解決できずに     .│
│ 総辞職する。                                                   │
│ ドイツとの軍事同盟を巡る閣内対立も、近衛が内閣を放り出した原因のひとつであった。  ..│
└───────────────────────────────────────┘


     _,..,_,.-ーー-..,,_
    //"ヽ、;;;;;;;;;;;;;;,,ヽ
   /::::::(         l:|            といっても、首相の首を挿げ替えただけで
   |::::::::|     。    |:|
   |::::::/  ー-   -ー ||            俺は無任所大臣として名前を残しているんだよね
   ,ヘ;;|  ,(・ )  ( ・), |
   |6     -ー'  'ー  |             ほとぼりを冷まして、リボルバー内閣でもう一度
   ヽ,,,,    (__人__) /⌒ヽ/⌒\ 
  (''ヽ     `⌒´/  〉 〉 ,、  )     順番が回ってくるのを待つだけなのさー
  /  /          (__ノ └‐ー< 
  〈_/\_________ノ





439 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:44:01 ID:JY9SH6xk0





┌──────────────────────────────────────────────┐
│ 代わって首相の座に就いたのは枢密院議長で右翼団体「国本社」の会長であった平沼騏一郎である。   .....│
│ しかし、その内閣は荒木貞夫文相、米内光政海相、板垣征四郎陸相、木戸幸一内相など七閣僚が留任、   │
│ 世人には単なる首のすげ替えと皮肉られたのである。                                   │
└──────────────────────────────────────────────┘


             ,.r-‐ァ'""`ヽ、                        , '´ ̄ ̄` ー 、
          ,. ィ" ''" 、'"    `ヽ、    これで文部行政は    /: : : r‐r==========、
         ( / ,.r-、  ミ .._ ~`  ヽ                 /: : /├l‐1―‐――‐―.|   日独伊三国の
          ゞ'   ヾ、ミ r=、     |   私の方針を       ,': :∧〉}‐ヒL二二二二二」
         l | ,ィ'二   |  ! ;i ノ    |                { :/:/ /ゝノイ ノ l/ ヽ、 l :}    防共協定強化は
         `f `'” .::::::| ル'7       !  そのまま        | :レ |  ノ    \ l :|
            /;::  :::::::::::レ^' レi     |                |: i: (|.  ●    ● l:/     危険であると
          ヾ;   ::::::::::ノ   人 :;  ; |   続けることが     }  : :⊂⊃ 、_,、_, ⊂.ル|
  r=‐-、_     T´  .::::::/:::,,.----キ; : ハ               ,.イ/イ:}从ヽ,、  __, イ从/     米内は考えます
  ヾ:::::::::::\`ー: 、∟...::::;;y;''"     ル リ   出来る訳だ       ,.< ゙i.i:.:\__八__/:i.i>、
    ヾ::::,r‐‐'^ヽ、_,,,.-‐^  逆シャア  リイ人                ( ⌒ )}.}:.:.:.ヽゝoi|.|:.:.:( ⌒ )





440 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:45:00 ID:JY9SH6xk0





┌───────────────────────────────────────┐
│ 荒木留任を旅先の箱根仙石原の旅館(俵石閣)で知った河合は、追い詰められる一方の   .│
│ 情勢を自覚した。                                                 │
└───────────────────────────────────────┘


           _──´:l:::::::::::::::::::::`──
な 早       イ:;:::у|:::::l:::|:::::|:::::\::::::::::\:::::ヽ:::こ 駄
        .γ::i::::/:::l::::::|:::|::::::|:::::::::ヽ::::::::::ヽ:::::::ヽ::::::\        「小田原で夕刊を買ったら新内閣の
ん く    ./i:;レ::/::::|::l|:::::|:::::::::::|l:::::::::::ヽ::::::::ヽ::::::::い:::目
      /:i:::::!:::::l::::::l::::l|::::::|::::::::::|::ヽ:::::::::ll::::::::::|l::::::::|::::::::::        文相に荒木が留任するのを知り、
と   .,/::/::: /!::::::l:::::|:::|::|::::::|::::::::::|:::ヽ::::::|:|:::::::::|:l: つ:::だ::
    ./::;l::::;!:::ll::::::l:::::|:::|:::|::::::ゝ::::::::|:::::l::::: ::|::|::::::::|::l::・::::::::::        愈々時が切迫したなと感じた。
か  ,l゙:::i::::;:|::::::|::::::l:::::|:::|:::|:::::::::\::::ヽ:::|::::: ::|::|:::::::::|::・:::::::::
    l:::::|:::l|::::.|:::::|::::ゝ:::||:|:::: ヒ:::::::|l:::\ヽ:::|:::::|::|::::::::|::・:|:::::::       (中略)夜『認識論』を読んでから
し  .|::::l::::|:l:::::l::::::|::::::|\l:|::::ヽ::::::|::ヽ:::\::|:::::|::|::::::::|::|:::::::::
   .|:::l:::|::::|::::::l:::::|l::::::|::::l::ゝ:::ゝ::::ll:::\::::: へ:::l|::|:::::||::|:::::::::       女中達四人と話をする。
な  |::::ヒ::l::::::|:::l|:::ll リ|::::|::::|:::\:::\:ヾ:::::\::::|:|::::|:::|::|::l::::::::
   |::::||:::l:::::::|:::l::ハl::ll:::ゝ:::|::ヽ::::ヘ\::::: へ:::::|l:::::||:|::|:|:::::|:::       色々な人が僕のことを心配もし、
い  |:::|l:::::l:::::::l:::l|iリ!ミヽ;:;ヘゞヽ|::::込ttミ-ヽミ::ゝ::||:::||:::::|::::
    l:::|l:::::ヘ::リ::ll.::::い::ゞ::::::::\l"イて ) ゞ:ill火:::|:::l|::|/l:::        応援もしているらしい。
と   ヽ:|:: リ;::kl;;'l!;,`''''"´::::::::::::::::::::::::`''''''"^゙::::::::::|:::|:::|: ノ |::::
・    ヽ:|:l:ヮミヽ::::::::::::::::::::::::::            ::::l::|::::|::|ノ:::|:       最後に僕の心構えの話をして十二時別れる。
・     ヽ|リト:l:::υ::::::::::::::::::::           ::リ:lノ:::|::/:::|::
・      ヽゝ::::::::::::::::::\:::::::__          :几:;l::|:|:::|:::|       それから床に就いたがやはり眠れず、
        Vl:::::::::::::::::::::::::::´        ∪ ./:||/l/::|::|
            l:ゝ::::::::::::::;;;;;::::.:...           /ii|llll|从:|:l        明け方の五時になって了った。
          l:|ヽ:::::::::ヾ゙-ニニニ≧       ./llllllllll|:.|::|lll
          l|:llヽ:::::::::::ヽ---      /lllllllllllllll|:l|llll        どうしたのであろう」(河合日記 S14.1.5)
        /:::::|:||ミ:ヽ:::::::       ./llllllll;;;;;;;llll ||llllll
       /:::::::::|:::|lllミ|:::\:::::    ィlllllllllll;;;;;;;;;llll  llllll
     /:::::::::::::: lllllミ/:::::::: ̄ チllllllllll;;;;;;;;;;;;llllll   ll





441 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:46:00 ID:JY9SH6xk0





┌─────────────────────────────────────────┐
│ 一方、明治神宮の社頭で心を洗ったやる夫は、多忙を縫って熟慮を重ね、冬期休暇明けの  ......│
│ 1月9日(月)にすぐさま法経評議員(法学部・田中耕太郎、神川彦松、我妻栄。              .│
│ 経済学部・舞出長五郎、上野道輔、森荘三郎)に連絡を取って河合学説の検討を要望した。    .│
└─────────────────────────────────────────┘


          ____
        /\  /\ __                もしもし、田中君かお?
.     ./ .(ー)─(ー)'(_)( ゙ヽ
    / ::::( ((__人__)⌒ |.(  .',              やる夫だお
    |      |r┬-|  ._|.(  ..ト-a‐-a,
     \     `ー'´ _(_)(.__.ノ      'a,,        君が以前話した通り、明日にも河合の
    ノ            ̄/        "'a,
  /´            ./  ._/「i__「i  .ノ      学説や著書を非公式に審査するお
 |    l          i   /      Y"
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、  /       i       根回しは頼んだお
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (_______ノ





442 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:47:00 ID:JY9SH6xk0





     分かりました総長、ではまた明日……              /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
                                         /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
                                         f|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,. ィ:::::ハ
                                         |l:::::::! ̄` 7'ー-、-‐<´   |::::::i|
     (おいおい、驚いたねぇ、                     r┐:::|   f    }   }'   !:::::」::!
                                         'v:::::ノ    '    !       ゝ::>-、`ヽ 、
     去年の俺の提言をこれほど早く                ,ヘ: i' -==ッ=-.,- '、ィ=ニ<ー Y//∧ ヽヽ
                                        {{ ハ! く‐―rt::ヽ `^―‐rン  !:r'´ ̄ヽ ,ハ|
     受け入れようとはね……                     Ⅵ ト、  ー ´´.::|  ー`ー '  イ:}‐´ `ヽ ヽ,ト
                                         ヽ-! ヽ    ::::|  _    / f:} i r'ヽ '  ノ
     やる夫総長、評判を裏切らない行動力だよ)           ! '    ‐ -‐       ! 'ィハノ  ノ/
                                           ト,      __     イ// /   /
                                           ハヽ    ̄_ ´====≠'ィ i f   {
                                          _ハi ', \   ,    /_,.イハ i  '_,}
                                    _,. == ='ノ、 >,_  ` ー ' ー= ' ´  ノニ}_イー―'、
                                    . . . . . . . .//∧@ヽ ,r―、‐'´ _,  /. . .r┬┬「 i|ー= .,_
                                    . . . . . . . レ'. .ヽr‐'‐'-≦∧ r' ノ /. . . . .''┴┴L i|. . ./ ̄ヽ
                                    . . . . . . . . . . ..{/////´. . .ヽ` /. . . . . . .i    ∨ /    ヽ
                                    . . . . . . . . . . . ///´. . . . . . ヽ/ . . . . . . . |     ∨     ハ





443 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:48:00 ID:JY9SH6xk0





┌──────────────────────────────────────────┐
│ 翌1月10日、評議会を招集したやる夫は雑件をてきぱきと処理した後、決意を込めて宣言した。  ...│
└──────────────────────────────────────────┘

           _____
          /        \            今、経済学部に関する二、三の問題があるお
        /           \
       /   , --、    .,.-- 、 \         これは適当な時期に適当な処理を要することだお
     /    ., ーヽ   ,'. ー-、    \
    /    ─( ● l ──l ● )─   \     経済学部長及び関係学部長、評議員諸氏らと
    |         `ー ノ    ヽ.ー '       |
    |      '(((____人____)))`      |     充分協議をし善処することを予め了承せられたいお
    \         `ー--‐´        /
      \                  /
       /                〈





444 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:49:00 ID:JY9SH6xk0





         l: : |: : : : :/ー  , ー !: : :l
         l: : |: : : :/⌒  : ⌒l: l: :|        ……これが、後に「平賀粛学」と呼ばれる非常措置への
            v: |/l :/    {   |: !:/
         }: j: j:/.   ー_‐ /: l/         第一歩になるの
          /: :/: : :|\   / l:/
       ∠: / : : : l  ` T: : : :{j'          彼が「適当な時期に適当な処理」と述べたように、
        /:/: : : :{/   {: : : : :\ 
       , ィ{: : : :{_ァ>--‐`)ハ: :}:}         その胸の中には既に河合・土方同時排除案が
        /   \: : \\  /'  }ノイヽ
        |   ヽ >-‐' ヽ/      !|        ほぼ完全に出来上がっていたのよ
        |    l/     ◇    l|





445 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:50:00 ID:JY9SH6xk0





         , - 、           / ⌒ヽ⌒\
    r―-- '´ r┴z=<´ ̄`丶- 、ィヘ        ` ァ
    、_l       レ'´/        \ヒノ{        ! く
    >    / /l|    /、  、   Vハ ` ー ⌒レ} l |      さすがやる夫さん!!
    / / . -ァ: /  l l    | /> . 1  l/:|l      レノ
    レt/ /-‐|   l /\  l   {イリ,|  /: / |             一度決めたらその動きは
        /ヘ  k{ ⌒\l  `¨/ /^ソ l
         /   ヽ|ハ.   v  7 /./_ノ  9             すばやいよね
       9     \  ー |\, イ
           lー- >r/   \!                 田中法学部長という相談役を得られたのも
           |     リ    _〕_
           |-―‐ /´ ̄     , \             大きかったんだろうね
         //  /      /   \
        l/| /-――- 、/      ̄ ̄l





