Ｖ　＼





27 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 20:58:09.63 ID:dbWtR6.o






　　　　　　　　　　　　　　 　 ,．-―ｧ''"~￣~`ゞ‐- ､__....,,,_
　　　　　　　　　　　　　　　/　　／　,　　　　　　　　 `丶、ヽ
　　　　　　　　 　 　 　 　 /　　'　 ／　 　 -‐-ｨ　　　　　 ヽ }
　　　　　　　　　　　　　　ﾘ 　 ,　/　/´i　 ,∠´|　 .八‐､ .i　 }
　　　　　　　　　　　　 ／　　 {　! ./　人/　iﾉ八ノ ｒh　　| .}!
　　　　　　　　　　　∠ ｣　　　`､V癶'ﾞ-{!　 し'　　 { ﾉ|〉ノ 八　　この城には蓄えが無かったわけじゃない
　　　　　　　 　 　 　 　 |　　　　 入　　　　　__ ､　`ﾞ,ｲ～'´　＼
　　　　　　　 　 　 　 　 |　　　 ノ｀＼i、　 　 ゝノ　ノ!　　　 .厂´
　　　　　　　　　　　　　 |　　 /　　　 | `丶､ __,　'ﾞ　.|　 .,ｲノ　　董安于さまは、城の倉庫には貯めずに、
　　　　　　　　　　　　　 ゞり´　　　_,ﾉ　　　　l、_　　ゝノ　　　　人々の心に蓄えをなさっていたんです
　　　　　　　　　　　　　　　　　,∠幵　　　　　{幵ﾌﾞ⌒ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　/ィ∬}`ー一''''´ {∬}　　 　 ',
　 　 　 ｢}　　　　　　　　　　 l　l∬}|＝＝===｛∬}　〃 　
　　　　,Ｕヘ、　　　　　　 　 ｊ .ﾉ　　　　　 　 　 　 Ｖ 　　　l
　　　　ﾄ厶ｨ ＼　　　　　　 / .|　　　　　　 　 　 　 |　　　　!
　　　　 ゞニ>　 ＼_＿　　/　 |　　　　nh二二フ､_.|　　　　ｌ
　 ,．---| ﾄ-､　　　｀''}⌒`ヽ.__|＿　 　 ＼ゝ`ー'　 ＼_ 　　 !
　 ゞY´ﾆ|.」二二二二二r'└＝デ'　　　　`ー─､　　| `ー､.!
　　`|　　　　　　　　　　　　　 　 |　 ＿,　　　　　 ﾄ、 !　　　 ｌ
　　｜　　　　　　　　　　　　　　 |￣　　　`ー-　 ゝV　　　　|
　　｜　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　`ーｒ-､__ノ
_____ !　　　　　　　 　 　 　 　 　 |_＿＿＿＿＿＿__}__}＿＿
　 　 ＼　　　　　　　　　　　　 ノ
　　　　 尨ｗWｗWｗWｗWｗ彡






毋?が来た時、晋陽の国庫は空っぽだったが、
市民の協力により、政庁には兵糧がうずたかく積まれた。





28 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 21:02:33.42 ID:dbWtR6.o






　　　　　　　　　　　　　　　　　 _.v
　　　　　　　　　　　　　　　　／/
　　　　　　　　　　　　　　.／　　-､
　　　　　　　　　　　　　.｡g)　　　ﾟ.＼
　　　　　　　　　　　　　/ ＼￣∨￣)
　　　　　　　　　　　　/　　　/⌒ヽ￣ヽ　　　
　　　　　　　　　　　 .l　　　(,,,,,,,,,,　　ヽ　　董安于さまに住む場所と仕事を貰わなかったら
　　　　　　　　　　　.l　　　　イノ　ヽ　丿
　　　　　　ヽl.　　　 l　　　　＼＼　　　　　俺は今でも山族暮らし、お国に討伐されて死んでたかも知れねえ
　　　　　　/＾_　　 .lヽ___　　 　＼ノ
　　　　　　.l　 ＼　]ゝ__　　　　　t'　　　　　この国がピンチだっていうなら、俺も戦うぜ
　　　　　丿＼　 ]　　　　　　/　　[
　　　　/　　＼　]　　　　ヾヾヾ　l　l、
　　　　ヽ　　　 r」　　　　ゞゞゞ　　　ヽ.
　　　　/　＼　　/　　　　ゞゞゞゞゞゞ　　ヽ
　　　/　　　　g]゜ 　　____　　ゞゞゞゞゞ　　　＼
　　/-,,、　　g「　　　]　　＼ゞゞゞゞゞゞゞゞ　　ヽ
　　　/　ヽ　ﾟlr　　.　　l／　　　ゞゞゞゞゞゞ　　　 .ヽ






晋陽防衛の義勇軍はすぐさま万を超えた。

士気旺盛な兵は揃い、武装、兵糧は潤沢・・・
趙毋?はここに来て父・趙鞅の言葉の真意を悟った。






　　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿
　　　　　　　　　　 ,,-‐'":::::::::::::::::｀ﾞヽ、
.　　　　　　　　 ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
.　　　　 　 　 /:::::::::::::::::::::::(・・)::::::::::::::::::ヽ
　　　　　 　 /:ｌヽ―-..、＿__"＿ 　.＿＿_,ﾍ
　　　　　　/::/ｌ　 i＼　　　　　　 ￣ｷ＞'"ｌ:::!
　 　　 　 /::::ハ、ヽ_.,ゝ、,ﾉ !、,,..＜´ ノ　.ﾊ:::ｌ　　　　なるほどな・・・
.　　　　 /:::::ﾍ　 ヽ、_,,.／　　 ＼　.￣ ／ /::::ｌ
.　　　　 ｌ::::::::::ヽ　　　　　　　　　｀￣´ｷ /:::::::ｌ　　　　国庫ではなく、城壁ではなく、堀ではなく、
　　 　　 ＼:::::::::＼　　　　 ＿　　　 　／::::::::ﾉ　　　　最終的には人間なんだな
　　　　　　 ｀ヽ―'｀ヽ ＜ﾆ＿ﾆ-=-‐' 、::::／
　　　　　　　　　　　　/,,/ ,,-〈_　 ,〉 　 ￣
　　　　　　　　　　　 i'ヽ-'"￣｀ﾞＹ l
　　　　　　　　　　　 ゝ-‐＜>ﾆﾆ_ﾉ






この言外に隠された遺訓は、日本では武田信玄、明治天皇に大きな影響を与えた。


晋陽の市民は、連合軍相手に一歩も引かず、一年の間、抵抗を続けたという。





29 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 21:11:01.30 ID:dbWtR6.o






　　　　　　／　　　　　　　　　　 ヽ　　　ヽ　 ヽ　　　　∨　　>　/　　/
　　 　　 , ' 　　　　 l　　　/`´ヽ 　 :ヽ 　　'l::　 ヽ 　　　 V　/　/　　/
　 　 　 .'　　　 　　 l　, 　! 　 　 l 　 ::! 　 　!:::　　!　 　 　 V／:: 　 /
　　　 / 　 　 　 　 .l　:li　l 　　 　l　 ::l 　 　 ﾊ: 　 !　　 :l　 l:::::::　 /
　　　,' 　　　 ,　　　| :::|　! 　　 　|　:::ﾊ　 /| | l 　 ! 　　:! 　!ー-<
　 　 '　　　　 l 　　 | :::|　! 　　　 |　/ l,. +‐l:Ｔ'|升' 　 　:l　 !ヽ,./
　　 i'　 |　　.::| 　 　 　:ﾄ | 　 　　| ,'　7 /　j/__| ﾘ　　　::! :::| ./　　　無駄な抵抗を・・・
　　 i:　 |　　:::| 　_ ,..l -l‐|ヽ　 　 j/　 j/ ｨ'_:::ヽj/　　　:::!:::,:i/
　　 l　 ﾊ　::::::l i´ l　lﾊj!_.._　　　　 　　　 iﾍ-7 l 　　:::::://V　　　　晋の諸侯たち、アレをやりますよ。
　　 V' |　　:::ﾊﾄ　 l f!´7っ:ヽ　　　　 　　 ｀ ´･,i　.:::::::/::l /
　　　 l ﾄ ヽ　lハ ゝ!　　ゝ.フ　 　　　　　　　　'　 .:::/::ハ!　　　　　　晋水、汾水に囲まれた土地・・・
　　　　　　 乂!　　 ハ　 　　 　　　i 　 　 　 /ｲ :::/l/' /　　　　　　　フフフ・・・おあつらえ向きだわ
　　　　　　　　|　　 トｰ ､ 　　　　　 `.__ｧ　/ 　!:::/　V
　　　　　　　　|　::!::|　　ﾉlゝ.,_ 　 　 　　　 　／!/　　 !ー-､
　　　　　　　　l　::|ヽ 　　｀　｀　｀＞ ｰ‐_- '　　!　　　 ゝ!::::::＼_
　　　　　　　　ヽ :!　　　　　　 /　/:::: ハ　 　　　　　 /:::::::::::::::::::::＞ ､_
　　　　　　　　　 ヾ 　 　　　__'　/l ／:/　!　　　　　 /::::::::::::::::::／ ／::／ヽ
　　　　　　　　　　　　　　ｲ:|/ /::::/:::/ー ､ 　 - ─/::::::::::::: ／ ／::／ 　 　'.,
　　　　　　　　　　　　　/ |:/ /::::::::::/‐ ´￣ ｀ヽ -/::::::::::::／ ／::／　 　　　 l
　　　　　　　　　　　 　/　V /:::::::::::|　　　　　　 /::::::::::::/　/::::::/　　　　　　 l






が、智伯は、晋陽の難攻不落を悟り、晋水の流れを変えて・・・






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　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　´ﾞ｀ﾞ⌒ゞ;iill|||lli|llii:;ﾞ|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_ﾞι´ﾟﾞ´｀ﾞ






ここに恐るべき地形戦術が復活した。
かつて、幽王が殺された混乱の時代、周王朝の文化の全てを洗い流した最終戦術。

『水攻め』である・・・





30 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 21:13:34.04 ID:dbWtR6.o







城内は水浸しとなり、疫病が蔓延した。

地面が水浸しのため、釜を吊るして煮炊きをし、
骨を裂いて薪とし、我が子を他人の子と変えて食らうまでになったという。

毋?の家臣は裏切りを考慮し始め、皆が主君に対する敬意を忘れた。
が、それでも、市民は降伏を口にしなかった。






　　　　 　 　 　 _,, ｰ'''"゛ .｀ﾞ'''ｰ..、
　　　　　　　／　　　　　　　　　　＼
　　 　 　 ／　　　　　（.∞.） .　　　　 ＼
　　　　 /　　　　 　 　 .!-!　　　　　　　 .ｌ,
　　　 ノ!]ﾞ'二,ﾞ'''''''''''''''''''''¨''^^ｔ,'''''',''/广l│
　　　/ .!.! .{.　｀''ｰi,,,　　　　 .,,,ﾉ'"　 / .|.!.l
　　　!　l .＼ﾞ'一''゛ 丿　　 .'冫ﾞ''―''ﾞ,／.l .ｌ　　　　もう限界だな
　　 l　　!　 .｀'''''''ﾞ″　　　　 .｀''ｰｔ″　 !　.!
　　l　　　ｌ　　　　　 　 　 　 　 　 ..ｔ.　./ 　 .!　　　張孟談、どんな条件を飲んでも良い
　　l　　　 ヽ　　　　　_......,,, 　 　 　.ｔ/　　 .|　　　連合軍の一角のいずれかと単独講和を結ぼう
　　ﾐ.　　　　ﾞ''y-‐''"｀'―'''''~''―;;r"　　　 /
　 　 ｀''￢ｰ'"　 ﾞﾌ'ｯ----ｯ―''!ヾ`ｰ..... ／　　　　我々の恐ろしさとしぶとさは奴らも骨身に染みているはずだ
　　　　　　　　 / /..　／＼／ ヽ＼ﾞ　　　　　　　　今なら説得に応じるかも知れん
　　　 　 　 　 / ./..／.＼／　　　ヽ＼!
　　　　　　　/ ./゛　 ﾞ／　　　　　　ヽヾ