446 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:50:59 ID:JY9SH6xk0





                             /⌒\      .┌───────────────────────┐
              ∧_∧          (    ,)     │ 引き続いて行われた審査委員会では、河合の思想を...|
             ( ・∀・)  .     |   |    ...│                                   │
      ∧_∧   ⊂ <V> ).       |   |    ...│ 危険視する意見は皆無に等しかった。          .│
     ( ´∀`) / ̄ ̄旦 ̄ ̄ ̄ ̄\  (・∀・ )     .│                                .....│
     (  <V>)/           旦 ⊂<V>⊂)      .│ 批判はもっぱら用語、表現方法に向けられ、      │
     ┗┳┐ /               \┌┳┛     │                                .....│
   ∩_∩  /                  \  ∧_∧  │ 例えば天皇に対して最高敬語を使っていないなどの....│
   ( ・∀・)/                     \(゚Д゚,,)  .│                                .....│
  (  <V>つ[三]                  旦 ⊂Y⊂)......│ 細かい部分の検討に終始した。            ....│
  ┗┳┐/ 旦                       \┛  └───────────────────────┘





447 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:51:59 ID:JY9SH6xk0





┌────────────────────────────────────────────┐
│ 審査委員会は1月11日も続けられ、河合本人も呼び出されて「和気藹々」とした中で弁明を聞いた後、 ....│
│ 結論をまとめてやる夫総長に答申した。                                        │
└────────────────────────────────────────────┘

                   _ _ _
             ,  ´; ; ; ; ; ;ヽ; ヽ、
            /; ; ; ; ;ー- 、;_;ヽヽ; };ル       ……ということで、河合君の意見を聞いた後
          /; ; ; ; ;r'     〃~`}バミ、
          ,'; ; ; ; ; ;l  , - ―--'' ,、_`}      委員会がまとめた結論として、
          l; ; ; ; ; /   f― 。` ム_`"
          l; r‐、; ;l     ゝ .ノ '  ヾ'八      「独特ノ概念、用語、表現方法穏カナラズ」
          l;.{ いソ ヽ      ,;; ノ  }
          .!;ゞゝ             l      「要スルニ教授ノ地位ニアル者トシテハ
          '; ; ーハ      '⌒ ー l
            ∨ ゝ             l       慎重ヲ欠ク」という二点に問題は集約されました
            l    ヽ      } ノ
            l      丶 、_ _ノ       河合君の思想に関しては、特に話し合っていません
            rL_ _       /
           ノ     ̄  ̄∧  斥{
        _「: : \  、ー-, / .V / ヘ,
 _ - 一二=': : : : : \. ヽノ/ニャ' ̄ヽ ヘ
' , -- : ̄: : : : : : : : : : : : :\/: : : :\_, 、}\ー-、
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :}   ヽ: : : ヾ ニ_-_、
 ヽ; : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :l   i! : : : : : : : : ヽ、
   \: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.l     i!: : : : : : : : : : iヽ





448 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:52:59 ID:JY9SH6xk0





     /.: ̄ ̄  ̄ ̄ \
    /: : :             \
  /: : : :            \            ……田中君、ご苦労だったお
/: : : : : :              \
: : : : : : : :.._        _      \         さすが田中君のまとめだお
: : : : : : : ´⌒\,, ;、、、/⌒`        l
====( ̄ ̄ ̄)=ノヽ=( ̄ ̄ ̄)=====.|         これで河合問題を思想問題としないで済んだお
: : : : : : ´"''",       "''"´       l
: : : : : : . . (    j     )      /         あくまでもこの問題は派閥抗争という政治的次元で
\: : : : : : :.::ハ从从从从ハ     /
/ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : イ\           解決すべき問題なんだお
: : : : : : : : : :.``ー- -‐'"´        \
: : : : . : : . :                   \





449 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:53:59 ID:JY9SH6xk0





            _____
            、___>  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
            _..:::彡⌒.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ __
        ー ≦、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ.
        <:::::::::__: ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ヘ.
          > /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:/彡イ气:::::::::::::::ヘ.
        /:/:::::::::::::::::::///;イ:////:/´     `ミ::::::::::ヘ
        /___::ノ:::::::://77メく_/ //:/    _  ミ:::::::::::::l
          /クハ::://///_,,/≧/´/ ..,≦´  `ヽミ::::::::::::!
     .      / 〉!/ハ! イ'ひゾ /: / / イろ心、  ハ::::::::/
             //ル !  ` ̄'/       ゞー"ノ  ハ:::::/
             ヾ に!        };.       ムわ/
              ヽい         ´:ソ       /ノ:/′
                ー',       _____       んソ
                ヽ   ´     `    :/´
               __|\   `"     /
     .          /  |  :ヽ        .イ:!`ヽ
     .       , イ   .:.j  : : : :ー: ´:.:.:.:.:.:! / |
           / __ ..:/イ         /  |
         /_/ /⌒)/:.:.l         __/:    L___,、__
          ,..<イ⌒/:.:.:.:l       / :/:|  /ー:、    ̄ ̄

⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、
             ○
           о
          。             河合君を見ていると、やる夫はかつて部下だった
        ____     
      /_ノΞ ヽ_\          田路君を思い出して仕方がないんだお
     / (◎)―(◎) \  
   / ::::::(((__人__))):::::\       正しいと信じた自説を押し通すその真っ直ぐさがそっくりだお
   |      ~~~      |
   \             /       だからやる夫は何とかして河合君にいい引き際を用意したいお





450 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:54:59 ID:JY9SH6xk0





                   ____ _
                 /          \
               /              \
              /    _            丶
              l    ノ }    ⌒\   /⌒ l
              |   / .ハ ::;;(  ●)  ( ●)|
             .l   // .ム-,..,. ´"''"  , "''"´ l
              \ ヽ! ' ' ! ヽ  、__ ,_,   /
               |フ入     l       /
               ,ヘ ヘ      ト 、 _ 、´
             /   ヽ ',    jァ / / ! ヽ
           /     /ゝ.._..ノ`Y Y /   }
          / ,..........    ',       l}_|./   j
         /, '´     `ヽ  ハ_    ノ  l   /
        //         ∨ ``  ̄    l  ./〉
       j j       、    l        l ,._ll′
       l |      `ヽ  ヘ        l! /

⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、
             ○
           о
          。            しかし、やる夫は土方には一切遠慮はしないお!!
       ____
     /\Ξ /\          あの男は東大の「獅子身中の虫」だお
   /( ●)Ξ(●)\
  /:::::( ((__人__)))::: \       時流に乗った安物の理論を振りかざして傲慢に振舞うその姿は
  |     |r┬-|     |
  \      `ー'´     /       藤本喜久雄そっくりなんだお!!





451 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:55:59 ID:JY9SH6xk0





                          /⌒ヽ
                   ,へ _   /^ヽ  し1
        r‐ 、     /⌒/   \\ヘ     く
     r―-、j  \ _ //   ,'      \}   /  l|             なるほど、やる夫さんの中では
     l      r┘/ /   ||  ト、    v- ' )ノ′
     |       └ヒ{ 7  / A t   l‐\l  |                  以前の二人の部下と
    _,ノ      | ∧l   | y=ミ> { __ l l l            / }
   `7 /      ノ/ l、l  VVノ|   . '⌒ソノノl               / /     今度の二人の教授が
    V{  /´ ̄ ,   个ト-{ ー'     ´ l  l           r V /_
      \{   /    ゝニ.    - '  /  l        / / / /l     オーバーラップしてるんだね……
          {フ       l\    /   {フ      / { {ノノ}
                      人  >r‐'            l   〉└ ァ'     河合さんには気を使ってやるつもりでも
           , -―― / l \_ノ^ヽー‐-、           〉   /
            /  \ /  l\ノ、 \l  \l \      r{\_イ      土方さんには一切容赦がない、
            _/  / ヘ.{__ ヽ  \ヘ  / \ ヽ.    / 丶--イ
         l /   l /´  \ l^ ヘ \_ V |    /    /       好き嫌いのはっきりしたやる夫さんらしいや
         |      l {_     \V ハ |l| 丶、 '    ,
         /        リ   \     \ l  !/|   /     /        それがうまく行くといいけど……
          /     /     > .   \ | / ー/    /
          /    /\            ̄\//、      /





452 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:56:59 ID:JY9SH6xk0





┌───────────────────────────────┐
│やる夫は委員会の答申を受けて、直ちに同時排除の事前工作に移った。...│
│1月11日、やる夫は河合を総長室に呼んだのである。              │
└───────────────────────────────┘


  |                                .        |
  |  <`==================">                 ____|
  |  |i|     _,,..         |i|                  |\    \
  |  |i|   /,' 3~~\ ⊂.⊃.|i|                  |三:\    \
  |  |i|.,,,,傘傘傘::::::::傘傘傘|i|.            llヽ.      |\[_] \    \
  |  <_,=================、_>            llヾi      |//|\[iiii|| ̄ ̄ ̄|
  |                  -  - 、     l| ∫..      |\|iii. \||      |
  |                  / (◎ ◎)ヽ   || ( ..      |,ヘ \llllll||      |   |\
  |                ゝ(_人_) ノ    || ,i       .|\|iii|l\||      |   |三|
  |_________    ヽ,;;;;;i〉     l|| ,' _____||l|l.\l凸||      |   |三|
/            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\      \l三\.||      |     \|
             /   (")       冂三i   ヽ三ヽ\     \iロ: ||      |
                [二二二二二二二二二二二二二二]        \||___|
             |           |||||||||||||           |               \
             |           |||||||||||||           |               \
             |______|||||||||||||______|                    \





453 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:57:59 ID:JY9SH6xk0





         ____
       /      \            河合君、単刀直入に言うお
      / ─    ─ \
    / - (●)─(●) -\         君、自発的に辞表を出し、円満に退官したまえ
    |  ::::( ((__人__))):::  |
     \    ` ⌒´    ,/         それさえ納得してくれるなら、大学内に教授以外の
     /⌒ヽ   ー‐    ィヽ
    /      ,⊆ニ_ヽ、  |          部署を確保しよう
   /    / r─--⊃、  |
   | ヽ,.イ   `二ニニうヽ. |          予想される検事局の起訴も未然に防ぐ方法を講じよう



         ____
       /_ノΞ ヽ_\           ……これは今やる夫が取れる最大の譲歩だお
      / (●)―(●) \
    / ::::::(((__人__))):::::\        君は思想弾圧の被害者だとやる夫は知っているお
    |      ~~~      |
    \             /        だから、何とか考慮して欲しいんだお





454 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:58:59 ID:JY9SH6xk0





ヘ ',:::ヘ|:::::::::l:::ヘ::ハ:::::\|:::::::::::\:::::::\:::::::::::::::::::::/:|:::::::::/:::::::
 ', \:ヘ::::::|ヽ:::ヘハヽ:::::`ヽ_::::::::::\:::::::\::::::::::::/::::|::::::/:ヘ:::::
  ',  ヽ',ヽ| ヘ\::::ヘ \:::ヘl`ヽ:::::::l\::::: l::::::: /`ヽ|:::/::::::::ヘ:
__ヽ ./ヘ .ハヘ:l \:ヘ. \ヘ  `ヽl::::::\::\::l\::::|/:::ヘ\:::         くくくく……
`ヽ ̄./ ハ:::',ヘ..  `ヽ.  \   `ー-l:::\::\:::\   ',|ヽl
    /.    \ ハ               l:::::::..                  やる夫総長、
.   /       `ヽ              l:::::::::::...
  /         ヘ    __   `ヽ  _/:::::::::..  ,             あなたも所詮凡人ですか……
. /          /'';;\  \________,//    
 `''ー-=,,,_   /   ';;;;;\   ``'ー- -――‐ ´ノ              そのような弱気な糊塗策をとるとは
      '/     ';;;| .\  ` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄´    /
   , r ' ´          |.   \  ー――       イ;;;           僕のこの高邁な理想は、
  K              | .     \         /;;;;;;;;  
    ∨          |       \      ,イ''''''''             やはり理解できないようだな!!
.     ∨          |    ,r‐='`ー― '`ヽ       
      ∨          |   /;;'ヘ . / / / /\    
     ∨         |  /   ∨ ./ / /   \   

┌───────────────────────────────────┐
│ しかし、戦いに陶酔する河合には、やる夫のこの好意が好意と映らなかった。   .│
│ 彼はやる夫を「平凡」と蔑んだのである。                               │
└───────────────────────────────────┘





455 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 21:59:59 ID:JY9SH6xk0





┌─────────────────────────────────┐
│ 翌13日の朝、河合は改めてやる夫を訪ね、辞表提出を正式に拒絶した。  ....│
└─────────────────────────────────┘

          ____  _,.-==-- 、
     ...-‐=三ニ≧弐ニミ´三ニ=-、
   /:,::::‐:'´/::::::,イ::::::∧:`:、`:、=:ミ、`::.、             僕は自分から辞表を出して
  .::'::/::,:イ,イ:/::::::/i|::::::':::: ヽ:::ヽ:::ヽ:::ヽ::::\
. /:::/::::::'::::///:i:i:::': !|i:::i:::i:i::i::\:`::、::\:\::::::、          この問題から逃げるような事はしません
/:::/::::/::::/,イ':::i:l:::::::/!|:::|::l l::|:::、:::\::\:::ヽ::ヽ: 丶
:::/::::/i::://::l::::l:!:::::/::ハ:|::!:|::ト、:::\:::',::、:丶::丶::、: ヽ        ただし、経済学部教授会が僕の思想を
/::: /::l:::'/:i::|:::l::::::;':::i:::::l:|::::|::|小ト、::ヾト、:ヽ: ',:::i、::i::::i
:::::/::::l::i::::;斗、!::::,i:::l::::::; |::::|:l/:::|、 ` 、!:::i:: i:ハ l::i |ヽ!        不適格と認定するのならば、
::::'::::::l::l::::' r 、!: /:|::l::::/:l:|::::!!: /|!=≧、ヾl::::l':::!|:::!:|:::|
:::::::::::|:|:i::i { !:/:/l:l: /: ハ!:: Ⅵ:八 {{ }!ヾ!::/i::: |:::: !: !        また、大学が自分の思想を支持することで
:::::::: i|:|:|::l y/:/:/l| ' / i∧::l {′ ヾ  }ハ. |::::|: /}:/
 ::::::!|:!:|::|V/l/ '. |::/ /' ヾ!.       '  、::::!/::::'         窮地に陥るようならば、
  ::::::!:::|::l::i: '    !'                V,'/
   :::::::l:il:l:' i                ,   ノ´           僕は潔く身を引きましょう
   :::::|| |!. 、                r ´
     ::ll {.  \          - ― 、‐'               お願いです、学部教授会を開いて
     :!.     ヽ          _ノ
            、        /                 思想問題で辞めさせてください!!
          、.   , -‐丶   _ ′
         \イ \    ̄
          \.  ヽ





456 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:00:58 ID:JY9SH6xk0





       ____
     /~~~ \             (河合君……経済学部の派閥抗争の責任を取らせて
   / _ノ Ξヽ、_  \
  /   (◎)―(◎)   \          辞めさせるのに、学部教授会が開けるはずがないお……
  |  ::::(((__人__)))::::  |
  \     `⌒´     /          我々はもう思想問題を政治問題に転換してしまっているんだお

                         君のその戦う姿勢は的外れなんだお……)

┌────────────────────────────────────────────┐
│ 河合は「クライマックス」、すなわち辞職勧告を1月20日頃と見込んでおり、その渦中に一人立つ       │
│ 自己陶酔が「リベラリスト・ミリタント」(戦闘的自由主義者)の戦意をいやがうえにも高めたのである。  ...│
│ 彼は大学当局が思想問題を政治問題に転換したことなど知る由もなかった。                 .│
└────────────────────────────────────────────┘





457 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:01:58 ID:JY9SH6xk0





        ____
       / ~~~\           ともかくこれで、両者処分の路線は確定したお
     /(●)―(●).\
    /:::::( ((__人__)))::: \        やる夫はこれから周囲の根回しに動くお
    |    /| | | | |     |
    \  (、`ー―'´,    /        田中君、舞出君、よろしく頼むお!!
         ̄ ̄ ̄





458 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:02:58 ID:JY9SH6xk0





       ,, -―――                         .       ..  -===- .. _
      〃:::〃::::::;;、:::::::::::ヽ                 .  ..      ∠三三三三三三ハ
       Yア( ̄  {_:::彡::::|                         ム三三ミ〈⌒7ア二ニY
       {{;ィ..::ャ=ミ ヽ::r:、|                         {三三三シ r==ュ. ,={
       代・} 弋・フ / ^}リ        承知しました、総長       ゙y=ミv'´  zモァ 〈テ{
        ';::.:L .:::  {  r〈                    ..      V6^       V}
        ';t‐ェェタ  イ >、_                           了 、     └─'{
         i:::二  / // \                    .     xヘ. ヽ   ー_┘ }
          `ー</ /o\  \               ..      /、  \> . _ ノ 
           rヘo// ̄ ̄:.::\∧               ...     / /\   \ `Yh\ 
           ∨//.::.::.::.::.::.::.::.::.ヽハ                 / /     \   \ハ辷」
           /7ロ::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.} _}        ... ..    ∠ィ⌒ヽ.       \  /万]>
            { |圦:.::.::.:.::.::.::.::.::.::.::「 |          ...    ′     \       ∨ゞミ|,ハ
           V |.:}ヽ.::.::.::.::.::.::.::.::. く|       .. .. .          ト、   ヽ       ノ |/V
            {ノ:ノ ハ.::.::.::.::.::.::.::.::.::.}             ..     い   |      {. |/{
            Ⅳ   ∧.::.::.::.::.::.::.::.::.:}                  ヽ.  | ト、    } |/ハ
            }リ / 〈.::.::.::.::.::.::.::.::.::}                    \ | 川     {  |く〈

┌─────────────────────────────────────┐
│ やる夫は田中法学部長、舞出経済学部長との連携を密にしながら、工作に動いた。  .│
└─────────────────────────────────────┘





459 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:03:58 ID:JY9SH6xk0





                         *'``・* 。
                       ★     `*。
                           |       *
              ____      |       *
            /⌒  ⌒\     |       +゚
          /( ◎)─(◎)\   |      ゚*
         /::::::( ((__人__))::::: \/⌒)     +゚
         |     |r┬-|     | ノ   。*゚
       __\      `ー'´     // 。*・ ゚
     (⌒               |。*・ ゚
      ""''',。ヽ_       。*・ ゚
        +  │  。*・ ゚    | * 。
        `・+。。*・ ゚       |   `*。
           i      ̄\ ./    *
           \_     |/    *
            _ノ \___) ~ 。*゚
           (    _/   ☆
            |_ノ''

┌───────────────────────────────────────────┐
│ やる夫は精力的に各方面への働きかけを行った。                              ....│
│ *1月14日(土):午前中に文学部長桑田芳蔵と会談。午後は文相と六大学総長の             │
│           懇談会に出席。軍人文相を詳細に観察する。                        │
│ *1月15日(日):この日は休養。庭の菊弄りを楽しみ、常勝双葉山が破れた相撲の放送を聞く。     │
│ *1月16日(月):午後から農学・医学・理学各部長と会談。軍事教練の配属将校2名とも会う。      │
│           飛び入りの山田教授(河合派)、田辺教授(土方派)には起訴前処分の不当など    │
│           原則論を説く。                                         ......│
└───────────────────────────────────────────┘





460 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:04:58 ID:JY9SH6xk0





┌─────────────────────────────────────┐
│ 周到な事前工作を終えたやる夫は、1月17日(火)の午後に学部長会議を招集した。   .│
└─────────────────────────────────────┘


                 __
               ,,.-´    ``ヽ            今回の議題は
             /    ~~~ \
           /    __ノ  '⌒  ヽ          「経済学部紛糾問題」ひとつだお
            |  - ( ● )─(● ) .|
       /,〉/.|  :::::::( ((__人__))):::|\         最終決定はやる夫に委任してもらう条件で
      / /   .\         /  .\
    ./,二ニヽ   / `ー───ー′ヽ   .\      7人の学部長の意見が聞きたいんだお
  _ /  ,-― 、}l   .l |  ∧   .∧   |   ./
 / |   ノーヘJ   i l  .| .i   .l ..|   / ./丶
./  |_,イ  {  \ | . | /  ヽ_/ .| / /   ハ
    \_/     | | /   /::::亅 |//   / |





461 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:05:58 ID:JY9SH6xk0





             __                           ,.‐:、_,:‐.、
            ̄   __ "'''‐、                       /::::::::::::::::::ヽ
        / -┐   >米<   |                      /:::::::::::::::::::::::ヽ
        /    レ'´ ̄ ̄ ̄ ̄ \                     l―――――゙l         農学部も
     //   /_ __       |   工学部は       ___,,,,,.....l_______l.....,,,,,,___
     |  ///////ヽ-、r≧ヽ ./              <´:::::::::::::::::;::::;;;;;;;;;:::::::;;;;;;;;;:::::::::::::::`>   同様じゃ
     | //V////彡'^V//∧}/    総て総長に      `''ー‐--i ´ヽ / `゙   i--―‐''´
     rニV|、 `─ '´、  |トV//j                      :==-===/'ヽ        もし土方を
     {{ヽ ヾ  ,ノ`⌒ ゙ヾ. ̄〉     委任します          !;;;;;;;/~ヾ;;;;;;;ノ .6 i
     \ゝ)  / __ _|V/                       `!、 !_.,ヽ.   / , ノ        処分するのなら
      |川ハ  ! '”´ __ ⌒'/|      何の意見も           /~´ ´``'ヾノ`i
       ヾ| \.      ̄   /                        !  ,/''ヽ.   !  |        されるがよかろう
       |    、. __ /       ありません           ヽ,/   ヽ,,ノ  .|__
       |  \    ̄ |_                          !  ノ_,,..-::''´::|
      _ .|     _/イ   {                        _,,l,,.:::''::::::::::::::::::::`i
     ∧ 「|    イ ア |  ./┐                     i''´::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
  _ / |/ハ\/ .| //:!/ ノ } ̄ ̄                   l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|

┌─────────────────────────────────────┐
│ 河合の思想問題についてはすでに審査委員会で結論が出ているために、議題は    │
│ 経済学部の紛糾問題に絞られたが、出席した各部長はその原因を河合と土方の     │
│ 派閥抗争であると断言し、土方に対する積年の恨みから批判が一気に火を噴いた。   .│
│ 派閥抗争を否定する意見は、ひとつもなかった。                             │
└─────────────────────────────────────┘





462 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:06:57 ID:JY9SH6xk0





       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|     ┌─────────────────────┐
       |                    |     │ 河合と土方は思想に関係なく同罪とされ、   .....│
       |                    |     │                              ..│
       /    ̄ ̄ ̄ ̄      /      . │ 「河合、土方両教授ニ於テ責任ヲ負フコト     .│
       /              /       ....│                              ..│
     / 河合・土方はクビだお /       .│ 至当ニシテ、光輝アル経済学部ノ再建ニハ   ..│
     /              /         ..│                              ..│
    /   ____     /        │ 此両教授ノ在職ハ不可」との結論が       ...│
   /             /          ..│                              ..│
 /             /            │ 容赦なく下った。                   ..│
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄           . └─────────────────────┘





463 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:07:57 ID:JY9SH6xk0





          ____
         / \Ξ/\ キリッ        分かっているとは思うけど、この結論はあくまで
        /( ◎)―(◎)\
    /   ⌒ノ(、_, )ヽ⌒  \        学部長限りの極秘事項にするんだお
    |   ノ `-=ニ=-  ヽ   |
    \      `ー'´     / +       処分はまだ先の話だお!!





464 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:08:57 ID:JY9SH6xk0





┌────────────────────────────────────────────┐
│ 加害者土方とひとかけらに同罪とされた河合は、そうとは知らず、思想対決の執念を膨らませていく。  .│
└────────────────────────────────────────────┘


          ,      /〃ハヾ  / ∧∨〃、ヾ} l| :}ミ;l\               く
        /〃// / 〃l lヽ∨,〈ヾ、メ〈 }} ;l リ ハ l`!ヽ.              ノ   僕の目論見は、総長に
          //' /,'  ,' 〃 l l川/,ヘ丶\;;ヽ/:'/〃∧ l ト、:l !              )
         〃,'/ ;  ,l ,'' ,l| レ'/A、.`、\;;ヽ∨〃/,仆|│l }. |、             〈   前例のない「起訴前休職」を
         i' ,'' l| ,l ' l. !| l∠ニ_‐\ヽ;\,//,イ| l | l ト/ λ!   、         〃.
.        l ;  :|| ,'i:/ l| |:|: |``'^‐`ヾ∨`゙//|斗,l ! | ,タ /l.| l  三__|__       /   やらせることにある
       l ' l |」,' l' lハ |'Ν    ̄´ /` ,|l_=ミ|! ly' ,〈 :|| |  口 |       /
        |l .l H|i: l | ゙、| l        _.::: ,!: l厂`刈/ /!} :l|    ‐┬‐   ___ノ    それによって総長の無定見を
        |! :l |)!| ! |  ヽ      '´ ’/'_,.   ノイ.〃/|!    │田│   ̄\_
        l|l |l 「゙|l |`{             ..   _   |}/,ハ l     ̄ ̄      弋.   暴露し、僕の真の勝利を
       |!l |l、| !l :|.      ‘ー-‐==ニ=:、__j:)  l'|/|l リ    、 マ      _ノ.
ヽ ̄ニ‐、__.」乢!L!lヱL」__           ー、 `'''´   从「 /     了 用       ヽ.   勝ち取るのだ
 \ `ヽ\      /l |       / ̄´     //        '"`ー‐       ム
.  ,、  l  ゙、    / ' |、      {        /l/         ,          __,).   総長と思想対決をすれば
   '}  l  ゙,    /   |:::\      }     ,.イ/          レ |        `ヽ.
   l  l   l  ,.イ   l:::::::::\__   `'-‐::"// |′          ノ         ノ.   僕は必ず勝つ!!
   l   !   K ヽ,、 \「`''''''''"´:::::::;;:" //                     く..
.    l   l   ト、\( _.... ヽ  .:.::::::::;;″ /'       _                ゝ.
\   |  l|  八、ヽi´    | .:.:::::::::::::i' .:/'"´ ̄ ̄ ̄ ,.へ\              ノ