張孟談は夜間、たった一人で晋陽を抜け出し、韓氏の陣に忍び込んだ。





31 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 21:16:00.29 ID:dbWtR6.o






韓氏は、かつて趙氏を救った英雄、韓厥将軍を輩出した家柄である。






　　　　　　　　　　　　　　　　　_＿ _
　　　　　　　　　　,. -－-､／´ .:.:.:.:.:.｀＞‐- ､　　　　　
　　 　 　 　 　 ／.:.:.:.:.:_.　-‐　.:.:.:.:.:.:.:￣.:.:.:.:.:.:＼　＿　　　　　
　 　 　 　 　 /.:.:..:.:.／ 　 　 　.:. .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.´.:.:.:.｀ヽ.　
　　　　　　　l ..:.:.::/.:.:.:／ 　. . .;l. . . . . . . . .:.:.:＼:.:.:.:.:.:.:.:.: l　
　　　 　 　 │.:.:./.:.::/.:.:.:､/.:.:/ |.:.:.:ﾄ､.:.::.:.:.:.:.:.:.､.:ヽ.:...:.:.:.:│
　　　　　　　l　.:.l.:.:,ｲ.:.:.:.:.l＼,′|.:.:.:| ヽ.:.:.:ヽ_,.:.:.l.:.:l:.:.:　: . | 　　　　このまま、晋陽を落とし、趙氏を滅ぼせば、
　 　 　 　 　 〉.:.:ﾚ.:.:|:.:.:.:/!'´,.ゝ､ヽｰｌ-;=＜.:.l.:.:.:.l.:.:|.:.:.:.、 ﾉ　　　　　一時的には、あなた方の領地は増えると思いますが
　　　 　 　 / :,:.:.:';.:.:ヽ:ｲ_{　lﾉ|　　ヽj /ﾊ　Vﾍ.:.:j.:./.:.:.:.:.:.:ﾍ　 　　　水浸しの荒地と、怨嗟を腹に持つ領民を手に入れて
　　　　 　 l.:.:.:l:.:.:∧:八:l 丶.り　　　　!り　ﾉ、∨Vi::.:.:.;.:.:.i.:.|　　　　なんとなさいますか？
　 　 　 　 l.:.:∧.:.ｌ::.:l::.::.:l. ' ' 　 '　　　 ´, ,u r__,ノ:::i:.:;.'.:l:. l:.:|
　　　　　　∨　＼ヽl::.::ﾉ'＼ 　｢'￣ ヽ　　 人:::､::.::ｌ/::.::i::;ﾊﾉ　　　　さらに、智伯の欲望は強く、いずれあなた方貴族のうち、
　　　　　　　　　　ソ-－- ､lヽヽ＿ノ_,　'　　 ∨ヽﾊ:.::.:l/　　　　　　己の脅威になってくる方を潰しにかかるに決まっています
　　　 　 　 　 　 /　　　　　ヽ. ｀￣´/　　　　 ｀/７^ヽく
　　　　　　　　　l　　　　　 　 ﾄ､ 　　ヽ､.＿　r〈. l　/ / ,〉__　　　　ここは逆に智伯を討ち、晋陽の民と、趙氏に恩を売られてはいかがですか。
　　　　　　　 　 |　　　　 　 　 l､｀　　　l::i.　｀V{.ﾉノ ⌒丶、ヽ
　　　　　　　　　l ヽ、　　 　 　 l:ヽ､＿ﾉ:::ヽ./ 　 　 /､＿,. ｉ　',
　　 　 　 　 　 　|　 ヽ　　　　　 ';::::::::::::::::::/ 　 　 /⊆ニ(ﾉl 　〉
　　　　　　 　 　 l　　 ヽ　　　 　 ヽ:::::::::::/　　　 /ヽ､＿__ノ／
　　　　　　　　　 ヽ:::::::'入　　　　　ヽ::::/　　　 ∧　ト-- イ







　　　　　　　　　 ＞ -:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ /:.:.:|
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　　　　 　　 r‐':.´:.:.:.:.:.:.:.:.::./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:|:::ヾ:.:.／::|:.:.:.:.:.:.:／
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　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´＼-;/￣ V￣ | |ｲ≧ミ=､/ 　 |:.:.:/:.:.:<´ヾ|
　 ｀ '' 'ー -ァ:.:.:/:::r::j::./:::::::.　　　 | | 辷り｀ |}_　r-Vｿ:.:∧}
　　　　　 ／:.:.:.:ヽ::::::::::i:::::::::::　　　 ヽ廴_　 <ﾃ=/rァヾ:∧:.|　　　　ふむ・・・確かに、智伯の野心は、晋国の独裁権を握る事・・・
　　　　　 フ/:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::　　　　　￣ヾ=ﾉ　 <-ﾝ /:| .V
　　　　　　´''- ､:.:.:.:./::::::::::::::::　　　　　　　　　　/=テヾ|　　　　　　その先は、晋公就任、最後は周王位簒奪か。
　　　　　　　　　 ヾ/:::::::＼::::::..　　　　　ー -　 　 /
　　　　　　　 　 　/:::::::::::::::::::::::::...　　　　 -　　.／
　　　　　　／＼./::::::::::::::::::::::＼:::::::::...　　 　／
　　　　 ／　　　∧:::::::::::::::　　 /｀ 'ー - ' ´
　　　ノ |　　　　　 }ヽ::::　　 　/_
￣￣　 .|　　　　　　 ＼　　　{　ヽ
　　　　 .|　　　　　　/　｀ ー='´　 ＼







智伯(荀瑶)が趙氏に無理難題を押し付けたのは、火を見るより明らかである。





32 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 21:19:04.24 ID:dbWtR6.o






また、韓と魏は、智伯が水攻めという非常手段に訴えたことを恐れていた。

川の流れを変えてまで、人の済む城を水攻めすれば、
ものの半月の内に、田地は、川底のように土を流され、土砂交じりの荒地になってしまう。

こうなると、たとえ水が引いても住民は死ぬか武装難民となるかのどちらかである。







　　　　　　　　　　 　 ＞'´　／　　 ∧　 　 ｜　　　　i|　ヽ.　 　 　 ＼
　　　　　　 　　　　／ 　 ／ 　 　 /::::ヽ　_,斗:.:.:.: : 　 |　　 !　　:...　　 ＼
　　　　　　 　　 　 〉 　 　　　　::ー‐^´¨　|:.: : !:.:..　ﾄ､　 |　　 :.:.:...　: :..｀ー-､
　 　 　 　 　 　 　 |　　　| 　ｉｌ　　::|　　 　 　 ! ::∧:. :. 　,=‐ｉ　　　:.:.:.:.:...:.:.:..:.:.／　わかった。
　　 　 　 　 　 　 /　.:.:.:.:|　 i| 　 ::| 　 　　　 | / ,ｨ|,.イ´__ ∧　 ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　　智伯より趙毋?の方が遥かに信用できる
　　　　　　　　　/ :::／イl|　 ｌ|　 ::|=､＞ｰ=､ ｉ′|:rレ弍¨ヽ ﾄ :.:.:.:.:.:.:.:.:.／
　　　　　　　　./::／　 /　　　|　　|´戈¨Ｔ |ﾄ==､||　弋__ソ‐|/.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼　　　　我らとて水攻めは本意ではなかった
　　　　　　　　ﾚ'゜ 　 /　／　 iヾヽ! 辷_ソ｣|　　 ヽ=＝＝=='　ﾏヽ.:.:r-‐'´
　ｒr‐、 　 　 　 　 　 レ'　ﾚ'〉　! ヾﾆ==＝ ′〈　　　　 　 　 　 'ノ::;;;>　　　　　　　韓は河を塞き止めているダムを崩す
　ﾄ'　| 　 　 　 　 　 　 　 　 ￣ヾﾇ、　　　　　 ｀　　　　　　　,/‐'´
　| 　|　　　　　　　　　　　 　 　 ￣ヽ　　 　 　 ー‐　　　 　 /　　　　　　　　　　　　水が引いたら打って出られよ
..ﾉ 　l'⌒!　　　　　　　　　　　　　 　 ＼　　 　 　 　 　 _, ィ´
´　ノ^ヽ '､　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｀¨ﾆt-　　-‐'　ﾄ-┐
　　／｀ヽ.ヽ、　　　　　　　　　　＿　 　/´iイ　　　　　 |/　ヽ―-- ､__
　　 ‐'´｀ヽ. ｉ､　　　　　 　 　 ／i　 ゞ7″ | ′　　 　／　 　 |　　　 　｀ヽ、
＼ 　　イ-' 　ヽ　　　　 　 ／　 i　　/　,ﾍ |＿___,_／ |―､　 |　　　　/　　ヽ.
　 ヽ.　 ″　 　 ｌ　　 　 ／-‐'´ | .//／　ヽﾄ-―/ニ,ﾉ　　＼| 　 　 /　　 ＼'､
　　　＼　 　 　 l.　,.-‐' 　 　 :　ﾚ' ′　　く !　 //　　　　　　　 　 / 　 　 　 ヾ、
　 　 　 |　　　　.ﾄ''　　　　　　! .|　r―┐　 | ,//　　　　　　:. ｌ　 /　　　　　　　｀ヽ、






魏は韓の裏切りを聞いて、乗り遅れまいと協力を申し出てきた。





　　　　　 　 　 　 ,.--､ __＿_
.　　　　　　 　 ／::::／´,.-‐'´￣￣　｀ ‐- 、
　　　　 　 　 /.:.:::/:. ／:.:{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::ヽ、
　　　　　　 ,ﾉ: : .:{／.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,_;.:.:.:.:.:＼:.:.ヽ
　　　　　　/::. :.::/::i:.:.::::ｉ:.:.:::.:.{:.:..:.:.:.l⌒!:､ .:.:.:.}:.:.::}
　　　　 　 !:.: .::::i.:.::!:.:.:::|::::i:::::ヽ;:::ﾄ､!　 l:ﾊ_l_:.:ｌ:::ﾄl
　 　 　 　 |::;i:::::l{.:.::ヽ::::ヽ;ヾ_;:‐i‐| l{. 　l} ﾉﾉ::ﾉﾉｲ
　　　　 　 ヽﾄ;.:.::.:.::/＾ヾr')　､rｔ‐r､　＿_,でソ! |′　　　さらに上流の堤防を決壊させます
　　　　　　　　>.:.::.:＼r' ,ベｰ､`ｰ'´ノ 　!｀￣ |::|
　　 　 　 　 　ﾚﾍ::ゞ、| / /に.〉￣´　　′　 ,':::!　　　　　今度は智伯の陣が汾水に洗われる番でしょう　　　　　
　　　　　 　 　 　 ゛　入　 　 ヽ＼　ｰ=' 　 /|: ::!
　　　　　 　 　 　 　 ‰ ＼　　ヽ_」＿ ,.　'　 !:..:|
　　　　　　　　　　_＿_,.ｨﾆ >　　ト ､ ｌｰ┐　 !:.:.l
　　　　　　　　 ／ｰ- 、:＼仟ｰ┴-'ヽ_八ー'|:.:.:|
.　　　　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.｀‐､:.ﾄ-､___ 　 .ﾄ､　.〉 ｌ:.:.:.!
　　　　　　　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾ:.:.:.:..｀ｰ┴ﾍく_,∧.::|
　　　　 　 　 ヽ:.:.:.:.:ー､__:.:.:.ヾ:.::::::.:.:.:.:.:.:!　!::::∨、
　　　　　 　 　 ヽ:.:.:.:.＼__｀ｰ=!:.:.:.:::.:.:.:.:.:|　l::::/:::::'､
　　　　　　　　　 ＼:.:.:.:.:.:｀ヽ:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l　l:/:.:.:.:l::ヽ





33 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 21:21:22.89 ID:dbWtR6.o






こうして韓、魏、趙は晋国最大の所領を抱える荀氏を滅ぼした。
この後は、この三氏が晋国を三分して統括することになる。

周王朝は彼らの強大さを認め、三国を独立国家として公の位を授けた。

これが後に戦国の七雄に数えられる韓、魏、趙である。






　　　　 　 　 　 _,, ｰ'''"゛ .｀ﾞ'''ｰ..、
　　　　　　　／　　　　　　　　　　＼
　　 　 　 ／　　　　　（.∞.） .　　　　 ＼
　　　　 /　　　　 　 　 .!-!　　　　　　　 .ｌ,
　　　 ノ!]ﾞ'二,ﾞ'''''''''''''''''''''¨''^^ｔ,'''''',''/广l│
　　　/ .!.! .{.　｀''ｰi,,,　　　　 .,,,ﾉ'"　 / .|.!.l
　　　!　l .＼ﾞ'一''゛ 丿　　 .'冫ﾞ''―''ﾞ,／.l .ｌ　　　　董安于という家臣は、趙氏を二度救った。
　　 l　　!　 .｀'''''''ﾞ″　　　　 .｀''ｰｔ″　 !　.!
　　l　　　ｌ　　　　　 　 　 　 　 　 ..ｔ.　./ 　 .!　　　一度は、死を選んだ時。
　　l　　　 ヽ　　　　　_......,,, 　 　 　.ｔ/　　 .|　　　そして今一度は死してなお、徳を民に残したことである。
　　ﾐ.　　　　ﾞ''y-‐''"｀'―'''''~''―;;r"　　　 /
　 　 ｀''￢ｰ'"　 ﾞﾌ'ｯ----ｯ―''!ヾ`ｰ..... ／　　　我らは董安于を持って人臣の鑑とする。
　　　　　　　　 / /..　／＼／ ヽ＼ﾞ　　　　　　　　
　　　 　 　 　 / ./..／.＼／　　　ヽ＼!
　　　　　　　/ ./゛　 ﾞ／　　　　　　ヽヾ






周王朝は晋という保護国を失い、韓、魏、趙に名目上祭り上げられるだけの領土無き国家となった。
これをもって事実上の周王朝の滅亡とする史家も多い。

斉の桓公、晋の文公が築き上げた周と国際連合による二重支配体制はここに崩れ、
春秋時代は終わりを迎える。



人々のあらゆる努力を無に帰す水攻めのような行為が当たり前に行われ、
旧来の封建体制は暴力という実力行使の前に為す術も無く敗れ去っていく・・・

これより中華は血で血を洗う時代へと突入した。




世に言う戦国時代の始まりである。





34 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 21:22:29.60 ID:dbWtR6.o






本稿は、戦国時代を語るものではない。
そろそろ時間を戻そう。


やらない夫が中都の宰相に登用された頃、晋国に恐るべき来客があった。







　　 　 　 　 　　　　　　　　A 　 　 　 　 　 　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 A
　　　　　　　　　　　　　 ／　＼　　　　　　　　　　　ｉコ　　　　　　　　　 ／　＼
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　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　／＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿.＼ 　 　 　 　 　 ／
　　　　　　　　 　 　 | 田　田　田 |ｴｴｴｴｴｴｴｴｴｴｴｴｴｴｴｴｴｴｴ |田　田　田 |
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ＴＴT.|　　 ｌ⌒l 　::| ＴＴＴＴＴT|　　 ｌ⌒l 　::| TTＴＴＴＴＴＴＴＴT|　　 ｌ⌒l 　::| ＴＴＴＴＴT|　　 ｌ⌒l 　::| TTＴ
.ＴＴTl　 　 ￣ 　.::|ＴＴＴＴＴT l　 　 ￣ 　.::|TTＴＴＴＴＴＴＴＴT l　 　 ￣ 　.::|ＴＴＴＴＴT l　 　 ￣ 　.::|TTＴＴ
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　　　　　 i"ﾞヾ彡彡ｧ"´　　　　　　　　 i　　ﾉ　__ ,,,...､_,,. 　 iﾐ| |
　　　　　 { {｀ヾ彡;ｼ′ 　　, _ --‐- ､丿　 ｨ''"ノ（oﾂヽ''　　|ﾘﾉ　　　
　 　 　 　 '､(､ヾ彡ﾘ 　 　　ｨ'でo)'ヽ､　 :　 ';:. 'ー-‐'"″ 　 |ﾘ
　　　　　　 ',ヽヾ､彡　　　ゝ｀ﾞﾞ'''''"´ﾂ　.､　 i::.｀ヽ､,,,,ノ 　 　|i|　　　魯は季孫に帰して久しく、臣民も季孫になびいております
　　　　　　　ヽ丶ヾﾘ,　　　 ｀ ､,,,,,,ノ　　.: 　 i:::.　　　　　　　ﾘi　　　　公室再興の希望は絶たれました・・・
　　　　　　 　 ゝ､,ヾﾘ　　　　　　　　 ,　.::　　'､::.　　　　　　 ﾘ
　　　　　　　　　　 ヾi,　　　　　　　 /､ _　　　 ,,'　　　　　 , /　　　　　これよりは、この陽貨、晋の臣として生きたく存じます
　　　　　　　　　　　ヾ,　　　 　 　 /　 ´｀｀ｰ''´　 　 ､　　,' /
　　　　　　　　　　　 ヾ,　　　　　 '　　　　 : :　　　　 ',　,　/､
　　　　　　　　　　　　 ヽ､　　　　, --‐‐一''ー─''''　' /./::::ヽ.
　　　　　　　　　　　　 i"i ヽ　　,r' _,,,, ゝ--‐‐''´ｰ'"　ﾉﾉ::::::::::ヽー-､
　　　　　　　　　 　 　ﾉ, |',　 ヽ､　　 ｀ ; ; ; ; : : : '　 ／::::::::::::::::::＼_｀ヽ.
　　　　　　　 　 　 ／::i　| ',　　 ｀ヽ､＿ 　 　 ＿,／:::::::::::::::::::::::::::::/　ヽ
　　　　　　_, -‐'''"i:::::::i　.|; ',　　　　　　￣￣／／:::::::::::::::::::::::::／　 ／＼






魯を追われ、斉から出奔してきた逆臣・陽貨である。





35 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 21:24:58.13 ID:dbWtR6.o





晋の定公は大いに不審を抱いていた。
晋よりも先に斉へ行った事も気に入らなかった。
扶持さえあてがわれれば、どこでも良いという意思の表れに思えた。






　　　　　　　　　　　　　　 　 __,、__,､__,､ｨ‐r=;､
　　　　　　　　　　　　,　 __f〆.::::::::::::::::::いゞｿﾒ､
　　　　　　　　　　 ／ _ｆ〆.::::::::::::::::::::::::::ゞ＝'´:..＼
　　　　 　 　 　 ／　_f7.::::::::::〆^ー'^ー'⌒'⌒'⌒ｰヘ、
　　 　 　 　 　 'ｨ=={f7==､〆　 '　　　/　　　　　　ヽ　＼
.　　　　　　 /〈:{_ ィ|:ﾄ､ヾヽ　　 |　　　|　　　　　｜　　' 　ヽ
　　　　 　 /　　7:/ |:ﾄ::ｰ':/　 /|　|　　|　|　 　 　 |　　 l 　　ヽ,
　　 　 　 /　　/:/　|:| 丁 　 /　l　l　　|　l　　　　 |　　 | 　 　 l
　　　 　 /　　/:/　 |:|　|　　|ト､ l　'、 ｜ ヽ 　 　 ｌ　　｜　 　 |
.　　 　 / 　 /:/ |　 |:|　|　　ﾄ､_｀ﾄ､ ＼ ヽ　ﾞ,　　 /　 / /　　 　|
　　　 / 　 〈:::{　|　 |:|　|　　|弋＞ ミﾒ､＼　|　 /　 / /　/　,　/
.　　 / 　 　 ヾ ｜　ﾚ　|ヽ　l　ﾐヽゞ'ノ'ヾ 　 | / ∠ 厶/　/ /　　　　あなたは魯のお尋ね者でしょう
　　/　　　　　　|　　　 | 　＼　　 　 　 　 　 斗.,ﾃﾐ､/ ／ 〈　　　　　魯の三宝を奪った罪は、大逆罪にも等しい　　　
／ﾄ､ 　　 ｲ　 /|　　　 |　　 　 　 　 　 　 　 `ｰ'イ／イ　|:|　
　 ヾ:.、 ｌ::{　/ / l 　　 ﾄ　　　　　 、　　　'　 　 / ／|:l　 |:|　　　　　晋では、その反骨を収められると誓えますか？
＼ﾄ､}:ヽ|::::∨/ ｜　　 |　＼　　　　｀`;'　　　／　| 　｀ 　|:|　　　　　いや・・・誓うぐらいは簡単でしょうね、あなたにとっては
::::::::::::::::::::::::〈　　l　 　 |＿__＼　 　 　 　 ＜|　　 |　 　 　｀　　　　
::::::＿＿＿_:::＼　∧　 　|::::;;==≧ｰ＜　　 ｜　 ,'　　　　　　　　　誓いを破ることも、簡単にやってのけるお方ですから
／,　――― 、く::::::〉、　l｛:{.::.::/;小｀l:l　 　 |　 /
／.::.::.::.::.::.::.::.::＼＼ ｀＼ lヾ＝'ｲ |:ﾄ=''　　/l　/
::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::＼ l:::.｀ヽ､ー'|:| |:|＼___/ l /
.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::|::.::.::.:..＼ﾉ:|⌒Y＾y'ヽく:.＼
二.,,＿　―-　::.::.::.::.:|::.::.::.::.::.:..＼　 | く({廻}>::.:.＼
::.::.::.::.::￣ ''ｰ- ＞::.::.|::.::.::.::.::.::.::.:..＼　 `￢くヽ::.::.:.＼
.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::|::.::.::.::.::.::.::.::.::.:.丶　 ハ| ｌ ＼::.::.ヽ
.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::|::.::.::.::.::.::.::.::.::.:.丶　 ハ| ｌ ＼ ､::.:.ヽ







　　　　　　　　___|二ニｰ-､、;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:|;::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:l
　　　　　　　 /rヽ三三三三三─‐-- ､;:;:;:;:;:;:;:|;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;l
　　　　　　　 ',i　,-三三三三三、 　 _,.ニ､ｰ-､!;: -‐二￣彡′
　　　　　　　　',､、ヾ三三'"￣￣　　 `ー‐"　　　 ヾ-'" 　.〉′
　　　　　　　　ヽ ヽヾ三,' 　　 :::..,. -‐- ､　　　　 _,,..-‐､、,'
　　　　　　　　　｀ー',ミﾐ　 　 　::.弋ラ''ｰ､　　 i'"ｨ'之フ　l′　　　　　おっしゃる通りでおじゃる
　　　　　　　　　／:l lﾐﾐ　　　　 ::::.. 二フ´　　 l　ヽ､.ノ　,'
　　　　　　,.-‐フ:::::| |,ミ　　　　　　　　　　　　 l　 　 　 /　　　　　　　この乱れ切った世の中に、
　　　　 ／r‐'":::::::::| |ヾ　　　　　　　 ／__.　 　l　　　 /　　　　　　　　誓いなど何の保障にもなり申さぬ
　_,. -‐"i .|::::::::::::::::::',.',. ＼　　　　　 　 ⌒ヽ､,ノ　　 /ヽ,＿
"　　　　l ヽ:::::::::::::::::ヽヽ.　＼　　　＿,＿,.､〃　　／l　|　　｀ﾞ'ｰ-､、
　　　　 ',＼＼:::::::::::::::ヽ＼　 ＼　　､.￣⌒"￣／:::::|　|　　　　　　｀ヽ、
　　　　　＼＼＼;::::::::::::＼＼　 ｀､.__ ￣´￣／::::::::::l　|　　　　　　　　 ＼
　　　　　　 ヽ ＼｀ｰ-､::::::ヽ ヽ　　　￣フフ::::::::::::::ﾉ ./　　　　　　　　　　｀ヽ､
　　　　　　　　　 ｀ー-二'‐┴┴､＿_／‐'‐´二ｰ'".ノ
　　　　　　　　　　　　　　￣｀ー─--─‐''"￣