465 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:09:57 ID:JY9SH6xk0





         /                } \        ……この河合の捨て身の策が
        /              ,ィ    ヽ
       ,               / v   l       実は全く無意味になる事はこれまで見た通りね
       ,'            /   V   |
       l          /       l   |       河合はあくまで思想問題で戦うつもりだったけど、
       l         ,fニ二   二y  ,
      !   | |    / 牝リ   牝リl  /        大学側は派閥抗争の責任を問うための休職に
         .  :| |     / `¨´   、`¨ j /
        l   :| | !  /           / /         舵を切ったの
      、__,ノ  :/ j: ;l  |    (二フ /: /
     >: : :/   !/ハ |> .   /l:l :/          だからその後河合が起訴されようとされまいと
     /: : /   j: :| ヽ|  /:l`:T \j/
   , =ニ´ {    、 :!   /`゙l: : : :   l            もはや関係ないと切り捨てられたのよ
  /   l ゝ {  l\ゝ __ |ノ}: :  ノ\





466 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:10:57 ID:JY9SH6xk0





  /⌒\ ⌒\     __      /⌒ヽへ
 /         l   _/      ̄`ヽイヘ    し1
ノ       ノY´_       ー-\ノ    く       策士、策に溺れるという感じだね……
       rく:::::::]   -、l /    / k-‐ヘノノ
レ{ノ` ー ' l/Lノ   __ Y , -、   |            河合さんは自分の正義を信じていたんだろうけど、
      /l /  /    /   \/
       /_」Vl /     / /       |            喧嘩両成敗となると正義も悪も
    /{} 〈r\ll  /| /|  ∧ l  |
  ∠    八 く|  /ーヘナ^\|ーV /            関係ないんだものね……
 /   \  l `Tヘ {ゞ== '  , ='/イ
./     l Vハ \  _   イ 〈
       l ∨ハ.二>-< _」/ |
       |  ∨ハ  / //  ',





468 :名無しのやる夫だお:2012/10/16(火) 22:12:41 ID:2M6B4buE0



ヒドイ話


467 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:11:57 ID:JY9SH6xk0





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;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:_..-―‐ ''''ゝ、、:;.:;.:;.:;.:;.:;.:;.:;.:;.:;.:;.:;.:;.:;.:;.__,,,,......--'".;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;
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   `iー-i---―――‐''"                    |       i
                |    l   |       |                     i
                                            l
   i        |    i                    i
        l                 |   l                       l
                     |            l            |
        、、     l       i                    |
  |  ┼┼   ──┐  ─┐          ─┐      l               |
      │    │    │    ─┐    │      ─┐
            │          │             │      l
    i             l            i                      i
                                   |
         |           i            |              |

┌───────────────────────────────────┐
│ 各部長から「両教授ノ在職ハ不可」との合意を取り付けたやる夫は、時を移さず  │
│ 翌1月18日の夜に、荒木文相の家に向うことになった。                      │
│ 昼頃から降り始めた雪は、いつしか冷たい雨に変わっていた。            .│
└───────────────────────────────────┘





469 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:12:57 ID:JY9SH6xk0





             _ , --.ー.`γ^‐- 、
            ∠:::::: ゙;:;  丶 :::: `ヽ             父さん、これから荒木文相のところに
            /:::/:::i:i ::; ::  ::: :: ゝ
            κ:::λ::i ::i :::! :::i :: ::..j            行くんだってね
            レ′:::::! ::! ミ;;、::i : ::: ノ
             ヘ::/-=ト |/V _,止-::::z´            こんな夜遅くにご苦労様
             《-i ゞ少:`  {心リ i ソ  
              ヘ    ,    ,'              気をつけて行って来て下さいね
               \. v _ア  ,イ    
                 ト - .イ !、   
           _ , -‐ヘ 、__   /__, /:::::::::::: >、
         √::::::::::::;:/ゞ    , へ::::::::::::::,::::::::: ヽ
        ./::∧:::;/   ゙丶 ^    \::::/;;i::::::::::: i
        /::::;;;;;;{´  :::..     ...    y!;;;;i::::::::::: |





470 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:13:56 ID:JY9SH6xk0





         ____ 
        / ⌒ΞΞ⌒ \
       ./(ー)―(●)   \             ああ、行って来るお……
       /::(((_人_))):::::  | チラッ
       |    ー       .|             父さん、本当は荒木文相が
       \          /
         |  / ̄ ̄ ̄ ̄i             どうも気に入らないんだお
          j/  / ヽ ̄ ̄|
        /   /   ヽ   |             だけど、これも大学のためなんだお……
       /   / /    ',  l
      j   / //       ', ヽ

┌────────────────────────────────┐
│ やる夫は午後8時過ぎに、待たせてあった車に乗り込んだ。             │
│ 彼の胸には、「休職処分上申書」の案文が抱かれていた。             .│
│ 河合と共に土方を休職させる内容のこの一案を、やる夫はなんとしても   .│
│ 荒木文相に飲ませねばいけなかったのである。                  │
└────────────────────────────────┘





471 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:14:56 ID:JY9SH6xk0





┌───────────────┐
│  代々木幡ヶ谷  荒木私邸  ......│
└───────────────┘

 !|        i|       i|      |i     !|   i       ! 
 i   i|   !     i      i   |!    i       !  !  i  
  i|    !   i     i     !    !    i  |!      i|   
 i   i|   !     i      i  |!    i       !  !  i   
             i   |!    i       !  !  i     i
        f'/ K7-、    !    !    i  |!      i|   !
   _,  ィ^'ヘ'''”::::::"::.そ          !|   i       !  i
_,,、/:::゙て”:::"::.”::.:::::.."::''、_     i   |!    i       !  !  i  
”:::":.:::::..”:::":.:::::..”:::":.:::::..`-'^、_  ______  |!     i|   ! 
::”:::":.:::::..”:::":.:::::..”:::":.:::::..”:::":.`,´ _r=、  _r=、 ,_r=、、   
:::::..”:::":.:::::..”:::":.:::::”:::":.:::::...:∠  ',|田| ',|田| ',|田| \ /\   _
”:::":.:::::..”:::":.:::::..”:::":.:::::.:..”:::":.::`ヘ_、________\ェi. \f´:
:..”:::":.:::::.:..”:::":.:::::.:..”:::":.:::::.:..”:::":.:::そ 王! !王王| |王王| |_,,_,ノ::"
::":.::::::..”:::":.:::::.:..”:::":.:::::.:..”:::":.:::::.:”〈ttttt| トtttttt| |tttttt.! ! r'::"::゙::"
:::”:::":.:::::.:..”:_":.:::::.:..”:::":.:::::.:..”:::":.::::/_ _ |_| ._ _ !_! _ _ | |.f::"::'::::'"
``\:..”:::":.:::::.:..”:::":.::..”:::":.:::::.:: ::::::.<´‐‐゙i f ‐‐゙i f --゙i !l::"::::::::::::
   l";゙;ヽ:..”:::":.W`'''-'^^_`ー-‐''`^`ィ'゙'""::;;r、I_I_I」 .|_I_I_I.! .!:::":::":::":
   |:lii;;;; i;|;レ'_;ィ |  f´::ヽ‐、_-、⌒、 r==========r''´`~;7 >、:::"::
  ,|;ii;l;|;;:ll!:;;!  l|  | 「,,___ r';;::::ミヽ::ィ⌒、/ ̄ ̄\ i::;;;;:::_::_::,⊥_
  |:;:il!;;;ii;;ll!;|_l|,,-'  <ニニニニ゙、r::⌒ヽ  ゙、       r'´::;;::;;::;:::::;;::;;;;
  !:il!;";;ii゙;;ll;|       〉―― 〉_r-''´`'''‐-‐ 、    l;;;;;;;;::;;::;;::;;;;;;;;;;;;
  ,|:;:il!;;;ii;;ll;;l;;|      /――‐「;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;>    l::::::::::::::::::::::::;;;;;;





472 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:15:56 ID:JY9SH6xk0





            ,.. - ..,_,.. - 、.、
            , ‐''''´       `'ヽ"'ヽ
          /         ̄`'ー、ヽ , \           ……君とは一度こうして
       /  __-、ヽ       ! i ノ,._ ';
      r'  '" r'/''`'rrー- ..,,__,,.=,く'´ー;  {          私的に話をしたいと思っていた
      r' _,...  /   '       !l  ! .!
      ヽ'.r''ーr'i ..,,,_    、  .,'/  | ./          私の長男※は、君が訪英したとき
      ', !l ; !l !.  -r‐i゙;i''ー.) ヽ. /r;i‐;'' i-'
       ',ヾー.|{     ̄     l´  ̄ /            ロンドンでずいぶんと世話になっている
       ', `"!'           !    ,'
        !,! !、       ー '   /             だから、君には義理のようなものを
        '_'、.l`ヽ     ――  /
       ,'、;-' ,_ \    "   ,.'               感じているのだよ
       ,'  `"''ー"=‐'_- _ ..,__,.ノ- 、
,.. -、----、'- 、      `"'ー`;'ir,j,''r'--.、
-―ヽ__ヽ `'ー .,_      !l!l ,',' !___ヽニニニニニ ー_-=,―''''フ
ニ"-l l         `'ー 、   l !l l !.,'    ヽヽ..二''_-、ヽヽ-'´
'ニ7,'/              `'ー !ヾ.!l/        \ヾー_'_. ', ', !

※長男:荒木の長男貞發(さだあきら)のこと。やる夫は1934年の訪英時に貞發のロンドン大学留学を斡旋している。
貞發はロンドン大学卒業後は日産自動車英国駐在員となり、戦後は(株)荒木研究所の社長となる。





473 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:16:56 ID:JY9SH6xk0





       ____
     /~Ξ ~\              そういえばそんなこともありましたお
   /( ◎)Ξ(◎)\
  /:::::( ((__人__)))::: \           ……早速で申し訳ないですが、まずはこの
  |     |r┬-|     |
  \      `ー'´     /           「休職処分上申書」の案文に目を通していただきたいですお





474 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:17:56 ID:JY9SH6xk0





            ,.. - ..,_,.. - 、.、
            , ‐''''´       `'ヽ"'ヽ
          /         ̄`'ー、ヽ , \              ふむふむ……
       /  __-、ヽ       ! i ノ,._ ';
      r'  '" r'/''`'rrー- ..,,__,,.=,く'´ー;  {             
      r' _,...  /   '       !l  ! .!
      ヽ'.r''ーr'i ..,,,_    、  .,'/  | ./             ……これはどういうことだ!?
      ', !l ; !l !.  -r‐i゙;i''ー.) ヽ. /r;i‐;'' i-'
       ',ヾー.|{     ̄     l´  ̄ /               河合の休職は当然ながら、
       ', `"!'           !    ,'
        !,! !、       ー '   /                なぜここに土方成美の名前がある!?
        '_'、.l`ヽ     ―/7ヽ./
       ,'、;-' ,_ \   ..//  \                 我々はこんなことは要求していないぞ!!
       ,'  `"''ー"=‐'_- .//      \
,.. -、----、'- 、      `//        \
-―ヽ__ヽ `'ー .,_   //         丶 ._ニニ ー_-=,―''''フ
ニ"-l l         `'ー.//              ̄   ―===ュ
'ニ7,'/     `.ア´ ̄ ̄`ヽ : . . . . . . . .             /
         /  丶ニヽ | : : : : : : : : : : : . .        /





475 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:18:56 ID:JY9SH6xk0





         ___
      /)/ノ ' ヽ、\            ……荒木さん、両者の同時処分は絶対譲れませんお
     / .イ '(●)─(●)\
  .  /,'才.ミ). ((__人__))):::: \         そもそも「御上の大学」である東大の経済学部を
  .  | ≧シ'   ´ ⌒`     |
  . \ ヽ           /         両者の派閥抗争がすっかり毒してしまっているんですお





476 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:19:55 ID:JY9SH6xk0





          ___
         /     \            いいですかお、文部省は河合の思想問題のみを
       /   \ , , /\
     /   ( ●)Ξ(●) \         取り上げていますが、経済学部を壟断しているのは
      |  :::::( ((__人__))):::: |
     \      ` ⌒ ´  ,/         むしろ土方なんですお
      ノ          \
    /´      _i⌒i⌒i⌒i┐ ヽ        思想問題を取り除けば、両者の罪は同等ですお
    |    l  ( l / / / l
     l    l  ヽ       /          ですので、両者処分は必須ですお





477 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:20:55 ID:JY9SH6xk0





         ___
       /     \            両者の抗争は経済学部を瀕死の状態においやっていますお
      /   \ , , /\
    /   ( ●)Ξ(●) \         これでは「御上の大学」を与るやる夫は
     |  :::::( ((__人__))):::: |
      \      |r┬-|  ,/         陛下に顔向けが出来ないんですお
     , -‐ (_).ヽ`ー'´   ィヽ
      l_j_j_j と)         i        陛下に忠誠を誓うなら、獅子身中の虫を取り除かねばいけないですお!!
       ̄`ヽ        | l