36 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 21:28:22.14 ID:dbWtR6.o






　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿r=ｧ=､ィfZｧ､,、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　 ´fフ:´-=_:三ｰ_ｰ^ヘ
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／　_r/／'_ｧ'='^ー'｀´｀ ^ｰ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/r＝､ｿィｰ'7´　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾊ L／ｲ| ヽヽ　　　　　　　　　ヽ　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　,　ｿ/ l ﾊﾚ´イ{ {　　 |{.　 　｜　 |　 ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　 //:/　ﾉj ｀´i |｀ヽト ､ |:ヽ. 　 }　, ﾘ　｜!
　　　　　　　　　　　　　　　　ハ:{／ｲ: {　 小7ﾃﾐﾄ､ {ヽ!:　/ / / 　 l l
　　　　　 　 ヽ.＿ヽｰ ､　　 /　/／ |:.　ヽ. {　'赳ハ＼ }:/_ｵメﾘ　 ｲ/　　　　　ふん・・・
　　　　　　　　 ￣二ﾆヽヽ/　-ﾍ､:.. l:...　 lト＼｀　　　 /ｨ亙ﾌ'´／/′
　　ヽ､＿　_-ｧ.:´__::.::.::.:ヽ::＼　 j:〉..:.l:...　 l!　　　　　 ,!　　７´ |　 　/　　　　ならば、この国に用は無いわねぇ
　　　_,._-ﾆ-ｧ‐´ィ二;:-- ､::.::..｀ヽ､..:∧:..　lﾄ_､　　　-‐　イ.:　j|　 /{ ﾉ′
　‐ ´/´　／´￣´／::.::.::.::.::..‐.-_､::＼:.ヽ:.. l::.::＞ー＜l!:..:.|:.　ﾘ‐／/ﾚ　　　晋は魯と違って乱れていないもの
　　　　 /′　 ／-‐ｧ::´::, ｧ::／.::.:￣:.｀ヽﾄ､.V／::}:ﾊ:{ﾄヽ/!:.　!:/‐'::/
　　　　　　 ／´ ／::.:／ノ／..::..::.::.::.::.::.:..:ヽヽヽ=l:| ト='ｲ-!: /::;∠ イ_
　　　 　 ／´ ／イj/ｲ'／.::.::＿.::.::.::.::.::.::.::.::.｀ﾄi｀j:|__ヽ＼ﾉ人::.::.::∠´
　　　　/'　イ/　// ﾉ/:.‐..´...::.......ｰ ::.::.::.::.::.::.:K/:ハ.｢jﾌス::.:.｀:くヽ
　　　　／//　　 ／ｲ.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.{_j　　　jｧzく::.::..::..｀ヽ、






定公は陽貨を処刑し、晋と魯の友好の証に、首級を贈るつもりだった。

だが、外国からはるばる徳を慕ってやってきた者を、
いちいち自分の意思で殺していたら、超大国・晋の代表は務まらない。






　　　　　/ﾆＹﾆヽ
　　　　/（ ﾟ )( ﾟ ）ヽ
　 　／::::⌒｀´⌒::::＼
　　|　,-）＿＿＿（-、|　　　定公さま、お呼びっていうっすか？
　　| l　　 |-┬-|　　l |
　　 ＼ 　 `ー'´ 　 ／
　_, ‐'´　 ＼　 /　`ｰ､_
/ '￣｀Y´￣｀Y´￣｀レ⌒ヽ
{　､　 ﾉ､　 　 |　　_,,ﾑ,_　ﾉl
'い　ヾ`ー～'´￣__っ八　ﾉ
＼ヽ､　　 ー　／　ー　　〉
　　＼｀ヽ-‐'´￣｀冖ｰ-く






そこで定公は、一時、趙鞅にその身柄を預け、時間を置いてから、
何か無礼を働いた際に殺すという一計を案じた。





37 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 21:32:19.00 ID:dbWtR6.o







'　 l | !_／ｲl |, 　 l ',　　| ﾍ. 　 l　 　　　/ |　 ;ｉ　 ,　　　 | l
　 ,l/,r‐'´!.| ',|ヽ　| ヽ　 ｌ　ヽ　｜ 　 　 l　l　/ｌ　 l, 　 　 ｌ｜
　/ /　 　',| 十' 寸 二ﾏＴ´　ヽ.|!　 　 / ┼/-l､_,|　 　 /! !
,/ /ｌ　　　 |　丶　＼ ＿＼　 　'|l 　／ ‐ﾅ'´　|/lj 　／ /'ﾞ
. / |'、　 　 ', ‐､―r┬ｬ､` 　 　 i／　 ‐/_‐__/ /-‐'i　/
/　 ! ヽ.　 　ﾍ　≧=一' ´　 　 　 　 　 ゝ'-彡ﾏ´　/　 　 　 /'ヽ　　　　　　いいこと？
　 　! l　＼ 　 ヽ　 　 　 　 　 　 　　　　　　〃　 /!　　　　/　 |
　 l　| l　 　＼　 ＼　 　 　　　　/　 　 　 ／　／i｜　 　 /　 /　　　　　　魯の逆臣・陽貨が来てるわ、「なんとか」しなさい。
　ｌ　 l｜ 　 |　ト￣´　　　、＿, ＿,　 - '´-‐イ 　 ｌ|.　 　/　 /　　　　　　　「なんとか」するのよう
ー ､ l l　 　| /＼＼ 　 　　´ 二´　 　／　　｜ 　 ｌ　　/ 　/＿＿, --ー
:::::::::::| l　 　|::::::　＼ ﾞ　 、　　 _　ィ ´｜　 　 l　 　, -:/　, ｨ;::::::::::::::::::::::::　　　私は陽貨のような人間は好きではありません
::::::::::::l｜ 　 !::::　::::::::－＿天 　 　! 　 |　　　l／´::::::/　/´ﾄ-､------　　　晋に陽貨のような者は必要ないといったら・・・
:::::::::::::', l　 　|:　::::::::/´:|:::/「l＼ 　 ! 　 !　 　l＿＿::/／　/　　＼::::::::::　　　　分かるわねぇん？
:::::::::::::::',　 　 l　::::::/::::::l:/　l|::､ 〉＿;-:::|　 　!::::::::::;'/ 　 ,:'　∨　/＼::::
:＼:::::::::∧　　l､:::::::!:::::::l;' 　 l!::∧>:::::::::l　 　l::::::::::ｉ/ 　 / ヽ/　/　/ヽ
::::::ヽ:::/:::::ﾄ 　V＼:l＿_｣|　　lＹ､::l>|＼::l 　 /:::::::::/ 　 ,　　 !､_/__/　ﾉ|
::::::::::V:::::::::ｌ＼ ヽ‐ﾄ､:::/|　 　ヽ＼!>ーｌ|　/ｌ::::::::::l 　　 ,　　 　ー',ｰｲｿ
:::::::::::ﾍ:::::::::l/ ＼ヽＬ.V∥　 　 ヽ　 　 / /!|:::::::::::l　　　　　　　　　 /








　　　　 　 　./ ＼Ｙﾉヽ 　ｷﾘｯ
　　　　　 　/　（0)(―）ヽ　　　　なるほど、なるほどっていう
　　　　　／　　⌒｀´⌒　＼　　　万事お任せあれっていう
　　　　　| ,　-）　　　　（-、.|
　　　　　l 　　ヽ＿＿ ノ　 l |
.　　　　　＼　　　　　　 　／






定公は言外に陽貨を殺すよう何度も言い含めて
その身柄を趙鞅に引き渡した。





38 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 21:33:50.99 ID:dbWtR6.o






だが、趙鞅はなにを勘違いしたのか、
陽貨をなんとか晋に必要な人間にするために動き始めてしまった。







　　　/ﾆＹﾆヽ
　　 /（ ﾟ )( ﾟ ）ヽ
　／::::⌒｀´⌒:::: ＼　　　なんだか定公さまに頼まれちゃったっていう
　|　,-）＿＿＿（-、|
　| l　　 |-┬-|　　l |　　　陽貨を「なんとか」生活できるようにしてやろうっていう
　＼ 　 `ー'´ ＿／　　　　お前たち、どうしたらいいと思うっていう
. ／　　　 ∩ノ ⊃　ヽ
（　 ＼　／ ＿ノ　|　 |
..＼　“　　／＿＿|　 |
　　＼ ／＿＿＿ ／







　　　　　　　|;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;|
　　　　　　 ├- ､__:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;;:-‐'"´;i
　　　　 　 　|;:;:;:;:;:;:;:｀ﾞﾞﾞ'''''ー--　､､;;;;;;_;;;;;;; -‐''''"´:;:;:;:;:;ｨ彡ﾐ,
　　　　　　 ,i＝＝==､;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:-‐"´ﾞﾐ三ﾐi
　　　　　　 i三三ニﾆ'￣｀ﾞﾞ''''' ー- ､;:;:;:;:;:;:-一'"　　 　 ﾐﾆ三i
　　　　　　 i三三ﾆ三　　　　　　＿　 ￣　　r==､　　　 'ヾ､ミi
　　　　　　_,i三三ﾆ三ゞ　　　 ﾆ三ｼ　　i　　 ゞ"´　　　　　!ﾐ;iヽ
　　　　　 i"ﾞヾ彡彡ｧ"´　　　　　　　　 i　　ﾉ　__ ,,,...､_,,. 　 iﾐ| |
　　　　　 { {｀ヾ彡;ｼ′ 　　, _ --‐- ､丿　 ｨ''"ノ（oﾂヽ''　　|ﾘﾉ　　　初めまして
　 　 　 　 '､(､ヾ彡ﾘ 　 　　ｨ'でo)'ヽ､　 :　 ';:. 'ー-‐'"″ 　 |ﾘ　　　ジョージ・ブッシュです
　　　　　　 ',ヽヾ､彡　　　ゝ｀ﾞﾞ'''''"´ﾂ　.､　 i::.｀ヽ､,,,,ノ 　 　|i|
　　　　　　　ヽ丶ヾﾘ,　　　 ｀ ､,,,,,,ノ　　.: 　 i:::.　　　　　　　ﾘi　　　　陽貨とお呼び下され
　　　　　　 　 ゝ､,ヾﾘ　　　　　　　　 ,　.::　　'､::.　　　　　　 ﾘ
　　　　　　　　　　 ヾi,　　　　　　　 /､ _　　　 ,,'　　　　　 , /
　　　　　　　　　　　ヾ,　　　 　 　 /　 ´｀｀ｰ''´　 　 ､　　,' /
　　　　　　　　　　　 ヾ,　　　　　 '　　　　 : :　　　　 ',　,　/､
　　　　　　　　　　　　 ヽ､　　　　, --‐‐一''ー─''''　' /./::::ヽ.
　　　　　　　　　　　　 i"i ヽ　　,r' _,,,, ゝ--‐‐''´ｰ'"　ﾉﾉ::::::::::ヽー-､
　　　　　　　　　 　 　ﾉ, |',　 ヽ､　　 ｀ ; ; ; ; : : : '　 ／::::::::::::::::::＼_｀ヽ.
　　　　　　　 　 　 ／::i　| ',　　 ｀ヽ､＿ 　 　 ＿,／:::::::::::::::::::::::::::::/　ヽ
　　　　　　_, -‐'''"i:::::::i　.|; ',　　　　　　￣￣／／:::::::::::::::::::::::::／　 ／＼





39 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 21:34:53.58 ID:dbWtR6.o







　　　　　　　　 ／　 ニ三ミl彡三二｀ヽ　　 　
　　　　　　　／／／/／⌒Ｙ⌒ヽ＼＼ ＼ 　
　　　 　 　 / ///／ /::｀ヾ从r彡へヽ ＼ ヽ　
　　　　 　 j /// ///:::　　 　 ll　　 ｜|｜!l　l .
　　　　　 //// ///:::　　　　 ||　　　|｜||l　|l|
　　　　　///／//‐- .,,__ )　､ll _.. -‐ヾ l |L |}
　　　　彡／／/ < fぅｿヽ:'〈　l| r'f:;ﾞｿﾌヾヽヽ＼　　 　　てめえ、ふざけんなよ
　　　　 彡イ;/|:.:.:`二二.::::|　 l:.:ニニ　`ドヽいゞ　　　
　　　　イ〃ﾊ ｌ|:.:.:.　　 .::::::|　　!　 　 　 |ﾌヾミ=-、 　　道端の地蔵でも登用したほうがマシだぞ
　　　　{iイ川ヽﾍ:.:.:.　.:;;;::_〈　_,　　　　 /_ｿ个ヾﾋ_
　　　　ﾘ {l川ﾉﾊiﾊ.:.:.:.:.:;;;___´___ 　 　 /ｲ川ｌ|} i｀ヽ｀
　　　　　ﾉl 八 川 lヽ::.: に二Ｚ}　　,ｲ川 ﾘ八　　　　
　　 　 　 ﾉ!ヾ川N |:::＼　二二　／ |l | !ﾉトヽ｀
　　　　　　 ´ノl从 |:::::::::`ー─ ' (尹沢ｲﾝﾀｸ・・・董安于の死後、晋陽の太守となる。前任者の方針を引き継いで晋陽を大都市にした。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　無防備どころか城攻めの際に利用できる陣地まで作らせたために趙鞅に殺されかけた)