478 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:21:55 ID:JY9SH6xk0





               .. - ´ ̄    `  .
            . イ              ` .、         陛下に顔向けが出来ない、か……
.            ,ィ´   ィ彡⌒              .、
          い(_ ノ´ 廴             ;        確かにそうだな
          ハ!    ヾ、、                 !
.            l     ヾミニx气          l       そうであるなら獅子身中の虫は取り除かねばならん
           !{_,ノ⌒    ミイ  ∨          }
           ゞfjフ     !{く_,} 〉ヾ        ,'       しかし問題は、私を含めて文部省では土方を
          /        从Y /∨      /
          /         リハイ ノノ       {        今まで誰一人問題視していなかったことだ
          `ヾ_           从ハ     乂
           ヽ ´    , ′     乂 ヘ   ヽヽ     今まで思想問題で河合を追及していたものが
            l      /  /       У乂八 リ
            ヽ   イ    ,/   __,,、rfチ三≧x,乂     土方を含めて派閥抗争の観点に変更するのは
               」,ム≠≡≦三三三三三ノリ:ヘ
      r==ュ、___...ィ::::|| |三三三三三三三才´:::::::ハ、、   すこし面倒だろうな
       >::イ才´:::::::::: || |三三三三三三才:::::::::::::::::/才ゝ、、
      /://___:::::::::ミv」Lj三三三三ニ才::::::::::::::::::::::/〈圭圭圭fr、、



       ____
     /~Ξ ~\           それは荒木さんに一任しますお
   /( ●)Ξ(●)\
  /:::::( ((__人__)))::: \        荒木さんならきっとやってくれるとやる夫は思いますお
  |     |r┬-|     |
  \      `ー'´     /





479 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:22:55 ID:JY9SH6xk0





               _,,,,,,,,,,,,,_
             ,,r;:r""      ヽ、
          ,r'" "     ,r''"`   ヽ、              ふん、この私に丸投げか
         ,r"  /   ,,r ,r"rヾ、`ヽ、 ヽ、
        ,|、_ (_   _ (_,r"'"  ヽ、 `ー、i             まあいいだろう……
         ,|ヾl`'ー`ヽ!`i'"      ゙i、  _,〕
         tヽ|     ゙i、      ヾー[」-!、
         ヾ|     ゙i、,|  _,,,;;;=''"`  ヽノ、 〕           ……やる夫君、ずいぶんと夜も更けた
          !i,‐-;;;;;;、,゙i、r'"-,ニlア    |i、゙`イ|
.          `i;-、ニlア i、 "      |、ヾ|l|゙           君も少し小腹が空いたろう
.           ゙i,    |:|         | ゙i, ノ,
            ゙l、  `!_,,.       | ゙i |            家人になにか作らせよう
             ゙!、  ,,,,.. -'''    /  | .|
              ゙i、   --    ,r'   ゙i_!-;           酒も少しくらいあるだろう
               `!、     ,r"_,,,r-'''ニ-‐''゙i
              rヾ、`ーr‐''ニ""-‐'"     ヽ,.........,___  君はずいぶんといける口だと聞いているが?
             __λ i,ヾ| i''"       _,,.r-t"_,r'"_:_:_
    ____,......r-i'",r'ヽ | |:| |     _,,--'"   ~ヽ、:::::  !.
  < ̄ j'"ー'''''j;, ̄ ̄  `i | |:| |  _,,r''"        ヽ、:::::  `t、/





480 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:23:55 ID:JY9SH6xk0





       ____
     /⌒Ξ`ー\          もちろん!!
   /( ●)―(●)\
  /:::::( ((__人__)))::: \       やる夫は酒には目がない男ですお!!
  |     |r┬-/ '    |
  \      `ー'´     /

┌───────────────────────────────────────────────┐
│ やる夫と荒木の会談は円滑に進んだ。                                             │
│ 60歳のやる夫と61歳の荒木、陸海の違いはあっても天皇に対する古典的忠誠心を持つことでは           .│
│ 共通していた。                                                            │
│ 荒木は元々やる夫の人柄を気に入っていたし、やる夫も荒木と話すうちに彼に対する先入観から来る      ...│
│ 毛嫌いは雲散霧消していた。                                                     │
│ こうして双方は歩み寄ることになったのだ。                                               │
└───────────────────────────────────────────────┘





481 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:24:55 ID:JY9SH6xk0





┌────────────────────┐
│ その日は三時間ほどでやる夫は帰宅した。  │
└────────────────────┘

     _z`=- ̄ ̄入  ,-‐___
     >:::::::::::::::::::::::::::::ヽ':::::::ゝィ
   , ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\__
 <_:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::< ̄         おかえりなさい!!
_.イ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ
 Z:::::::::::::,':::::::::j:::::::::、:::::::::::::::::::::::::::::ト _、        ずいぶん遅かったけど、どうだった?
  ル:::::::/ヾ 、::i\:::::.}ヽ::::,ィト ,:::::::::::::::ゞ `
  N::::リiートム.L__'ヘノ }/_,!i/土‐ト,ル'          荒木文相は気に入らない人だといっていたけど、
   _,Y^f^゙.7≧ヌ’  く,ィえ下-,ル-、
  /ぇ.!ハ  5:り:}    5:i :リ.ム/と }           喧嘩なんかしなかった?
  ゝ`ハ ゛.ゝ -.′    ゙-‐ ´ l  /
  丶八 , , ,    j,      .レ′
    ´\    __   ./
        ト 、´     `イ
       |  >‐-‐<. l
       l i      !. l
      ノ  ゞ    ノ 八__
  -―'√ ー-   、_ ,     `二7ェー-





482 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:25:55 ID:JY9SH6xk0





        ____
       / ~~~\           荒木という人は、なかなかどうして話の分かる男だお
     /.(⌒)―(⌒).\
    /:::::( ((__人__)))::: \        父さんは気に入ったお
    |    /| | | | |     |
    \  (、`ー―'´,    /        二人で一緒にすき焼きをつついてきたお
         ̄ ̄ ̄



            ヾ'''''''''-,へ         , ‐=ニヽ
         ヾ ̄:ヾ: : : : : : : :ヘ_        !_i  ) )
        /: : : : : : : : : : : : : : : !    .   _ノノ        出かける前に言ったことと
       ~/: : !!/!/リ\!\!、:: : :!      // ̄
       /!: / ⌒    ⌒ ヽ,/      ◎            全然違う……
       レ!小l 0    0  u/~)    
         |l⊃ 、_,、_, ⊂⊃_ノ                  いったい何があったんだろう……?
      /⌒ヽ.ヘ  ゝ._)   j /⌒i
     \ /:::ヽ>,、 __, ノ ァ/  /
       .ヽヽ:/ヽ‐-‐‐イ:::ヘ、__/





483 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:26:55 ID:JY9SH6xk0





             ,.r-‐ァ'""`ヽ、                    ___
          ,. ィ" ''" 、'"    `ヽ、                /.~~~\    
         ( / ,.r-、  ミ .._ ~`  ヽ             /  \Ξ/  \  
          ゞ'   ヾ、ミ r=、     |           /  ( ●)―(●)  .\ 
         l | ,ィ'二   |  ! ;i ノ    |           | :::::( ((__人__)))::::::: |
         `f `'” .::::::| ル'7       !           \    ` ⌒´    / 
            /;::  :::::::::::レ^' レi     |           /,,― -ー  、 , -‐ 、
          ヾ;   ::::::::::ノ   人 :;  ; |           (   , -‐ '"      )
  r=‐-、_     T´  .::::::/:::,,.----キ; : ハ           `;ー" ` ー-ー -ー'
  ヾ:::::::::::\`ー: 、∟...::::;;y;''"     ル リ            l           l  
    ヾ::::,r‐‐'^ヽ、_,,,.-‐^  逆シャア  リイ人

┌─────────────────────────────────────────┐
│ やる夫と荒木はそれから数日会談を重ね、互いの情報を交換した。                  .│
│ やる夫は心を無にし、個人的に同意した荒木の士道を信じたのである。                │
│ ちょうどこの頃、河合に対する検事局の取調べが始まっており、起訴前休職を急ぐ文部省は   .│
│ やる夫と情報を交換しながら文部省としての結論を煮詰めた。                          │
└─────────────────────────────────────────┘





484 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:27:54 ID:JY9SH6xk0





              __ _ __ _
             「:::::::::::::::::::::::::.:..:l           ...┌────────────────────────┐
             |::::::::::::::::::::::::::::::::l          │ 1月24日(火)、この日、宮中にて恒例の御講書始。  ....│
           _」;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;L___        │                                    │
            /   ─ ~~-\          ..│ その控(洋書担当)に選ばれたやる夫は、       ......│
          /   ─( ●)─(●)'         │                                    │
          |    ::::::( ((_人__)))::|       ...│ フロックコートに身を固めて午前9時半参内。       │
          ,.\        ` ⌒´ /         .│                                    │
       ,. '´.:/{\     ー  ノ' `ヽ      ...│ 午前10時からの進講には、前東大総長長與又郎が .  │
    ,.  '´.:.:.:.:.:.:.l.:.:.:ト、 ヽ、二 イ.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:l      ...│                                    │
   /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.l.;;;\「``ハ´ }:::::::::::::::::::::l       ..│ 洋書担当として加わっていた。               ..│
  /.:.:.::::::::::::::::::::::::\.:.:l;;;;;;;;;\    l::::::::::::::::::::::l     ..└────────────────────────┘





485 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:28:54 ID:JY9SH6xk0





               .  -‐‐‐‐‐-   .
           , ‐、´.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`丶、
          /.::::::::`ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\        ..┌─────────────────────┐
          /.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ      │ 偶然とはいえ、東京帝国大学の          .│
.           /.::::::::/__::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}       .│                              ..│
         /.::::::::厶, 、`¨´ ̄`ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::{      .│ 苦悶を相次いで担った総長二人が        ..│
      /.::::::::/ 弋ノ」 ー- 、ム::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::!:ハ      ..│                              ..│
.     /.:::::::::i=ミ、  ` ー- 、_l::::::::::::::::::::「二二ニニl:::::}    ..│ 同席した事は、事情を知らないはずのない   ...│
     /.::::::::::::{ ,斗    ‐=ミ、  |::::::::::::::::::::!:::::::::|::::::::::::::::l    ..│                              ..│
.    /.:::::::::::::::i,忙}    、_ \l::::::::::::::::::::l::::::::::!::::::::::::::::!   .....│ 天皇に余計な痛みを与えたに違いない。     │
   /.::::::::::::::::::代シ   _,ィ尓x  }::::|:::::::::::::::|:::::::::l:::::::::::::::::! ..  .│                              ..│
   .′.:::::::::::::::::| ,     {rfikiトj:::::}:::::::::::::::}:::::::::l:::::::::::::::::l   .....│ やる夫には、天皇の顔がまぶしかった。      │
  i .:イ::::::::::::::::::l 、     弋Yシ/.::/.::::::::::::/.:::::::::j::::::::::::::::::!     . └─────────────────────┘
  { ::{::::::::::::::::::::{、 、__     /.::/.::::::::::::/.::::::::::/::::::::::::::::::l
  L::ト、::::::::ハ/  ヽゝ-`- /.::/.::::::::::::/.::::::::::/.::::::::::::::::::::l
     ヽ{`     ヽ`  ⌒7__//;;;/}::::::::::/.:::::::::::::::::::::::!
             }`¨¨く`ヽメ、_ノV.:::::::/.::::::::::::::::::::::::::l
             /.::::::::/〉、_」、_L,/.::::::/::::::::::::::::::::::::::::::l
               /.::::::::イ〈  l /7.:::::::/|:::::::::::::::::::::::::::::::l
           /.:::/ レ' /.イ.::::::::/ !:::::::::::::::::::::::::::::::!