　　　　　　　　　　　,　-‐　　￣￣　 ｰ- 、
　　　　　 　 　　 ／　　　　 　 　　　　 <　丶、　　
　　　 　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　　＼　 ＼　
　　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　 ; ' ' ;　　ヽ　　ヽ　
　　　 　　　l　　　　　　　　　　　　 ' , , '　　　l 　　|
　　 　　.　 |　 　 ＿＿ 　 /　ｨ 　 ＿＿_　　 l 　　|
　　 　 　f三ミ -─‐-｀ﾆ{　 {二´--─‐-　 j∠三｝
　　　　 　{彡ﾂ──- ､ヽゝ､二ﾁ／ ・＿＿ ヾ三ｿ ヽ
　　 　　｢ Vゝ─‐-_､　ゝ._}　{､__／´ ＿＿_ミ∨ヽ　ﾉ
　　 　 　 |ヽ|　 丁ﾓ::ｱ＼_ノ＿ゝ__.イt::ﾗ￣｢f　ｉイ |　　　　優れた人材を集められる主君は
　　 　 　 |ﾚ'| ゝ ゝ--‐彡ﾉ'{ 　 ﾄ､tミ─ -'ノﾐ〉 }ﾄ}｜　　　すべからく、人を受け入れる努力をしておる
　 　 　 　 lｔ｛ﾄ､´ ' ￣　　{　; 　.j　} 　 ￣・．-' ,ｲﾘ .|
　　　　　　ヽ ヾ＼__　　/｀ 〈 　 〉´ヽ　　＿,.イ j'　ｿ　　　
　　　　　　　 ＼l　 　 ／､｀､ｰ＝,.一,´＼　　 }　l／　　　だが、努力をしたからといって報われるわけではありませんぞ
　 　　　　　　 　| 〈　/｀.ィ扛工工立ト､'　ヽ 〉 ,ｲ_　　　　特に、そのような男が相手では・・・
　　　　　─ l／|＼ ゞ　ト ﾆエｴエﾆ ｲ　ノ 　/|＾ヽ
　　　／　　|{　|　 ＼}　 ー‐---一 '／　／/.|　/ ＼
　 ／ 　　 |∨|　､ 　＼　　　　 　 丿／　/　| /
　　　　　　 /　＼　ヽ 　 ｀ ー -- 一' ／ ￣￣　 ／
!！　　 ／＼　　＼ } 　 　 　　 　 ／　 　＿　／
── ' ＼　　ヽ　　｀ ー──一'　　 ／
　　＼　　＼　　＼　　　　　　　　／/





40 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 21:36:23.77 ID:dbWtR6.o






　　　　　　　　　　　　/ﾆＹﾆヽ
　　　　　　　　　　　 /（ ｡)( ｡)ヽ
　　　　　　　　　　／::::::⌒｀´⌒::＼
　 　 　 　 ,＿＿_|　,-）　　　　 （　.|　ほほう、それでそれでっていうｗｗｗｗｗｗｗｗ
　　　　 r'"ヽ　　 | l　 ヽ＿＿ ノ　.|
　　　　/ ､､i　　　 ＼ 　|r┬-|　／
　　　 /　ヽﾉ　　j　,　|　|　|　 | |
　　　 |⌒`'､__ /　/　|　|　|　 | |
　　　 {　　　　￣''ｰ-､＼`ー'´/
　　　　ゝ-,,,＿＿＿＿_）--､j
　　　 /　　＼__　　　　 　　/
　　 　|　 　　 　"'ｰ‐‐---''






　　 ） . .:.／.:.::::／　 　 　 　 　 　 　 ＼　＼.:.::| |::::::人
. 　（ . . .:.:.:::::::/ 　 　 　 /　　　　　　　　ヽ　入| |／ヽ　｀ヽ
　　 ＼.:.:.:.::::/　　　 /　′　 l　　　　　 | 　l ｢:::| |:::::::ﾉ　　 !
　 　 　 Y.:.:.′　　 ,′! l　　 |　　 　 　 |　 }ﾉ..:.| |:::::ﾉ　 　 |
.　　　　 ゝ┤　　　|　 |｜ l　|　　　 l　　　（. .:://.::∧　 　 |
　　　 　 　 l !|　　_|＿Lｊ､ l ｜　_／|_/ l |　）//.::/　ｌ　　　|
　　　 　 　 |八 l l l{＼|｀ヾﾄ､l､／￣l/｀刈Y北Ｌ.,′ |　　　|　　今回ばかりは反対だわ
　 　 　 　 ｜　ヽヽl ´==''　　　　 ==''＾ } |　ﾋｼ''′　|　　　|
.　　　　　　'　 l / ∧　　　　'　　 　 　 ｲ｜Y´　 　 ｜　　 |　　　陽貨が何やったか知らないって言うの？
　　　　 　｜　j l　|｜丶　　 ‐　 　 イ｀ヽl　l　 　 　 |　　　|
.　　　　　/|　 {｜ ! | ヽ　｀ ｒz=.､´　ﾉ　 /　lト､　　 ｜　　 |
　　　　 //ｊ／. :|　! |＼　l､{{ｒ勿}}〃　 //| jj:::::＼　 |　　　|
. 　 　 /.／. .:.::::| 　 { 　 　 ｀ﾞＴﾞ´　　 // l|从::::::::::ヽ.!　 　 |
　ｒ‐=ﾆ´.:::ヽー=≧ト:.ｒ‐⊂ニニﾆ⊃x/ /ｊ/:::}::::::::::::::ヽ.　　|
　 ＼::::::::::::::ゝ---/´ ミ}厂厂厂厂ｊｒ―‐ヘ/.:::j:::＼::::::＼_ｊ
　　　＼::::::::::::::::::/　 ア{ i/ i/ i/ i/jゞ､ヽ｀ヽ＼{:::::::::＼::::::::｀ヽ






.　　　　 　 　 　 　！ 　|:::::.:.:.:.:.:.:┌￢.............|　 |
.　　　　 　 　 　 ,,:┤　 l::::::.:┌ー┘ └┐......ｌ　 |
.　　　　 　 　 ｨ'.:.:.:.:! 　 |:::::::.└ー┐ ┌┘.....|　 !
　　　 　 　 　 !::::::::::! 　 !::::::::.:.:.:.:.:.:|　 ｌ............l　 !
.　　　　 　 　 |:::::::::::ｌ　 .|::::::::.:.:.:.:.:.:|.__」............!　ｌ
　　　 　 　 　 !:::::::::::ｌ　　|::::::＿;;;;;;;;;;;;;;;＿::::::|.:.:|
　　　　　　　　!;::::;;;;;;>1※ｱﾒ､_　　.//ﾉ/,ｸ7ｧ┤
　 　 　　　　 　Y´|　; |. |〃、_,,ﾆ''〃//､／ﾊ: !'　　　　陽貨が近寄るだけで
.　　 　 　 　 　 ｌ:.l .::'λ !"`＝''"　　　 ゞ='',{:.l　　　　具合が悪くなる人もいるんですよ
　　　　 　 　 　l:.| ,:〃.!:.ﾞ､"""　 　 　，"" ,!;.|
　　 　　　　　　!:.ｌ; /'ゝ!､:ヽ　　　　,..　　.ノ!ｌ:.l
.　　　　　　 　 l:.:|〃!|:.ｌゞヾ＞=┬-;＜´|:. !|:.l
. 　 　 　 　 　 |:.:!/ｌ｛ {::.:..｀ヾ;､.__ﾞｰπi､:.!;'|:.!.|
　　　　 　 　　!;:!l::!::ｌ!ﾊ;::::.　ヽﾞ､￣´_ヾｌ |,'ﾉlﾘ|
　　　　　　　 ﾘｨ'l|:::|l:!::{ﾞ､:::.　ヽ!::.ヽ ヽ＼'.:,|: !
　　　　 　 　ハ! lﾊi|:l::ヽヽ::.:.　ﾞ､::.┘└ﾉ:ﾉ:丿






当然のことながら、趙氏の家臣の中で、陽貨の登用に賛成する者はいなかった。





41 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 21:37:38.35 ID:dbWtR6.o






　　　　　　　　　　　|:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:|:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:|
　　　　　　　　　　　|:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:|:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:|
　　　　　　　　　　 /｀ヽ、;,;,;,;,;,;,;,;,;,;|;,;,;,;,;,;,;,,-ー'|´::ヽ
　　　　　　　　　　 i:::::::ﾐ　　　,,,,,,''''''''''''',,,,,,:::::::::ﾉ::::::::i
　　　　　　　　　　..i::::::::ﾐ　　´- ′　　'- '´:::::::`丶::::ﾄ、
　　　　　　　　 　 |.i::::i''　　--- 、, 　 , --- 、:::::::`i::::r/
　　　　　　　　　 ヽi:::i　　-<写-、　|::::,/冥`;::: :::::i:::ﾘ.|　　　本人を目の前に言いたい放題でおじゃる・・・・
　　　　　　　　　　 ﾄ、i　　　''_,ノ　　|::::::、__ノ　;::::i:::i /
　　　　　　　　　 　 |_ii　　　　　 ,　　、:::::　　;:::::::::i:i_/
　　　　　　　　　　　　li　　　　 /,,,、　,,ヽ::::: :::::::::::i:l
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　''';''　　ヽ::::::::::;/′
　　　　　　　　　　　　 丶　　　-―-一ー　)::::::/゛ﾄ
　　　　　　　　　　　　　　1、　　--一　　ノ:::::ﾉ/ ﾉ ヽ
　　　　　　　　　　　　　,,ノヽヽ、　　　　　,,ノ::/ /;:;:;:;:`,,丶
　　　　　　　　　　　　ノ;:;:l |　`ヽ::::::;;;;;;;;::::::／ /;:;:;:;:;:;:;:r ヽ
　　　　　　　　,,, -''''´'i;:;:;:;i ヽ　　　　;;;;;::／／;:;:;:;:;:;:／::::ﾉ　ヽ、
　　　　,,-－'''　rー-ﾄ、'、;ヽヽ　　　　;／ /;:;;:;:;:,, -''　ン　　　　'ヽ、
　 ,,／　　　　　ト、_r--　''''''--'-ー-''-''''ﾄ-'''''　　,,／　　　　　　　 'ヽ、






　　　　　　 　 　 　 /ﾆＹﾆヽ
　　　　　　　　　　/ （0)(0）ヽ
　　　 　　　　　／　⌒｀´⌒　＼
　　　　　　　　|　,-）　　　　（-、.|　　　というわけだ、陽貨
　　　　　　　　| l　 ヽ＿＿ ノ　l |
　　　　　　　　 ＼　｀ ⌒´ 　　／　　　これからは、よろしく頼むっていう
　　　　　　　　／　　　　　 　　ヽ
　　　　　　　/　　　　　　　　　 　ヽ
　　　　　　　|　　　　　　　　　　 |　|
　　　　　　　ヽ_|　　　　　　　　　|丿
　　　　　　　　 |　　　　　　　　　|







　　　　　　　　 ／　 ニ三ミl彡三二｀ヽ　　 　
　　　　　　　／／／/／⌒Ｙ⌒ヽ＼＼ ＼ 　
　　　 　 　 / ///／ /::｀ヾ从r彡へヽ ＼ ヽ　
　　　　 　 j /// ///:::　　 　 ll　　 ｜|｜!l　l .
　　　　　 //// ///:::　　　　 ||　　　|｜||l　|l|
　　　　　///／//‐- .,,__ )　､ll _.. -‐ヾ l |L |}
　　　　彡／／/ < fぅｿヽ:'〈　l| r'f:;ﾞｿﾌヾヽヽ＼　　 　　何が「というわけだ」だよ
　　　　 彡イ;/|:.:.:`二二.::::|　 l:.:ニニ　`ドヽいゞ　　　
　　　　イ〃ﾊ ｌ|:.:.:.　　 .::::::|　　!　 　 　 |ﾌヾミ=-、 　　鼓膜腐ってんのかテメエ
　　　　{iイ川ヽﾍ:.:.:.　.:;;;::_〈　_,　　　　 /_ｿ个ヾﾋ_
　　　　ﾘ {l川ﾉﾊiﾊ.:.:.:.:.:;;;___´___ 　 　 /ｲ川ｌ|} i｀ヽ｀
　　　　　ﾉl 八 川 lヽ::.: に二Ｚ}　　,ｲ川 ﾘ八　　　　
　　 　 　 ﾉ!ヾ川N |:::＼　二二　／ |l | !ﾉトヽ｀
　　　　　　 ´ノl从 |:::::::::`ー─ '　　 |l人ヽ