486 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:29:54 ID:JY9SH6xk0





┌────────────────────────────────────────┐
│ 帰宅したやる夫は、家族に遅くまで御講書始の話を聞かせていた。                    │
│ 夜も更け、そろそろ寝床に着こうというところで、凍るような夜気を震わせて電話が鳴った。  ...│
└────────────────────────────────────────┘


                                                           \
         陛下はやはりいつ見ても                                     \
                                                               \
         聡明でいらっしゃって……おや、電話かお?                              \
          ____                                                      \
       / ~~~ \             /''7  ./''7   /''7  ./''7                   __     _
.     /-(◎)―(◎)\         . / /  / /   / /  / /                    /__ノ   /丿
    /  ( ( (__人__))) \        .../__/  ./ / .. /__/  / /    /> i'⌒ヽ、___, '⌒ヽ、__       / /
    |      |r┬-|    |         ___ノ /    ___ノ /    / r´  '⌒ヽ、___, '⌒ヽ、__! ,____,. - '´ /
     \     `ー'´   /        ./____,./    ./____,./   く/Ll             /____,/
    ノ            \                                                 /
  /´               ヽ                                              /
 |    l              \                                          /
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、.                                   /
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))                               /





487 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:30:54 ID:JY9SH6xk0





|   文部省の石黒です
|
|   荒木文相から伝言がございますので、
|
|   只今からそちらに参ります
\__________  ________/
                 | /
        ____    | /   
        /\  /\ __  
.     ./ .(○)─(○)'(_)( ゙ヽ           _/\/\/\/|/\/\/|/\/|_
    / ::::( ((__人__)⌒ |.(  .',           \    わ、分かりましたお!!   /
    | u    |r┬-|  ._|.(  ..ト-a‐-a,       <                     >
     \     `ー'´ _(_)(.__.ノ      'a,,     /    お待ちしていますお!!   \
    ノ            ̄/        "'a,    ̄|/\/\/\/\/\/\/\/\/ ̄
  /´            ./  ._/「i__「i  .ノ
 |    l          i   /      Y"
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、  /       i  
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (_______ノ





488 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:31:54 ID:JY9SH6xk0





┌─────────────────────────────────┐
│文部省からの車が到着したのは、12時の時計が鳴りはじめた頃であった。  ....│
│到着した文部省の使者の言葉は、やる夫にとってあまりにも意外なものだった。│
└─────────────────────────────────┘

           /            ヽy  `ヽ
          /               ミ!   `、
        /                 !:::'   ゙i       荒木文相からの伝言はただ一言、
        ,r'              ,r'ニ:、.ソ::     |
       ,r'             /   ヒニミ!     |      「総長の思うようにやられよ」でございます
      i゙            ノ /       |!     |
       |     ;'    _,ィ',久'′      |     |      よろしいですか、
       ヽ   |   / `'ユエー``''  ,:=─--:」     |
     `=',.   !  (        '゙ `せ‐- ゙i     |      「総長の思うようにやられよ」です
     ,r''",、-   `=t`-       、   ̄ ./!  , ,/
    i ,r'゙    /  ゙:、       、ァ'     /'ツ_ノ-'゙        これ以外に条件は一切ございません
  _,,..Y  ,   i゙   リ 、    ャー-、   ∠ゝ  {
 ̄__ゝ、!   {  , ,ノ! \  `ー'"  /.:::.  ヽゝ
 ̄::::::::::::::/,ヘヽ、゙:、レ" ゙:、  `-、_,,.ィ'";:::::::::   ゙i_
::::::::::::::::://.:::::::.゙ヾ、|   ゙':、     / /.::::    l 人`''-、,_
::::::::::::::://.::::::::_ノ,、ノ!   :::::\_,、-'レ'/ ,   _ノ'゙::...`''-、, 「`''ー
::::::::::::://.::::::_'"_ \  ::::/::`、 `i  l_、-'゙ヾ::::::::::::::::::.. ̄「
:::::::::::/ ´_,,ニ-‐ニ_、イ::::..\/.::::::::::.\;:トミゝ:::::::::ヾ:::::::::::::::::::::: |

        石黒忠彦:当時の文部次官。





489 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:32:54 ID:JY9SH6xk0





                       _____
        ,..-‐-、__       / ヽ~~/  \        条件なしかお、
       /       ヽ    // ,.-、ヽ─ /,..-、 ヽ
      /  '´`ー―-イ    /  ヽゞ-' ノ   ヽゞ-' ノ ヽ     さすが荒木文相!!
     . / ./ ̄ \   }  ./:::::::( ( i´  人  `i ) )::::::::::ヽ
     / ', -、   \.ノ―、|      `‐‐'  `--'       |    やる夫を信じて総て任せてくれたんだお!!
    . / /   \    ヽ   l|       |-‐┬‐-|         |
   /   ヽ   \  /  l \     ヽ___/       /    これでやる夫は両者処分に踏み切れるお!!
  ./     入   .}‐〈   } __\              /
  /       <  _,イ__,-`ー ':.:.:.:.:.:.:.ヽ`ー―‐.、    .,..-‐‐ト、
  \      ̄ /|:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\  /:.:.:.:.:.:l:.:.\
   `ー――‐ '   |:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ト、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ ':.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.ヽ





490 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:33:54 ID:JY9SH6xk0





┌──────────────────────────────────────┐
│ 一夜明けた1月25日の早朝、やる夫は河合・土方両教授に総長室への出頭を命じた。  ..│
└──────────────────────────────────────┘

          ____
        /\  /\ __                もしもし、河合君かお?
.     ./ .(●)─(●)'(_)( ゙ヽ
    / ::::( ((__人__)⌒ |.(  .',              やる夫だお
    |      |r┬-|  ._|.(  ..ト-a‐-a,
     \     `ー'´ _(_)(.__.ノ      'a,,        本日速やかに総長室に出頭したまえ
    ノ            ̄/        "'a,
  /´            ./  ._/「i__「i  .ノ      重大な話があるんだお
 |    l          i   /      Y"
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、  /       i
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (_______ノ
                                      _
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━/◎\
                                    ̄ ̄ ̄━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

          (これはちょっとおかしいぞ?                       ,...::´:.イ:::::i:::\:::::`:..、
                                                  /.::/.:::!i:::::i::::::::ヽ::::::::\
          さては総長、検事局の決定を                     ,.':/::/::::i:::::!i::::::!:::ヽ:::::!:::!:i:::.:ヽ
                                              .. /::/::::!:::!::i:::::!i::::::!::::::::::::!:::!::!::i::::!
          待たずに辞職勧告をする気か?)                 i:::i::i:::|:::i::::.::::i:!:::::i::::::::::::i::::!::i:::i:::i
                                                |:::i::i:::|::::ヽiヽリ、::::!::::::::i::|::::!::i:::i:::!
                                                !ヽ::ト、!ヽ:::jィ赱ハ::!:j::i:::i::! ヽ::i:::i::ト、
          ……判りました                               ヾ7  ´   ノノ |::i/:::! j:::i:::iリ
                                                  〈 _      i/ ヽiイ:!::i:::i'
          しかし、本日は検事局に出頭しなければなりません .          ヽ_.. _       /   トj:::iN
                                          ..          iー     / /```ヽ
          夜に直接ご自宅に伺います                           ゝ--rrf´ /   ,  ´\
                                                       トi´/  , ' ,...:':::::::::::ヽ
                                                       i !j , .', .'.::::::::::::::::::::::::::i





491 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:34:53 ID:JY9SH6xk0





┌──────────────────────────────┐
│ 一方、土方はやる夫の求めに応じ午前11時に総長室に出頭した。 ......│
└──────────────────────────────┘


               ,.、-rァァァァァ‐-,.、
               ハシ'"`''ー‐''"`ヾ;ハ
            lミ'   _ 、__,. _   ゙ミl
            || へ、_`ー '_,._へ ||               総長……
               rョl ,.=。=゙ '=。=、 h
               |ヒ|. `二} {二´ :|j.|              土方成美、総長の指示により
.             ,ゞ|   人__人   |く
     _,,. -‐''"´| : lヽ、{. ̄- ̄.},.イ: :|``'''‐- 、.._        出頭いたしました
   /´l : : : : : : : :|: : |.\`'' ‐-‐''´/|: : l: : : : : : : : 「ヽ
   /: : l : : : : : : : |: : :|.  \  /  |: : :| : : : : : : : |: : l
  ハ : : |: : : : : : :│: : |     ><   | : :│: : : : : : :| : : 〉
.  {: : : : | : : : : : :│: : :|  /| /|\. |: : :│: : : : : : | : / }
  ハ : : :│: : : : : : \;ノレ'´  〉〈.  ヽlヽ;/ : : : : : : |: : : ;ハ
  〉:\ :│: : : : : :./: :│  |/ |   | : :\: : : : : : :|: : :/:〈





492 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:35:53 ID:JY9SH6xk0





       _____
       / _     _\ 
.    /      ̄` ´   \                          土方君、はっきり言うお
.  /  ─ (  ● ) ─ ( ●)- \
. /         /   !   ヽ    \   ___,. -、               君に今すぐ辞表を出して頂きたい
/       ( ( ゝ__ノ ゝ__ノ))   ヽ ( ヽ-ゝ _i,.>-t--、
|           ` ⌒ ´       |  `''''フく _,. -ゝ┴-r-、       経済学部多年紛争の責任を
|                        |__,.-''"´ / ̄,./´ ゝ_'ヲ
ヽ      _____      /   / _,. く  / ゝ_/ ̄|        取ってもらうためだ
:.ヽ‐'''!-‐''"´:::::::::::::::::::::::::::::: ̄ ̄`~''‐-、_/ にニ'/,.、-t‐ ┴―'''''ヽ
  \_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/  /   .(_ヽ-'__,.⊥--t-⊥,,_    君の辞職は、全学教授の
\    ̄\―-- 、 _::::::::::::::::::::__::/  /  /   ̄   )  ノ__'-ノ
  \    \::::::::::::::`''‐--‐''´::::::::::/  / / / ̄ rt‐ラ' ̄ ̄ヽヽ     希望するところだ
ヽ  ヽ\   \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/      /   ゝニ--‐、‐   |
 l   ヽヽ   \:::::::::::::::::::::::::::::::/           /‐<_  ヽ  |ヽ





493 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:36:53 ID:JY9SH6xk0





              _,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,___
             ./=--- 、ヾい| | | / / -─ 、三、
             l三!      ̄ ̄ ̄  u  ヾE|         辞表を出せ!?
             !彡  -- 、 ─── ,─    lミ!
            .F!/\ ̄\三三三/ ̄_, ヘ ',ミ!        ふ、ふざけるな!!
            F!´ `'-ニ、 、__    , -' - '"`'.ハ!
           , -l=!   二二、ノ   L二二_  F/、        紛争の責任とはどういうことだ!!
           | f=E!  ニ‐-゚- 7    f ‐゚--‐ニ |;f_!l
           | |ソ!!  __二ニ,'    .! ニ二__  |kヒl!        こんな暴挙に従えるものか!!
           ヾ 、!;! -___/!     !\_- .!ノノ
             ̄| / __ L_  _!___ \ |''"        この事は本位田君や田辺君、中西君に話した上で
             /!.  / -──────--! .|、
            /::::!.  ヽ二二二ニニニ二ソ  /:ヽ        改めて抗議する
           /:::::::::ヽ、      ─      /:::::::|-、
      _,、-‐ '''"|::::::::::::|  ヽ、        ,  ' .!::::::::::|:::::::`"''- 、  とにかく、即答などできるものか!!
_,,、-‐ '":::::::::::::::::::::|::::::::::::|\  ` ─── '"  /|::::::::::|::::::::::::::::::::::`"'''-

┌─────────────────────────────────────────┐
│ 河合と違い、事前に何の相談もなかった土方にとって辞職勧告はまさに青天の霹靂であった。  │
│ 土方はやる夫の行為を責め、門下の三教授に相談する旨を告げて回答を保留した。        │
└─────────────────────────────────────────┘





494 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:37:53 ID:JY9SH6xk0





┌─────────────────────────────────────┐
│ 河合が検事局の取調べを済ませてやる夫邸を訪れたのは午後9時ごろであった。  ......│
│ やる夫は柔らかい表情で円満な辞職のための最後の説得に当たった。             │
│ やる夫はこの際に、辞職理由として学内紛争の責任や思想の不穏当な表現といった   │
│ 審査委員会の判断を告げた。                                       │
└─────────────────────────────────────┘


         ____
       /      \            河合君、これが最後の機会だお
      / ─    ─ \
    / - (●)─(●) -\         今辞表を出して円満に退官するならば
    |  ::::( ((__人__))):::  |
     \    ` ⌒´    ,/          休職処分という不名誉を君に与えなくて済むんだお
     /⌒ヽ   ー‐    ィヽ
    /      ,⊆ニ_ヽ、  |          やる夫は君を責めたいわけではないんだお
   /    / r─--⊃、  |
   | ヽ,.イ   `二ニニうヽ. |         ただ、学内紛争の責任だけは取ってもらわないといけないんだお





495 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:38:53 ID:JY9SH6xk0





       /::::i::::::::::!::::::::::::\::::::ヽ、::::ヽ::ヽ、:::\:::::::::ヽ.
      /:::l:::::::l:::::::::: ト、:::::::::::::ヽ、:::::::iヽ::::::!:::::i::::、:::ヽ、::::::i         総長……
      /::::: ト、::::ヽ:::::::ヾヽ:::::::::::::::ヽ::::l:::ヽ::::l:::::!:::::i::::::ヽ:::::::l、
      i::l:::::l:::ヽ:::::\:::::::ヾヽ:::::::::::::::!::i::::::::!:::i::::l::::::l::::::::ヽ:::::l!        僕にとって「学内紛争の責任」や
     l::::l::::: ト、:::\::::::ヽ、:::\ヽ、:::::::i::!:::、::::l::::!:::i::::::|、::::::::!::::ト、
     !::::l:::::i:::ヽ:::::ヽ、::::\ヽ::\`ヽ l:i、::::ヽ::!:::i:::l::::::l::!::::::::i::::l`ヽ      「思想の不穏当な表現」は
     l:::::i:ト、ヽ:::\::::、\::::::ヽ、::::ヽ::li、:ヽ::::i:l:::l:::: ト、::!::l、::::::l::::i
      !:::::l::i::ヽ:ヽ、:\:::、:ヽ、:::ヽ::丶、::\ヽi:l:::i:::il::iヽ:l:::!:::::l::::l       濡れ衣以外の何物でもありません
    /!::::i:::l:::::\:ヽ、:ヽ:ヽ:::\::::::ト、:,.‐'"_,.ィ、!l::l:::l:i::l:::!i::: ト、::i::::l
   ノ!l:::::l:::::!::::::卜、:ヽ:::\:ヽ::::ヾ::く_,.r'少'ヽ i!i:l::i::l::i:::il::::i:::!::l:::i       僕はあくまでも思想で戦いたいのです
     !::::i:::::l:::::::::i-‐ヽ::ヾ、ヽ、ヽ:::!゙ヽ´    li !:l::i::l:::l!::::l::::i::l::l
       i::::l::::ヽ:::::ヽ辷エメ、\ ヾ`ヾ、 ゙ヽ   !l::i:::l::::ハ::::i::::l:::i::!      しかし気がかりは、僕の門下の4名の
      l::ハ:::::、:ヽ:\        ヽ     i::!l:::::/r'!::::l:::i::l::i
      リ i:::::\ヽ、ゝ               !l i::::!l |:::li:::l::i::l       教授や助手達です
      ノ  !::::::lヾ.ヽ    、  -       i  !:リ リノ!ハ:::l::i
          l:i::::! i\    `           iノ  ソ i! j-┴-‐‐‐‐--、 彼らには累が及ばないように計らってください……
           l!i::l  !:::|ヽ、   -‐'二 ̄    ,/-‐'´ ̄          `!
           !l   i::i  !\、        ,.イ               l_
             l!  iハ! iノ  ヽ、     ,.ィ | iヘ        _,.-‐‐''´ ̄  ̄=‐‐‐-- 、_
                   `>┬‐''   l i  !      /             ,.-‐'`ヽ、
              r‐‐‐''´ ̄  ヘ    | !  l    / /    /      _,.-'"     `i