趙鞅は珍しく家臣の猛反対を押し切り、独断で登用に踏み切った。





42 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 21:40:33.13 ID:dbWtR6.o






その態度が公室に知れ渡るや、ちょっとした騒ぎになった。






　　　　　　　　　 ,.　-―‐　 ー- ､
　　　　　＿　 ／　　　　　　　　　 ＼
　　　 ／　 ｀　　　ー- ､　iｿ´ヾl ,､_ ハ
　　 //　　 ,〃　＼　､　 >!<,j- ､__ヽｧ ',
　　 l/　 　 l/　　　 ｀ ｰ=(,〉 {薔}-' ﾉｒ' ﾊ
　　 丶　　 !i　　　　　　　ゝ'i_ィ､‐､"　　.}　　趙鞅が家臣団の忠告も聞かず
　　 　 　 　 ',　 -'　　　 ｀ｰ 　 　 >-、 /　　　陽貨を召抱えたかしら・・・
　　　　 　 　 ! ━　 　 　 ━　 ｒ=っ У
.　　　　 　 /ﾊ　　　　　　　　　|l ＿'_　　　　　友達の友達はアルカイダどころか
　　　　　　 ﾞ 「 ､　　 n　　 　 ,.ィﾞ＿　i　　　　テロリストの親玉に納まりやがったかしら
　　　　　　　´ニﾕ_＞-ｒｒ彡´ﾉt=ｭｧ_´ー ､
　　　　　　　└‐､7（(ﾆｱﾄゝ） 'ーｧ‐'　　 ﾊ
　　　　　　　／｀´ /｀ｲll !￣　　 テ　　　 ﾊ
　　　　　 　 i　/　l　　ljl.j　　　/　/　　 　 ﾊ
　　　　　　く　| 　 ヽ _　　　_ノ 　 ',　　　　 〈
.　　　　　　/　!　i彡ア､＜　　 　 /　　　　　ヽ
　　　　　 /　/　 ｀//!ﾄ--'　　　　 ヽ　　　　く







　　　　　| :| :|
　　　　　| :| :|
　　　　　| :| :|
　　　　　| :| :| 　　　　　　　　　　　　　　　　,　　　─＝､─-=ﾆL｣_
　　　　　| :| :| 　　　　　　　　　　　　　　 ／二ﾆ=‐-=ﾆ、＼　　　　,＞
　　　　　| :| :|　 　　　　　　　　　　　　,ムｲ／　 .}、　 　 ヽ. ヽ　 ｧ′
　　　　　| :| :| 　　　　　　　　　　　　/ 　 /　 　 ﾉ,ﾄ､　,ｨ　,ハ. ∨ﾄ、
　ｰ＝二〔￣〕ニ＝ｰ　 　　　　　　 ∧　 ;'　　,ノｌﾉj,ｨ込ｧ｀!　,),　V　＼
　　　　/ノこゞヽ.,__　　　　　　　 　 |　!　ｉ,ｧ示. ﾉ'ﾉ ゞr'ﾘ ﾘ 　 !　|　 　 ＼
　　　 ｛三≧ ;》 :|| ＼　　　　　　　 |!､ﾄ､ﾄ弋ﾘ　､　 　 　 l　 ,ﾉ※　　　　　　　　あーあ、あのアホとうとうやりやがったです
　　　　にう,ノﾑｲ'　　 ＼　　　 ,.　-'‐ ＼＼ 　　ｱ｀ヽ　_ﾑｲi　　 !
　 　 　 　 |;;|　＼　 　 　 ｀　 7マ'７　 　| ヽ.≧　ゝ._ﾉ　,: ｨ´|.※ |　　　　　　　　あのような危険人物を囲うとは、
　　　 　 　!_j　　 ｀　.,.　 　 　i ,ハ}　　　|.※ | ＞ｘ､. イ　 ! i|. 　 !　　　　　　　　晋国で反乱を起こす気がある証拠ですぅ
　　　　　　　　　　　　 ｀7ぇｘl/　　,　 　 !　　i　　《 ,≫vﾍ.)､i),　 !
　　　　　　　　　　　　 /　　/　 　 |＿　ｉ.※ i.　　《|{,／/iﾍ.∨), ∨　 ,r＝､
　　　　 　 　 　 　 　 /　　/　　 　 !　)`i　　 !,　　《!_／i |《ﾍ.∨), ∨〈ヾﾍ　}　　定公さま、命令を下されば、
　　　　　　　　　　　/　　ム.＿.　　!/　.|.※ |ﾍ.　 《　　ｉ | 《.ﾍ.∨ﾍ,.ﾏゝ　 ﾉ　　　陽貨を殺し、返す刀で趙鞅の首も取ります
　　　　　　　　　　 ‘ーｘ, 　 　 i　 ！　 |. 　 |　',.　《. 　! i　《. | |　 ﾒ.}i;ｘr≦
　　　　　　　　　　　　　 ∨　　ヽ.　| 　 |.※ |　 ∨《 　Lｉ　 《 L!　:|. |　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　 ＼.　　∨ 　 |. 　 |　 〈　》～～～''～　|　i　 　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　＼／　 　.!.※ ! ,／｣Lﾆ=-　|!>X<| :|　i　 　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　//　 　　　¨¨¨’ >厂　　　　Ｋ　 >' :|　|、　,ﾉ






陽貨は、この当時、魯国内では史上最悪のテロリスト、
中華の他の諸侯国では正当な理由で国を追われた逆臣として認定されていた。





43 ：以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]：2010/01/24(日) 21:42:46.63 ID:sZb34HYo



物好きにも程があるとしかいえんよなー。

ビンラディンを米国の閣僚にするようなものだし。



44 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 21:43:30.07 ID:dbWtR6.o






しかし、定公ははっきりと命令を下さなかった自分の態度を恥じ、
趙鞅が好意的に自分の命令を解釈した事を評価した。






　　　　 　 　 　 ,ｫｪ､＿__
　　　　　　 　,.f込ｔﾝ:::::::::::｀ ヽ、
　　　　　／::::;. -‐ 　´￣￣｀丶＼
　　　　〃::／　　　　　　　　　　＼ヽ、
.　　 　 ll::/　　　l　　　　　　　　、　ヽY ＿
　　　　ll::l}　　　ｌ　　|　　　 l　|　l　　 lイﾆ}|
　　　　ll;;l}　l､　|　　 | ｌ、 -l‐七/ｖ'　 lミ彳、
.　　　_,'Vｉ 　l,x tT二ｔ,|ヽ,ノ,ｨT}｀'j　ｌ ||〃へ.､　　　もういいわ、かまわないことよ
　　／く//l､ ヽヽｨf_lｊ`　 　 　¨ ∠ノlﾉ.||　l　ヽ>
　　ヽ／/{∧　 ＼＿.　　__'_,　,ｨ′l　 ﾚ.　l　　　　　よく考えなくても趙鞅とはそういう男だわぁ
.　　/ //'l |　＼__＜. ､ __`_´.ｲ,ヽ　 ＼,__　l　　　　　
　 /　l_| |_!　　 ｌ　 ｌ l'ー--,＜└vヽ　 ＼＼!
. / 　　　,ｨｰ-.‐|　 |'′　//lＹﾐヽ|l ハ 、 ヽ:.＼
/ 　 　 /.::::::::::::{ 　 ＼ｰtfﾉｌi　斤　l:::::|j＼ l:::::::.＼
　　　 /.:::::::::::::::ヽi＼ ヽ ￣l｣ |/　　|::.Ｙ :::`'::::::::::/
.　　 /.::::::::::::::::::::::|:::l ヽl_,､_ｒ､,_,､r､l'|:::::', :::::::::::::/
　　〈:::::::::::::::::::::::::l:::::＼ﾞ　' |　l　/ ' ,}::::/ :::::::::::ハ
.　　 ＼:::::::::::::::::::i､:::::::::＼　　仍} ,/:::::ｌ｀ヽ:::::::::::::',
　　　　 T :::::::::::/ ＼:::::::::::` - ､／::::::::l　 ヽ:::::::::..ヽ






要するに趙鞅は、主君の命令がハッキリしない場合は、
後で取り返しのつかないようなことはしない有能で忠実な臣だと証明されたのである。

定公は、趙鞅の度量を買い、陽貨の仕官について問題視はしなかった。





45 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 21:45:28.29 ID:dbWtR6.o






いずれにせよ、陽貨は安住の地を得た。
先の反乱以来、常に命を狙われ、放浪する生活から解放されたのである。






　　　　　　　　 |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ|
　　　　　　　　 |丶､ ;;; __;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_,,: ィ";;_|
　　　　　　　　 ﾄ､;;;;;;;;;;;;;;;｀ ` '' ー -- ‐ '' ";;;;;;;;;,:ィ;:;!
　　　　　　　　,';:｀`' ‐ｮ ､ ,_ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; , - '"l;:;:;:;:l
　　　　　　　　l;:;:;:;:;:;:;ﾐ　　 ｀ ` '' ｰ -‐ '"　　　 ,ﾘ;:;:;:l
　　　　　　　　l;:;:;:;:;:;:;:ゝ　　 く三)　　　(三ｼ　　｀ヾ;:t、
　　　　　　　fﾐ{;:;:;:;:f'´　 , -－-_,, _,ｨ ､_,,ｨ,.-－､　 };f }
　　　　　　　l ﾄl;:;:;:;:l　　､,ィ或tｭ､ﾞ:ミ　{,'ィt或ｱﾁ　l:l,/　　趙鞅さま、私はてっきり
　　　　　　　ﾞi,tヾ:;:;:!　　｀ヽ 二ノ　　　ﾄ ` ‐''"´　 l:l:f　　　殺されるものと思っていたでおじゃる
　　　　　　　 ヽ`ｰ};:l　　　　　　 ,r'､ 　 ヽ 　 　　　ﾘ_）　　　
　　　　　　　　 ｀"^l:l　　　　　 ,/ﾞｰ､　 ,r'ヽ　　　　l　　　　　趙氏の家臣の方々のおっしゃるとおり
　　　　　　　　　　　ﾞi　　　　,ノ　 　 `'"　 丶.　　 ,'　　　　　自分は魯の大逆人、何ゆえ・・・
　　　　　　　 　 　 　ﾞl､　　 ′ ,, ｨrｪェzｭ､,_ 〉 } /　　　　　　何ゆえお匿いくださるのでおじゃ・・・
　　　　　　　　　　　　',ヽ　　ヘヾ'zｪｪｪッ',ｼ'　//ヽ
　　　　　　　　　　　　 }　丶、　` ｰ--‐ '"'´,/ノ:.:.:ヽ
　　　　　　　　　　　　/l　　 丶、　　　 　 ,.ｲ:.:.:.:.:.:.:.:丶､、
　　　　　　　　　 ,r'"^l　!　　　　` ー‐;オ´:.:.:.:.:.:.:.:.:.,ノ　 ,}、
　　　　　,. -ｧ＝く（:.:.:.l　 l　　　　　 ／/:.:.:.:.:.:., - '"　 ,／　ヽ、
　 , - '"´ ／　,／｀＞'t､_」＿＿_,ｨ'ﾞ,ィ,.: -‐ '"　,. -‐ '"　　　　＼
／　　　　ヽ-（　　/　/ f　　 }li,　　　　 ,. -‐ '"　　　　　　　　　　＼








　　　　　　　　　　　 /⌒Ｙ⌒uヽ
　　　　　　　　　　　/（○) (○）ヽ
　　　　　　　　_.　／::::⌒｀´⌒:::: ＼
　　 　 　 ／´　　|　,-）　　　　 （-、|　　　え・・・アンタ大逆人だったのっていう？
　　　　 /'　　　　| l　　ヽ＿＿ノ　l. |
　　　　,ﾞ　 ／ )　 ＼ 　　`⌒´ 　 ／、　　聞いてないっていう
　　 　 |／_／　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　 /／ 二二二7　　　 u'　__　　　　 ヽ
　　　/'´r　-―一ｧ"i　　　　　　　　　.-‐ 　＼
　　 / // 　 广¨´ 　/'　　　　　　/´￣｀ヽ ⌒ヽ
　　ﾉ ' /　 ノ　　　:::/　　　　　　/ 　 　 　 ヽ　　}
_／｀丶　/　　　　 ::i　　　　　　 {:::...　　　 　　　ｲ





46 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 21:46:23.06 ID:dbWtR6.o







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　　　　　　　　　　 /｀ヽ、;,;,;,;,;,;,;,;,;,;|;,;,;,;,;,;,;,,-ー'|´::ヽ
　　　　　　　　　　 i:::::::ﾐ　　　,,,,,,''''''''''''',,,,,,:::::::::ﾉ::::::::i
　　　　　　　　　　..i::::::::ﾐ　　´- ′　　'- '´:::::::`丶::::ﾄ、
　　　　　　　　 　 |.i::::i''　　--- 、, 　 , --- 、:::::::`i::::r/
　　　　　　　　　 ヽi:::i　　-<写-、　|::::,/冥`;::: :::::i:::ﾘ.|　　　　え・・・
　　　　　　　　　　 ﾄ、i　　　''_,ノ　　|::::::、__ノ　;::::i:::i /
　　　　　　　　　 　 |_ii　　　　　 ,　　、:::::　　;:::::::::i:i_/
　　　　　　　　　　　　li　　　　 /,,,、　,,ヽ::::: :::::::::::i:l
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　''';''　　ヽ::::::::::;/′
　　　　　　　　　　　　 丶　　　-―-一ー　)::::::/゛ﾄ
　　　　　　　　　　　　　　1、　　--一　　ノ:::::ﾉ/ ﾉ ヽ
　　　　　　　　　　　　　,,ノヽヽ、　　　　　,,ノ::/ /;:;:;:;:`,,丶
　　　　　　　　　　　　ノ;:;:l |　`ヽ::::::;;;;;;;;::::::／ /;:;:;:;:;:;:;:r ヽ
　　　　　　　　,,, -''''´'i;:;:;:;i ヽ　　　　;;;;;::／／;:;:;:;:;:;:／::::ﾉ　ヽ、
　　　　,,-－'''　rー-ﾄ、'、;ヽヽ　　　　;／ /;:;;:;:;:,, -''　ン　　　　'ヽ、
　 ,,／　　　　　ト、_r--　''''''--'-ー-''-''''ﾄ-'''''　　,,／　　　　　　　 'ヽ、
　l　　　　　　　　　　ヽ、__　　　￣￣







　　　　　　　　　 　 / ﾆＹﾆヽ
　　　　　　　　　　/　（0)(0）ヽ
　　　 　　　　　／　　⌒｀´⌒＼
　　　　　　　　|　,-） 　 　 　 （- |　　　魯に大逆人があるとすれば
　　　　　　　　| l　 　ヽ＿＿ ノl |　　　それは季孫子だっていう
　　　　　　　　 ＼　　｀ ⌒´ 　／
　　　　　　　　／　　　　　 　　ヽ　　　アンタは一人の才覚で奴と戦ったんだっていう
　　　　　　　/　　　　　　　　　 　ヽ　　えらいっていう
　　　　　　　|　　　　　　　　　　 |　|
　　　　　　　ヽ_|　　　　　　　　　|丿
　　　　　　　　 |　　　　　　　　　|





47 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 21:48:08.35 ID:dbWtR6.o







　　 　 　 i;:;:;:;:;:;:;:;:;:-‐''"ミﾐ三三三三三三三ﾆミミミﾐﾐﾐﾐﾐﾐﾐﾐヽ
　　　　　 ',;:;:;ﾂ'´　　　　ミﾐ三三三三三三三三ミミミﾐﾐﾐﾐﾐﾐﾐﾐi
　　　　　　〉'r''ﾌ　　　 -ﾋﾐミ三三三三三ｨ彡ﾆ三ミミミﾐﾐﾐﾐﾐﾐﾐi
　 　　　　ﾉ `´　　　　　　 `三三三三ｨ彡彡'=＝''､ミミﾐミﾐﾐﾐﾐi
　　　　　,'　　 ..､,,,_　　　　　 ミ三ﾆｨ彡彡イ く⌒､ ヽミミﾐﾐﾐﾐﾐi
　　　 　 ヽ､ '´ （ﾟi,,ゝ､　　　　 三彡彡彡"　 ''ヾ ヽ　',ミミﾐﾐﾐﾐi
　　　　　 　） 　;'"　　　　　　　'三彡彡'　　/ﾞ'　ﾞ　） /ﾍミミﾐﾐi
　 　 　 　 /　　ヽ '　　　　　　　 彡彡ｼ　 , ｀　ノ　,/ヾミﾍヾﾍi
　　　　　/　　　　　　　　　　　　 彡ｨ彡　!､___,,,／ヾ川川川ｿ
　　　　 /　 '｀ヽ　　　　　 　 　 　 彡彡､　;;ヾ彳´　川ﾉ川ﾉ,ゞ
　　　　ヽ､_,つ '　　　　　　　　　　彡;;ﾂ　..:::i::　　 彡ｨ川ﾉ川ゝ
　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　 　 ...::::::::i:　　　彡'ﾉ川川ヾ
　　　 　 　 |　　　　　　 　 　 　 　 ..:::::::::::::ﾉ　　　　彡ｨﾉ川ﾉゞ
　　　　　　ヽﾆ=ｧ-　　　　　　　 ..:::::::::::::／　　　　,,r‐;''"..:::::::::
　　　　　　　 (´　　　　　　　　.::::::::::::::::.　 ,　　 ／ _, '::::::::::::::::
　　　　　　　 ｀ｰ､'´ ､　　　 ..:::::::::::::/　 ／　 ／ ,ｨ':::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　 ヽ　: 　 ..::::;::::, /:/　／　 ／ ／;;;;;;;;;;;:-‐''''"´
　　　　　　　　　　ヽ,,,__.::::ノ:::/// .／　 ∠-‐''"´　 _,,,, -‐'''"´
　　　　　　　　　　　 　 ｀ﾞﾞ"´￣i／ , -'" 　 _,,-‐'""
　　　　　　　　　　　　　　　　　,!‐'"　_, -‐'"
　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　／
　　　　　　　　　　　　　　　|　 ／´
　　　　　　　　　　　　　　 _y'´








　　　　　　　　___|二ニｰ-､、;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:|;::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:l
　　　　　　　 /rヽ三三三三三─‐-- ､;:;:;:;:;:;:;:|;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;l
　　　　　　　 ',i　,-三三三三三、 　 _,.ニ､ｰ-､!;: -‐二￣彡′
　　　　　　　　',､、ヾ三三'"￣￣　　 `ー‐"　　　 ヾ-'" 　.〉′
　　　　　　　　ヽ ヽヾ三,' 　　 :::..,. -‐- ､　　　　 _,,..-‐､、,'
　　　　　　　　　｀ー',ミﾐ　 　 　::.弋ラ''ｰ､　　 i'"ｨ'之フ　l′　　　　趙鞅さま・・・私の言葉にはすでに信用などありません
　　　　　　　　　／:l lﾐﾐ　　　　 ::::.. 二フ´　　 l　ヽ､.ノ　,'　　　　　　それでも言わせて下され
　　　　　　,.-‐フ:::::| |,ミ　　　　　　　　　　　　 l　 　 　 /
　　　　 ／r‐'":::::::::| |ヾ　　　　　　　 ／__.　 　l　　　 /　　　　　　　　陽貨めは終生、あなた様のご恩に尽くしとうおじゃりまする
　_,. -‐"i .|::::::::::::::::::',.',. ＼　　　　　 　 ⌒ヽ､,ノ　　 /ヽ,＿
"　　　　l ヽ:::::::::::::::::ヽヽ.　＼　　　＿,＿,.､〃　　／l　|　　｀ﾞ'ｰ-､、
　　　　 ',＼＼:::::::::::::::ヽ＼　 ＼　　､.￣⌒"￣／:::::|　|　　　　　　｀ヽ、
　　　　　＼＼＼;::::::::::::＼＼　 ｀､.__ ￣´￣／::::::::::l　|　　　　　　　　 ＼
　　　　　　 ヽ ＼｀ｰ-､::::::ヽ ヽ　　　￣フフ::::::::::::::ﾉ ./　　　　　　　　　　｀ヽ､
　　　　　　　　　 ｀ー-二'‐┴┴､＿_／‐'‐´二ｰ'".ノ







家臣たちの猛反対を押し切った趙鞅に、厚く遇された陽貨は、
深く感じ入り、これを最後に主人を変えることは無かった。

そして、趙鞅のため、持ち前の智謀を駆使して様々な陰謀を張り巡らしていくことになる・・・





48 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 21:50:20.32 ID:dbWtR6.o






春秋時代の黄昏に、異色の天才集団を率いる二人の英雄があらわれる。


一人は、類稀なる度量で天下から人材を掻き集め、
旧来の政治手法に囚われない創意工夫で、乱世の出世街道を突き進んだ・・・







　　　　　 　 　 　 　 　 　 /ﾆＹﾆヽ
　　　　　　　　　　 　 　 /　（ ﾟ )( ﾟ ）.
　　　　　　　 　 　 　 ／　::::⌒｀´⌒::::＼
　　　　 　 　 　 　 　 |　　,-）＿＿＿ )-,|
　　　　 　 　 　 　 　 |　l　　　|-┬-|　.l |　　　　　晋の六卿の一人、趙鞅・・・
　　　　　　　　　　　　＼ 　　 `ー'´　 ／
　　　　　　_, ､ -―-―/　| ` ｰ一'´|、
　　　　 /　　　　　ー　　　　＼　 /　￣ヽ-､_
　　　　/ 　　　　　y　 ´￣￣⌒｀Y´⌒￣｀ヽﾞ'､
　　　 /　　 　　ヾ/ 、　　　　　　　|　　　　　｜|
　　　/ 　 .＼　　＿r‐､-､-､　　　 |　　　　　｜|
　　 / 　 ,. -‐ゝ/// 〉 〉 〉 〉〉_＿_/,＿＿＿/　|
　　/／　　人〈〈〈〈 '　'　' /っ　ヽ　　ノ 　イ　ﾉ
　 /　　 /　　```´-ｧ‐'''"　／⌒ へ＼ ﾉ　|
　ヽﾍ　 l　　　/／ヾ　　　( _＿ /＿ ） ﾉ　 |
　　 `ｰヽ､_ノ　| ミ　'ヽ　 ( _＿ |＿ ) 　| 　.）





49 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 21:55:51.80 ID:dbWtR6.o






そしてもう一人は、自身が教育者として多くの人材を育て上げ、
あくまで旧来の体制の維持に努め、人々に公正な政治を提供しようとした・・・







　　　　　　　／7´￣´｀ゝ
　　　　　　 〈 /-／￣￣＼
　　　　　l// ／　　 ヽ_　 　＼
　　　　　l　,.|　　　 （ ●）（●）
　　　　/イ　|　　　　 （__人__）　　　　　魯の平民城宰、やらない夫・・・　
　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　
　　　　　　.　 |　　　　　　 　 }
　　　　　　.　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　 　 　/!lヽ　　　 　ノ´! ＼
　　　　　　　/　l l　 　　　リ /　 　 ヽ､
　　 　 , -'´/　　l l　　　メ　/　　　/　 ｀''ｰ-､
　, -'ﾞ/ /　 l　　 l lヽ_ノ/　/　　　/　　　　 　 ｀
´　 /r/　　 l　　 lゝ_ノ　/　　　 /
　 .l!/ /　　 l　　　l　 ／　　　 /
　　|ｌ/　　　 l　　　у　 　 　 /
　　 l!　　　　 l　　/　　　　 /
　　 l　　　　　ヽ/　　　　 /