┌───────────────────────────────────────────┐
│ やる夫の説得に河合は即答を避けたが、その言葉はいつになく多弁であった。              │
│ 彼は特に自分の門下の4名(山田文雄教授、大河内一男講師、木村健康助手、安井琢磨助手)に   .│
│ 累が及ばぬようにとやる夫に懇願した。                                          │
└───────────────────────────────────────────┘





496 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:39:53 ID:JY9SH6xk0





┌──────────────────────────────────────┐
│ しかし、彼のその言葉とは裏腹に、彼の内心では4名揃って自分に殉じて欲しいという  ....│
│ 願いが激しく渦巻いていた。                                       │
└──────────────────────────────────────┘

::|::::ハ::|:::::i::::|::::|`゙ヾ=、_゙l::::lヽ:\ \::\::::::゙、::::::ヽ:::::|ヽ、::::::ヽ::::;:\:::::::::::::::::::::::::::
:::|:::|:::ト:i:::::l:::|ヾ、ー‐-r二l:::ヽ_\\::::\::\::\::::::ヾ、:l__,,..-\'ニ三 ̄ヽ、:::::::::::::::::
i:::|:::ト::|ヽ::::i:::i::::|ヾ、 弋__ゝ、ヽ`゙‐\:::::\:::\ヽ::::::i'='',二ニ'フ ̄ノ`゙` アi゙:::::::::::::::::::  「自由主義は自分の
::i::|:::|ハ! ヽ::l::|:i:::|ヾ、ヽ、_____\ヽ>;;;;;;;\:::\::::\:::::<´ `¨ー'"__,,. ノ;;;;;|:::::::::::::::::::
 ゙l::::ト::i:::::ト、::i::|:::|     ‐‐‐\\ ;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、::\::ヽ`゙‐‐‐'"  ,,;;;  |::::::::::::::::::   ザインに適応したものではなくて
   |:::ト:::::::l \:i:::l              !;;;;;;, `゙`‐-ゝ         |:::::/|::::!::::
   |::|ヾ:::::i  \:l、             |;;;;;;;;,             l::::/ |:::|i::::   やはり自分の
    i:| ヽ、:i   \、            |;;;;;;;;;,             |::/ |::l |:::
    |!  ヽ:l.    ゙             |;;;;;;;;;;;;;,,,,,          |/   |:! |:::   ゾルレンから沸いているようだ」
     !   ヽ!           ,,,,,ヘ、;;;;;;;;;;r‐';;;;;'''           ,イリ レ'i 
          i、    ヾ、_     ''';;;;;;;;;;;;;;;''''''''     ,イヾ    /
          ヽ     ゙i `゙‐-、.._________,,...-‐''"/      /
           ヽ.    ゙ト‐-、...______,,...-‐,ィ'"    /
             \   ヾ、ー‐------------‐‐ィ'      /
              \   `゙`‐‐───‐‐‐''"´     /
               \    ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,       /
                 \   ''''''''''''''''      /





497 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:40:52 ID:JY9SH6xk0





                            /|      /
                   \― 、 /  レ-――/ 、
        /⌒\    \ _\ V        t.‐-、|    /⌒ヽ            ザイン?
     /⌒ ー'    \ _./ 丶  . -―=―- 、 \>‐く      ー'⌒l
 {ー '        r//ィ/ /! ! | ノハ. | l l\  \l lヽ       ー}      ゾルレン?
  `7         r|l / /  /-┼十i´ l l`i十┼-V  ヽ| | |          く
  レ{    . - 、_,ノl:|  '  , /_Y ○`    ´○ Y_」  |l  /\、__, -、   ヽl      きゃー!!
    l / /   / | | /!:| 人_ _     _ _人 |  /  /  ヽ   レ'⌒レ′
    ゝ{、 {_ o'   } ∨ N , , , /⌒  ⌒\ , , , j/  {,、   'o           なにそれ全然判んない!!
      `¨ /フ  /^ヽ   |:  /        ヽ ´|    / ` =‐- _
    __ -‐= ´    l  ハ  ,'         ', ム、  l         `>、     頭がパニックになっちゃう!!
  /             |_ ノ-ヘ. !  r―vー┐   l/  `¨{_              \
 /       _ >―'    r-」__.ゝ.__ノ__」┐     ` ー<_           ヽ
./       /  ` ー―――|   \___/   |――――一='´ \        /
`ヽ  ー一'       \  \   |    |     /      /     丶ニ  /
   丶--=ニ ._―         ∧ |/-、  ,-ヽ|  ∧           _ ,>'´
          `> 、    / ∧ |、     ,.|/ ヘ     _ > ´
             \ /  ∧!  ̄ ̄ /     \ /





498 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:41:52 ID:JY9SH6xk0





         . <  ̄`ヽ、
       /      ヘ\          ザイン(独・Sein)とは哲学用語で「存在」「かくある姿」、
     /       ∠ ハ_」|
      l       /ィニ.  ニ 〉|          ゾルレン(独・Sollen)は同じく哲学で、「当為」
      |  l   /{ ピ} . .ピ!l |
     v |  l   ノ-l )j          「かくあるべき姿」という意味をそれぞれ持つわ
     } |||     //
     //」人..|、  ̄[ レ|/
    {人ト、|\ \ /}ノ ))
      / \  { TT}Y´
     {   l  { {゚}} |}





499 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:42:52 ID:JY9SH6xk0





           . -――-、 _
          /: : : : : : : : : ; : :`ヽ 
          /: : : : : : : : : : :/: : : : : :',
        ' . : : : : : : : : : /: : : : : : : :       河合の中では思想の是非を賭けて戦う姿が「ゾルレン」であり、
       l: : : : : : : :_: /丶:_: : : : : :|
       |: : : : :/:/    ヽ\: l: |       その奥に隠された思想とは別の党派結束を願い
       l: : : : lィ=、   ィ=、i: : l: |
         、l: : :|{ {ィ゚::|   {ィ゚::| l: : |:/       やる夫を辞任に追い込んで敗北させることが「ザイン」だったの
        |: : :| ー'    ー' j: : |l
        l: : 卜 ' '  n  ' 'ノ: :人__ ,      この「ザイン」と「ゾルレン」の使い分けこそが
      ト-: (\: ni丁 丁i∠/:ヽ:_:_ノ
       ` ー}: V⌒l|\l/ ∠:ノ: : }       河合の戦いの姿であり、そして彼の限界ともなったのよ
           {: : 〉〈ノ {|} ノ: :_ノ
          く_V  | { | }  ̄「 |         それはやる夫のひたむきな意志には到底及ばなかったの
            /  / _{|}_ ノT´
          {___ノ  {|}  {ノ  
          /    {|}  ヽ
          〈    {|}   〉 
         ∧__ノ人ゝ._∧
         |一'  、_l_l_,  'ー|
         |     `|´   |





500 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:43:52 ID:JY9SH6xk0





┌───────────────────────────────────────────┐
│ 翌1月26日、やる夫は辞表提出拒否の通告を相次いで受け取った。                         │
│ ただし、河合が電話で一度きりの意思表明をしたのに対し、土方はいったん会談を申し入れながら .....│
│ 革新派三教授と相談するといって確答を避け、深夜11時にやる夫邸に電話で意思表示するという   │
│ 右往左往振りを見せた。                                                   │
└───────────────────────────────────────────┘


┌────────────────────────────────────────────ー─┐
│        ___________             /                               .│
│       /´  , -‐- 、.           /            /::::i:/:レ:.::l::::::;イ::::::l:: /::l:::l:::l:::::l:|::::::N:l::l:::l:::::::;::::::::l::l:::::/ .│
│.      i  /::::::::::  `''‐ 、..__,. ‐'´ヽ. /            ./:::::イ:::::|::::ll:::/::|::::::i/::イ l:::l:::l::ハlヽ::::l::::N::l:|::::::|:::::::l::l:::/.... │
│.      !  ,'::::::::::    、       ∨            /::::l:,ll,:::l:::l;:::l,!:::::ll;::::l//;イ::ll⊥/l| l::::l::::lヽ:::l::::::|::::::||::://  ...│
│     |  i::::::::::  、 、`''ー---‐''´  ヽ          ::/.,|:l::::/l:l,, ::l::/l::;ハl::::/ .〃汐≦,Hl,, l::l::::l::∨l:::::|l::::l::|//   ..│
│     |. l:::::::: /へ.\` ー---‐ ´/,.ヘ         .|/|:::l:::Й=;Y,〉゛l::l !::l  K..〈:::::_ヲl;,〃 ヽ::l:l::l::ハ:::|:|::::|//    .│
│     │ \:::::::: _\\,   /∠_  |        //|:l゙:::;イi〈::,ゾ  l:l レ   ` ̄ ``.l    ハ;:l:l::l:::ト:::::ト//   ......│
│      |. /"ヽヽ:::==。=`,,   /=。==│       .//::,l:i;:;ll シ'゙    '            / ハll:|:::::ll.:::レ//    ...│
│      | { i⌒| |:::::` ー-‐'    .::.\-‐ ´│      ...//l::ハ , イ                    〉l:::::i.レll://      │
│    /|. l ト、|.|:::::: ー-‐ '   ::::::::::: l::-‐'.|       //∥il゙ ` ヽ、 ヽ                /:::,ll:::::l|://      .│
│  /  | ヽ.._||::r':; -‐‐' r __::::::::::::: l ー、|      //,.l!l:|i                      /  l:|://レ/      ...│
│_/    |   /l!:::/:: ー----------ー'--.|    .  :// Nヽl                          |/ //        │
│.!     .|  ./ ::|::::::::::              |     //   l                         //:       ..│
│|     │./  ::|:::::::::::     =====     |\   ://     l    <ニ二=.、              //         │
│|     |/   ::|:::::::::::::...          ,.イ  .!` // .    i    ´ーー‐‐ '              //:         . │
│|     |\   :`'' ‐- 、::_:.......   ,. ‐'´/|  │.//      l                       ,イ//:         ...│
│|    │ \   ::::::::::::::::::`~`''"::::::::/ .|    |//.      l                   / //          ...│
└───────────────────────────────────────────ー──┘





501 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:44:52 ID:JY9SH6xk0





     /.: ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \         三__|__
    /: : :             \        口 |
  /: : : :              \                     まあ、二人のこの動きは
/: : : : : :                 \       ‐┬‐
: : : : : : : :.._        _      \  │__田__│          想定の範囲だお
: : : : : : : ´⌒\,, ;、、、/⌒`        l
: ──;;( ● ):::──::( ● );;:── |  、 マ             かねてから用意してあった
: : : : : : ´"''",       "''"´       l   了 用
: : : : : ((. . (    j    ) ))    /   '"`ー‐           最後の手を打つだけだお!!
\: : : : : : :.`ー-‐'´`ー-‐'′    /
/ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : イ\      レ |
: : : : : : : : : :.``ー- -‐'"´        \      ノ
: : : : . : : . : : .                   \





502 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:45:52 ID:JY9SH6xk0





┌──────────────────────┐
│  1月27日  東京駅 「ステーション・ホテル」    .│
└──────────────────────┘

                             _,,.
                               ‐ 二   l
                              ̄ ll
                                ll
                                ┌┐
                _「_l_  i┐ .         l二二l           _「_l_  i┐
                 ,、 ― 、「`'l‐「l、      l ロ l  「 l┐    .,、 ― 、「`l- _
               ,r''   _.   `ヽ`r--‐---‐---‐---‐-,r''   _.   `ヽ ⊥_
                l'  イロヽ   l l rヽ rヽ rヽ rヽ rヽ rヽ rヽl'  イロヽ   l  l ヽ
            く================================,>、_l_l
         _    l~ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l!゙~ ̄ ̄ ̄^゙ ̄ ̄ ̄ ̄ ゙̄ ̄~ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~!`'‐ニl
       ┌‐i'''‐┐  |,llエll llエll llエll l!llエll llエll llエlli illエlli llエll llエll llエll| llエll llエll llエll,|┌‐i‐┐_
_,,__,,-''´ ̄ ̄ヽ `''‐ 、|.llエll llエll llエll l!llエll llエll llエlli illエlli llエll llエll llエll| llエll llエll ll ,,-''´ ̄ ̄\ 、_,,_,_
 ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄~| ̄ ̄l!l ̄l.ィ-、l ̄l l!l ̄l l ̄l l ̄liィ全.、 l ̄l l ̄l l ̄l| l ̄l.ィ-、l | ̄ ̄ ̄ ̄~|li| ̄ ̄ ̄
 「_l ,!「_l 「_l 「_l|「l「l「ll!llエll llエll llエll l!llエll llエll llエlli.l!;;;;;il llエll llエll llエll| llエll llエll l |「_l 「_l 「_l,|il| 「_l 「_l
―ー‐!======== |====l!llエll llエll llエll l!llエll llエll llエlli.l!;;;;;il llエll llエll llエll| llエll llエll l |=========!.l|――ー‐
 「_l ,!「_l 「_l 「_l|「l「l「ll!l二l_l二l_l二l l!l二l_l二l_l二liィ= =、.l二l_l二l_l二l| l二l_l二l_l_|「_l 「_l 「_l,|li| 「_l 「_l
   l       |    l!rー、rー、 rー、l!rー、rー、rー、.|rー、|l,rー、rー、rー、| rー、rー、 r.|       |l;ィヘ.
 「_l ,!「_l 「_l 「_l|「l「l「ll!l;;;;;l l;;;;;l l;;;ィ'ヘ.!;;;;l l;;;;;l l;;;;;|.|l;;;;;l|l,l;;;;;l l;;;;;l l;;;;;l| l;;;;;l l;;;;;l l,ィヘ.l .「_l,ィヘ_l,|<;;.ミス ,「_l
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄「「 ̄ ̄ ̄ ̄ <,;;ミス ̄ ̄ ̄ ̄/三三'i ̄ ̄ィ ‐、 ̄r´;;ヽ ̄ ̄,<;,;ミス ̄<;;.ミス ̄ll!´ ̄ ̄
――r´;;ヘ ‐、´;;`r´;;ヽ'―‐ ""ィ‐、―,li!´―r´;;ヽ―'―r´;;ヽ' ~;;ヽ ;;;;ミl‐'  '''''`――ーli!´――li!´―――



           Station.jpg





503 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:46:52 ID:JY9SH6xk0





┌─────────┐
│  午後5時15分  ....│
└─────────┘


           ,ノ        ,,   -‐
         /     _  -‐        /. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \          マスコミを避けるためにこんなところに
      ,/    ,  '´           ./:               \
     /   ,/             /: :                \       呼び出して申し訳ありませんお、次官
    /  /             ./: : : :                   \
    /  /.       __     ./: : : : : : .._         _      \     かねてからの提案どおり、
    l  ノ.       / .ヽ   l ; : : : : : :´⌒\,, ;、、、/⌒`         l
   / /        l.   ',   |: : ──;;( ● ):::──::( ● );;:── |     文官分限令第十一条第一項第四号
  ./ /     .,-‐、 l _ _ }   .l: : : : : : ´"''",       "''"´        l
  ; /     ∠,,,,,.」 -‐、  !   \ : : :((. . (    j    ) ))    ,<´     「官庁事務ノ都合ニ依り必要ナルトキ」
   !;_,, -‐''"", .-‐'⌒ヽT  l     \ : : : : :`ー-‐'´`ー-‐'′     /:::ヽ-‐'
   ゞ-‐''"/   __ノ l   !     ./ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :,イ:::::::::::ヽ:::   を適用して河合・土方両教授の
     γ   / !      ',   /::::::::::`\: ``ー- -‐'"´   / /::::::::::::::::\
     ヽ   ´L_⊥ -―---' -<::::::::::::::::::::::ハ:\ : : :   _//´ ,'::::::::::::_::-‐:、  休職処分を上申いたします
      l       i      ,)::::::::::::::::λ `‐-、_∠     l:::::::/::::::::::::
      ゝ   , -― ' ´ ̄ ̄  ̄ヽ:::::::::::::::/.ヽ   /:.:.:.:.λ   ィ::::::/:::::::::::::::::   これは正式な上申書と書類一式です
       ノl         _ ,イ:\:::::::::/! ヽ  .∧:.:.:./ ヽ ./ l:::/::::::::::::::::::::
     /:::::!l、  _ -‐' ´ !:::::::::::::::::ヽ:::,' !  \! ..〉‐〈   ∨/l:::ヽ:::::::::::::::::::   お受け取りください
     /::::::l l \.´  !    j::::::::::::::::::::l:::l  ',    /:.:.:.',    / !::::::\::::::::::::::
    /::::::::! l        ノ:::::::::::::::::::::::l:l.  ',   ./:.:.:.:.:.',  /  λ:::::::::>:::::::::





504 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:47:51 ID:JY9SH6xk0





          /               ミ!   `、
        /                 !:::'   ゙i
        ,r'              ,r'ニ:、.ソ::     |        判りました、
       ,r'             /   ヒニミ!     |
      i゙            ノ /       |!     |        確かにお受け取りいたします
       |     ;'    _,ィ',久'′      |     |
       ヽ   |   / `'ユエー``''  ,:=─--:」     |        残りの事務作業は総て
     `=',.   !  (        '゙ `せ‐- ゙i     |
     ,r''",、-   `=t`-       、   ̄ ./!  , ,/        お任せください
    i ,r'゙    /  ゙:、       、ァ'     /'ツ_ノ-'゙
  _,,..Y  ,   i゙   リ 、    ャー-、   ∠ゝ  {
 ̄__ゝ、!   {  , ,ノ! \  `ー'"  /.:::.  ヽゝ
 ̄::::::::::::::/,ヘヽ、゙:、レ" ゙:、  `-、_,,.ィ'";:::::::::   ゙i_
::::::::::::::::://.:::::::.゙ヾ、|   ゙':、     / /.::::    l 人`''-、,_
::::::::::::::://.::::::::_ノ,、ノ!   :::::\_,、-'レ'/ ,   _ノ'゙::...`''-、, 「`''ー
::::::::::::://.::::::_'"_ \  ::::/::`、 `i  l_、-'゙ヾ::::::::::::::::::.. ̄「

┌────────────────────────────┐
│ こうして遂に、河合・土方両教授の処分は決定したのである。   │
└────────────────────────────┘





505 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:48:51 ID:JY9SH6xk0





            /           . イ   ヽ
             /:         /   l     ',       この時のやる夫の行動は
           ,:.:        /      ヽ:.    l
            l:.:      ィ'ニ¬'   `ニ¬!  |      問題であったと後々非難する人もいるわ
            |:.:.     ハf゚r}`  { イf゚r}l:   |
           l:.:.:.     :l`冖'     `冖' |:.  |       教授の進退は教授会で決めるのが
           {:.:.:.   .:l        〈     |:.  /
                {:.:.:.l:.:  .:l          /.:  '        大学自治の慣例だったけれど、やる夫は
            i:.:.:|:.:. .:|    ⌒_^  .::l:. /
                }:.:ハ/\:|> .     /.:/!: /         経済学部教授会が正常に機能し得ないと断定して
          \ー'.:/.:   ト  ` ーrく.:.:|/: |/
          _,. イ.:.:     { \   lハ.:.:.  \        あえて総長の判断だけで具状したのよ
       ,∠、  /.:.:.:   、:\ \ / /.:.:ノ:.   ヽ
        /   \{:.:.:.{:.   :.:{ー-ゝ x ノ -イ.:.:.  } }      それゆえにやる夫は大学自治を踏みにじったとの
        /       ゝ:.:\:.  :.\_,//\ ノ.:.:.  ノ人
     ,        `T ` ー---く / / ∠.:.:__,彡'  \     批判を受けることになるの
     |     / ̄`\     }ー‐{       |   l
     /   / / ̄ ̄ヾ     / / ∧      {   |





506 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:49:53 ID:JY9SH6xk0





 〉           _」 _{              \ _く^丶:_:_:_:_:ノ-‐    ̄ }
/ / : : : :    r'/ ヘ       ト、 --、     V《  ̄     /     /
V  :/: : : : : : : {/   l  ト、   :l/`>\ |  :|:|ヾ ____/     /    でも、このやり方って
 丶{/⌒ヽ:_:_:ノ{  ヽ: :|-\   :ヽ 个j㌦V : :|:| |l    /     /
    .  ´   .   :ト|ィh㍉ー-=ゝ 代.}}ハ : :/v |l     /     /     艦船設計をしていた頃と変わらないね
  r'´      人 : :V{ 代.}}      ゞ'  j/ ノ ♀  /     /
  ヽ    -‐< |l`\:\ ゞ' ノ   __ ,   rイ     /     /       これと決めた設計案を是が非でも
    \     ♀、 ` T   rァ'´  l   ↑     /       /
     \    {〉 \  \  丶- '   / {  /       /        押し通したやる夫さんそのままだよ
       丶       丶、 ` ー-、 _/   }ァイ         '
         \       ̄l「`7ァ}    ///         /         つくづく艦船設計も大学経営も
          \      l| //\  ノl l |    /   /
                丶  j  lレ/     ノ  |  |  {          やる夫さんにとっては同じものなんだなと思うよ





507 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:50:51 ID:JY9SH6xk0





              /             ヽ
             /               , ヘ
              /              /{  l
                l   l          /  l  |         そうね、全くその通りね
                |   |         ,. <      l  |
                | |   :|     /__    ー、:' /
        ,、__ノ .'   :|: /  / `冖’  、 __,./ /
        >  /   ;j/|  :/      {`冖/ /           ……さて、今回の話はここまでにします
       /  _/   /  ! :/  ,、    / /
      / . :/ /   { \|/ \   ̄ イ: : /            次回は遂に決定した「平賀粛学」と
      l:/   /    \  V ノ`T´: vj/|:/
      /    l    、_ `フ T、_ノ : : V j'              それに抵抗する河合・土方両教授を描きます
    /     八 \  \T´l ! ]`フ : :}:}
    /      } ` ー\_ フlo| [く _:_:ノ                それでは、次回もよろしくお付き合いください
   \     /      ] |: | _| | |
    / \_,ノ       |  |: | l |イ





508 :名無しSS描き ◆YH9/Upkk/2:2012/10/16(火) 22:51:51 ID:JY9SH6xk0





           レ ⌒l: : : : : : : : r宀┐
               丶---- くヘ. _」L  _-―-、
                    /´   /⌒ヽ  \
                     //  / /l      ヽ               まさに往年の
                / | /l/-、|  /   \ h_ /⌒ヽ
            , -―/、  /|/ ⌒ヽ l :/\ |  V}ー}     l       やる夫さんが帰ってきた感じだね!!
           /   / 、}   V      ヽ| -、V   |ノー}        ̄`ヽ
          /    _ヽ〉   !  ,、_ '  ⌒ヽ l/  /l  |: :       |
         /  _/二´   八  {/ `ァ   / //   {: : : : : :     l ゝ
        /  //    \_ / ヽ ー'   ∠ァ≠´/      ̄`ヽ: : : l |
.     /    / ´      |l/    ーァ… ´    /        レ}: ノ'     それじゃあ、次回もよろしく!!
   /    /          //ヽ   /       /           j/
  '     /   ∠ __/く  l イ
 /    /  /  ̄ ̄ ̄ \\  T\                         みんな、幸せゲットだよ!!
 {      イ         \\l| /∧



第18話  興亡をになって  終わり

第19話  粛学断行  へ続きます






◎第18話「興亡をになって」


平賀やる夫                東京帝国大学総長:やる夫(AA)


荒木貞夫              文部大臣:シャア・アズナブル(逆襲のシャア)


河合栄治郎             東京帝大経済学部教授:夜神 月(DEATH NOTE)


田中耕太郎             東京帝大法学部長:後藤喜一(機動警察パトレイバー)


土方成美              東京帝大経済学部教授:利根川幸雄(賭博黙示録カイジ)

舞出長五郎             東京帝大経済学部長:井之頭五郎(孤独のグルメ)
佐藤寛次              東京帝大農学部長:亀仙人(ドラゴンボール)
丹羽重光              東京帝大工学部長:榊清太郎(機動警察パトレイバー)
山田文雄              東京帝大経済学部教授:魅上 照(DEATH NOTE)
那須皓                東京帝大農学部教授:火口卿介(DEATH NOTE)

田路坦(回想)           ロック(Black Lagoon)
藤本喜久雄(回想).        .できる夫(AA)

上田宗重              艦政本部長:佐天涙子(とある魔術の禁書目録)
石黒忠彦              文部次官:ナナイ・ミゲル(逆襲のシャア)


平賀カズ                やる夫の妻:真紅(ローゼンメイデン)

平賀謙一              やる夫の長男:やらないのか夫(AA)
平賀重孝              やる夫の次男:衛宮士郎(Fate/stay night)

近衛文麿              総理大臣:菅 直人(実在人物)


米内光政              海軍大臣:御坂妹(とある魔術の禁書目録)


山本五十六             海軍次官:上条当麻(とある魔術の禁書目録)


昭和天皇              皇神楽耶(コードギアス)






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[ 2017/01/26 12:17 ] [ 編集 ]

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