春秋の終わりに現れた二人の英雄、趙鞅とやらない夫。

己の才覚のみを頼りに乱世を駆け抜ける彼らに、最終的な勝利は訪れるのだろうか・・・


いずれにせよ彼らの生涯を賭けた戦いは、まだ始まったばかりであった。















　　　　　　　　　　　　　　　やらない夫で学ぶJKの思想～外伝三話「逆臣討つべしだろ・・・JK」おわり


















　　　　　　　／7´￣´｀ゝ
　　　　　　 〈 /-／￣￣＼
　　　　　l// ／　　 ヽ_　 　＼
　　　　　l　,.|　　　 （ ●）（●）
　　　　/イ　|　　　　 （__人__）　　　　とまあ、趙氏の歴史を振り返ってみたわけだが
　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　
　　　　　　.　 |　　　　　　 　 }　　　　
　　　　　　.　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　 　 　/!lヽ　　　 　ノ´! ＼
　　　　　　　/　l l　 　　　リ /　 　 ヽ､
　　 　 , -'´/　　l l　　　メ　/　　　/　 ｀''ｰ-､
　, -'ﾞ/ /　 l　　 l lヽ_ノ/　/　　　/　　　　 　 ｀
´　 /r/　　 l　　 lゝ_ノ　/　　　 /
　 .l!/ /　　 l　　　l　 ／　　　 /
　　|ｌ/　　　 l　　　у　 　 　 /
　　 l!　　　　 l　　/　　　　 /
　　 l　　　　　ヽ/　　　　 /







　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,､ --- ､
　　　　　　　　　　　　　　 ,､-''´　 ‐-' '　 `'‐.､
　　　　　　　　　　　　　/´, ,　　,.r ~`"""~　ヾﾐ､
　　　　　　　　　　　　.,' .〃,' .〃　　　　　　　ヽ.i, 　　　　
　　　　　　　　　　　　l f　.´ /　　__ 　 　　 -z,_」! 　　　　すでに気づいておられる方もいるみたいですが・・・
　　　　　　　　　　　 .,'.! ,-､_L -ﾆ─ ''''ﾏT￣　 「!
　　　　　　　　　　　./ .f　 Ｙ. ':,　　　　ﾉ. ヽ､__ノi | 　　　　趙氏族滅前後の描写・・・
　　　　　　　　　　　7r | ヽ .,　.` ‐-- '　　 i　 　ﾚ　　　　　あれって歴史ではありませんよね
　　　　　　　　　　 .l lt ヽ､, |｀''‐'.　　　　`''　,　 .l!
　　　　　　　　　　 .{.{{.li　.| .l　 ､.__ `弋ﾆﾆブ　 ,j　　　　　　なんだか昔見た映画みたいな感じでしたね
　　　　　　　　　　　~`√l.{ .ヽ, `''-ﾆこ- ､_　　ﾑ～､
　　　　　　　　　　　　/　ヽ＼ `'- ､_　｀`＞≧ﾞ　,.､__`j
　　　　　　　　　　 .,:'ﾞ　　　ヽ.＼　　｀~フ´　　｀`"‐-えｶ''‐-z､
　　　　　　　　,､ィ'"　　　　　 ヽ.＼　 ./　　　　｀`'''‐‐{べ'=≠:こｚ-.､
　　　　　,ｨ='''"　　　　　　　　　.ヽ.＼/.　　　　 ｀`'''' ┤　　`ヽ,　 ￣｀
　　　　 /　　ヽ　　　　　　　　　　 ヽ/　　　　 .ｨＴ'ｱ　j　　　 l!　L_
　　　　i!　　　 .';　　　　　　　　 ,..／　　　　　ﾉ　l .i'''´　　　 .l! i　.':､
　　　〃　 -､　 ':,　　　　　　 ／ {　　　 ､__,..く　 ,! l.　　　　　l .!　　.':
　　 ,:'　　　　ヽ　i　　　　　／　　i,　 =　八　 ヽ,ﾉ .l　　　　　.| ,!　　 .＼
　　/　　　　　 .ヽj,　　　／　　　　:,　 ./　 ヽ,　ﾉ　.|　　　　　.l/　　　　 ＼





52 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 22:03:50.50 ID:dbWtR6.o






　　　　　　　／7´￣´｀ゝ
　　　　　　 〈 /-／￣￣＼
　　　　　l// ／　　 ヽ_　 　＼
　　　　　l　,.|　　　 （ ⌒）（⌒）
　　　　/イ　|　　　　 （__人__）　　　　途中で伊福部サウンド流したしな
　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　
　　　　　　.　 |　　　　　　 　 }　　　　
　　　　　　.　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　 　 　/!lヽ　　　 　ノ´! ＼
　　　　　　　/　l l　 　　　リ /　 　 ヽ､
　　 　 , -'´/　　l l　　　メ　/　　　/　 ｀''ｰ-､
　, -'ﾞ/ /　 l　　 l lヽ_ノ/　/　　　/　　　　 　 ｀
´　 /r/　　 l　　 lゝ_ノ　/　　　 /
　 .l!/ /　　 l　　　l　 ／　　　 /
　　|ｌ/　　　 l　　　у　 　 　 /
　　 l!　　　　 l　　/　　　　 /
　　 l　　　　　ヽ/　　　　 /







　　　　　　　　　　　｀` ‐- ..,_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　,. ┴､｀`'' ‐- ..,,＿　　　　　　　　　　　　　　　_,.. r‐''"
　　　　　　　　　　 ,. ＜　　＼＼　　　　　　フー──----─一 '''":::::::::{ヽ
　　　　　　　　,. ＜　　　ヽ　　ヽヽ　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ |}
　　　　　　　 / ｎ　ヽ　　　i　　 i　i　　 ／::::::::::::;:::::;__::::::::::::::::::::::::::::::;ィ7ﾉ ﾉ＿,,..　-､
　　　　,. -─{　U　　}　　　|.　　|　| 　/::::::::::::::く　（.･）￣ヽ:::::::::r┐/ﾟ'.ﾉイ　　　　　　ヽ　　　まあ、私も大概、好き嫌いの多い人間で
　 ,　'´　　　 ヽ.　　ノ 　　 /　 ./ /　 〈:::::::::::::::::::`ー‐一'´`::::::/. ::|:`'"l　|::.　　　　　　　　　趙氏に関しては幾許か贔屓してるけど・・・
／　　　　　 　 `'''"- ..__／　ノ／.　　 ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/;;〉:::!::::/　 !:::
　　　　　　　　　　 |　　　￣ヽ ＼　　　 ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::/　　:::|:/　　 l:::　　　　　　　　なんだか、趙盾は綺麗に描かれすぎて
　　　 　 　 　 　 　 |　　　::　 ::ヽ ＼　　　ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ-､__｣　　　 |:::　　　　　　　　屠岸賈と霊公が酷く描写されすぎだと思うネェ
　　　　　　　　　　　l　　　　　 ::::＼.＼　　　ヽ::::::::::::::::::::::::::＿;:::/　　　　|::
　　　　　 　 　 　 　 i.　　　　　 :::::::＼ ＼ 　　 ＼:;:::ィエ工⊥ﾉ｣　　　　 l::　　　　　　　　　　正直、底衛と趙武の別れの場面はクドいヨ
　　　　　　　　　　　 ',　　　　　　 ::::::::＼ ＼　　　｀ヾr┬tェ-/　　　　　i
　　　　　　　　　　　　ヽ　　:.　　　　:::::::::＼ ＼　　　　￣ __.ﾑ 　 　 　 /　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　 ヽ　::　　　　::::::::::::::ヽ､ヽ、, -‐_ﾆ-‐''{ 　 　　/　　　..　　　　　.:　
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ::　　　　:::::::::::/　｀ヽ＞'"　　,. -|　　　/!　　　 :::..　　 ..:::
　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　 :::::／　　　　ヽ, ‐'"　 ,,.|　　/ |　　 　 :::::::....:::
ヽ、　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　 r''´　　　　　　 ＼, ‐'"　! ／　|　　　　







春秋と史記では、当然、多くの点で描写が異なるが、
特に趙氏の歴史については相違点が多いことで有名である。

決定的に年代の整合性が取れていない部分があり、
それは後世の研究者からは司馬遷の「趣味」ということにされている。





53 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 22:06:28.62 ID:dbWtR6.o





　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,､ --- ､
　　　　　　　　　　　　　　 ,､-''´　 ‐-' '　 `'‐.､
　　　　　　　　　　　　　/´, ,　　,.r ~`"""~　ヾﾐ､
　　　　　　　　　　　　.,' .〃,' .〃　　　　　　　ヽ.i, 　　　　
　　　　　　　　　　　　l f　.´ /　　__ 　 　　 -z,_」! 　　　　　まあ、屠岸賈って名前自体、悪臣以外許されないような名前ですからね
　　　　　　　　　　　 .,'.! ,-､_L -ﾆ─ ''''ﾏT￣　 「!
　　　　　　　　　　　./ .f　 Ｙ. ':,　　　　ﾉ. ヽ､__ノi | 　　　　「屠」姓なんて、中国史で他に見かけませんし
　　　　　　　　　　　7r | ヽ .,　.` ‐-- '　　 i　 　ﾚ　　　　　
　　　　　　　　　　 .l lt ヽ､, |｀''‐'.　　　　`''　,　 .l!　　　　　苗字にするには字面が悪すぎるでしょう
　　　　　　　　　　 .{.{{.li　.| .l　 ､.__ `弋ﾆﾆブ　 ,j
　　　　　　　　　　　~`√l.{ .ヽ, `''-ﾆこ- ､_　　ﾑ～､
　　　　　　　　　　　　/　ヽ＼ `'- ､_　｀`＞≧ﾞ　,.､__`j
　　　　　　　　　　 .,:'ﾞ　　　ヽ.＼　　｀~フ´　　｀`"‐-えｶ''‐-z､
　　　　　　　　,､ィ'"　　　　　 ヽ.＼　 ./　　　　｀`'''‐‐{べ'=≠:こｚ-.､
　　　　　,ｨ='''"　　　　　　　　　.ヽ.＼/.　　　　 ｀`'''' ┤　　`ヽ,　 ￣｀
　　　　 /　　ヽ　　　　　　　　　　 ヽ/　　　　 .ｨＴ'ｱ　j　　　 l!　L_
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　 ' "　　　　　　　　　　　　　　＿ 　- ‐ｧ::::::::￣￣::::::::::::::::＼　l￣＼　 |　　　　　　まあ、武帝のアホ先祖、劉邦も似たようなもんだネ
　　　　　 ,.　､　--─　 二´-─: . :/　/::::_:_:::::::::, ､::::::,-_-､::::ヽ ヽ: . : ヽ,|
　　　￣, ､ -─　:" ´: . : . : . : . : . |　/:::/ tｯ_>:::|　|::::ヽゞ'ノ::::::|　|＞ ､ﾉﾉ　　　　　　劉って字は元来「殺す」って意味だからネ
　　￣: . : . : . : . : . : . : . _:_:_:_:_:_: l|　|::::::｀´:::::::::|'　1::::::::::::::::::::/　| |　|　`lヽ､　　　
　　　　￣￣￣￣￣￣　　,､イ´　|:|　';:::::::::::::::::.ﾚ: :､〉:::::::::::::::/　 |..|....|......|......〕　　奴のせいで劉姓が当たり前になってしまっただけだヨ
　　　　　　　　　　　　　　|　l |　　|::|　 ';::::::::::::::::_`_´＿:::::::::::/　　|/_:/_ ノ''´
　　　　　　　　　　　　　　ヽヽヽ:.:.ヽ:| 　 '､::::::;ｲ」 ┴┴ i弋:/　　/　　　｀丶､
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確かに屠岸賈の存在は史実である。
しかし、春秋においてもその登場はアムロとララアの出会い並みに突然すぎる。

なんだか悪臣の代名詞になるために出て来たのかと思えるほどなのだ。





54 ： ◆AOGu5v68Us [saga]：2010/01/24(日) 22:12:49.96 ID:dbWtR6.o







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　　　　/イ　|　　　　 （__人__）　　　　だが、面白かっただろう
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　　　　　　.　 |　　　　　　 　 }　　　　これが映画「趙氏遺児」だよ
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「趙氏遺児」は趙武を主人公とした仇討ちの物語で、日本では忠臣蔵に相当する人気作品だ。
京劇では「覇王別姫」に並ぶ有名な演目の一つである。

史実との整合性は取れていないが、程嬰、公孫杵臼、韓厥らの活躍は史実にも残っている。
が、あまりにドラマチックでお約束な展開はそのためだと断っておきたい。

キャスティングから、作者の趣味の影響が消えた頃からが、今回の外伝では史実という事になる。

「趙氏遺児」はいわば戦国七雄の趙国の
国産みの神話のようなものだと解釈されればよろしいかと存ずる。